●わたらせ渓谷鐵道

・2005年10月8日 作成
訪れた日 2004年8月14日
 

首都圏から近く、青春18切符を使っても、楽々日帰りの出来るローカル線。渡良瀬渓谷の見事な眺めと、ローカル線らしい雰囲気が有名で、テレビでも時々、特集が組まれる。しかし、私の中で、足尾銅山の負のイメージがある上、いつでも行けると思ってしまい、訪れるのが遅れた。そのうち、経営難から廃止の噂も聴こえてきた。

廃止問題で揺れる鉄道とは思えぬ乗車率で2両のディーゼルカーは「相老」を出発した。流石にお盆である。一見しても観光客が多い。車窓に広がる、清流、渡良瀬川の景色が素晴らしい。隣のボックスに座っている若い母親が、小型デジカメで赤子と車窓の写真を撮っていたのが印象的だった。

澄んだ水が特徴だった渡良瀬川だったが、上流に行けば行くほど水量が減って、白い岩だけがゴロゴロするようになる。ダムのせいだろうか。そして突然車窓に現れる巨大な工場の廃墟・・・・。「通洞」周辺に広がるのは有名な足尾銅山の工場である。厳密には廃止されていない筈だが、銅山は閉山され、窓が割られた朽ちた工場・・・。そして炭住のような街・・・・これも朽ちている。北海道で良く見た廃鉱跡と似ている。

さらに先に進むと、「足尾」、そして「間藤」終点である。これより先、足尾本山まで貨物線が延びているが休止中である。事実上は廃止だろう。テレビでは運転士と通学の高校生の触れ合いが微笑ましく語られたローカル鉄道。古い、木造の駅舎も残り、乗車した印象も、旅情たっぷりのローカル線だった。足尾銅山と公害については、足尾銅山のページで語るが、列車に乗っていると公害の印象は無い。渡良瀬川も清流に思える。

帰りに、「足尾」から乗車したトロッコ列車から眺める渓谷は、本当にノンビリしたものだった。川で泳ぐ人や、河原でバーベキューをしている人が手を振り、車内からも手が振られる。長大トンネル内ではイルミネーションが光り、乗客は大満足。途中駅では、駅弁の販売もある。普通座席車に乗れば80年代以前の客車列車の汽車旅を体験できるのでは。

水沼駅で途中下車、温泉に入って次の列車に乗るが、これも満員。この日の体験だけだと、盛況な鉄道に見えるが、経営危機は深刻なようだ。首都圏から近いので、大丈夫だと思っていたが、閉山されて寂れ、廃止の憂き目にあった炭坑のローカル線が辿った道と酷似している。観光だけで生きてゆけるほど鉄道経営は甘くないのだろう。

渡良瀬川の上流
旅客列車の終点と言うが、貨物列車はもう運転されていない

間藤

第三セクターらしいレイルバス

通洞

昔懐かしい風情の駅も多い
足尾駅の雰囲気は昔のローカル駅そのもの
渡良瀬川沿いを行くトロッコ列車
機関車と客車、懐かしい組み合わせ

水沼

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


back