●北王子駅

・2014年5月26日  作成
  
訪れた日 2012年2月11日
~2014年3月14日

東京都北区の 王子は製紙の街で、王子製紙という名前もこの地域の名前に由来している。国内最大の王子製紙の十條工場はこの地にあった(戦後、王子製紙は分割され、十條工場は十條製紙(現在の日本製紙)に引き継がれた)。北王子貨物線はこの十條工場への専用線として1927年(昭和2年)に開業している。工場は明治時代から操業していたが、1973年(昭和48年)に閉鎖され、倉庫だけが残った。これが現在の姿である。

王子付近は他にも工場が多かったが、宅地に再開発されてしまい、この倉庫だけが取り残されてしまった。この巨大倉庫は、新幹線からもその威容がわかった。しかし、時代はそのような巨大倉庫が都会に残る事を許してくれなかった。2013年の8月に日本製紙から不動産の売却の通知があり、その時点で北王子貨物線の運命も決まってしまった。

北王子駅の構内はプラットフォーム1本に機回し線、出発線と機能的に作られていた。1日に最大4往復の列車が発着し(平日のみ運転。末期は3往復だったが運休もあり、訪れてはみたが空振りという日もあった。一方で、土曜日に臨時列車を見た記憶もある)、それなりに活気がある風景が展開されていた。ポイントの切り替えが全て手動作業で、今時、このような作業が残っていた事に驚きであった。動画に入れ替え風景をアップしたが、貴重なシーンだったと思う。

興味深いが、 他所様の倉庫を撮影するのには躊躇し、倉庫が写らないように気を配ったつもりだった。また、この貨物線は住宅地の中を走っており、倉庫の前でカメラを持っていると通報されかねないと思ってしまった。しかし、廃線が決まって、大勢の人がカメラを向けると、それに紛れての撮影となってしまった。何故か、撮影中に地元の人に話しかけられる事が多く、桜並木(この倉庫の桜並木は見事である)がどうなるのか心配だと訴えられたが、動画の撮影中であったし、曖昧な返事をしてしまった。

プラットフォームに到着した貨物列車は、荷役作業が終わると、小型の入れ替え機関車によって待機線へ転線し、出発を待つ。入れ替え機関車の馬力の問題なのか、編成を分割して5両づつの作業となる。やがて、次の貨物を引っ張ってきたJRの機関車は機回し線を通って、待機線で待つ貨車を連結して北王子駅を出発する。
構内で活躍していたスイッチャー。この2種類のうちのどちらかが動いていた。
かつて使われていたスイッチャーも保存されていた。
桜並木が素晴らしい。再開発以降はどうなるのか・・・
「北とぴあ」の展望台から倉庫が見える。スイッチャーが踏切前まで出ているが、この大きさではわかりにくい。
マニュアルでのポイント切り替え

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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