●足尾銅山

・2005年10月16日 作成
訪れた日 2004年8月14日
 

江戸時代の1610年(慶長15年)から、1973年(昭和48年)まで400年の歴史を持つ足尾銅山。日本最初の公害問題と言われる「足尾鉱毒事件」は有名。被害者の住民は、富国強兵をすすめる当時の明治政府の権力に屈せざるを得なかった。魚も棲めない渡良瀬川。精錬の煙で草木も枯れた山々・・・閉山後30年たっても草木も生えてこなかったようだ(植林に力を入れているので、最近はその成果が徐々に出てきているとか)。

同じヤマでも炭坑などでは、そこに巨大な採掘施設や大集落があった気配も消しつつある。しかし、銅山は荒れ果てた周りの異常な光景や、精錬工場がそのまま残されているので、そこに巨大な産業があった気配は残されている。ただし、魚も棲めない渡良瀬川は改善されて、生物が戻ってきているとか・・・。

3箇所の採掘場のひとつである「通洞」は、坑道跡が観光開発されている。トロッコ列車で観光できる事が売り物だ。坑道入口にも駅があったのだが、乗客が乗降できる駅は、これより登った坂の上にある。不便だが、もともとお遊びの列車なので文句は無い。お盆という事もあって満員のトロッコは機関車を先頭に坂を下りて、坑道前の入口で機関車を切り離す。切り離されたトロッコはジェットコースターのように加速して、坑道へ突入! これから何が始まるのかワクワクした所で終点。乗客たちは歩いて坑道の見学コースを行く。トロッコに乗って坑道見学が出来ると思っていたのに拍子抜け・・・。トロッコは単なる演出だった。

さて、全長1200qといわれる坑道だが、見学できるのは700mほどだが、まぁ充実した設備と言えよう。何より、人が多いのが安心する。同じ坑内見学でも、人のいない細倉鉱山(マインパーク)は不気味だった。首都圏から日帰り圏内なのと、お盆という条件も重なったから盛況だったのだろう。

坑内見学で賑わっているすぐ後方には、精錬所の廃墟が横たわっている。列車からも見えたが、巨大な設備が放置され、朽ちるにまかせている。しかし、人の気配がするので、一部は再活用されているのかもしれない。

足尾銅山観光はわたらせ渓谷鐵道の通洞駅が最寄駅だ。テーマパークのような賑わいの銅山観光と比較して、この駅は寂しかった。臨時運転の観光列車は賑わっている様子だが、通常の列車でここを訪れる人は少ないのだろう。

精錬所の跡
車窓に広がるこの光景は強烈
賑わっている坑内観光トロッコ
通洞入口
坑内に入った所で客を降ろしたトロッコは自走して戻る

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