●和田岬線

・2016年2月28日作成
訪れた日 2014年11月22日
 

西の和田岬線、東の鶴見線(大川支線)・・・。と聞いた事がある。和田岬線は、正式には山陽本線の枝線であるが、ラッシュ時しか運行されない路線である。かつては、座席の殆どを撤去した茶色の旧型客車を両側にディーゼル機関車が挟み込む形で運行されていた。1990年にはディーゼルカーに置き換えられたが、そのディーゼルカーもこの路線専用に改造されたゲテモノであった。しかし、2001年に電化され、普通の電車が走るようになった。利用客が増えた訳ではなく、僅か2.7qの区間の為に、特殊車両を用意する事を避ける為であったと思われる。

乗ろうと思えば乗れた筈なのだが、つい乗りそびれてしまった。普通の電車に置き換わってからは、あえて乗ろうと思わなくなった。しかし、突然、和田岬線の廃線の話が出てきた。和田岬線を廃線にし、隣接する市営地下鉄の利用客増加を目論む神戸市の案である。乗れる時に乗らなければ・・・。

兵庫県の主要駅といえば、三宮(三ノ宮)駅だが、神戸駅、兵庫駅という名の駅もある。県名になっているその駅は重厚な作りが歴史を感じるが、場末感も感じてしまう。かつては山陽電鉄の起点駅もあり、主要ターミナルとして機能していたが、山陽電鉄は移転してしまった。現在、この駅を起点とする列車は和田岬支線だけである。そのホームも、山陽本線から少し外れた所にあり、一層、場末感を強く感じる。

和田岬線に乗る為には専用の改札口を通らねばならない。切符の場合はここで回収されてしまう。駅の構外に支線の施設がある訳なので、少し違和感があるが、鶴見線や東武大師線と同じシステムである。今日は土曜日、午前中の最終列車を待つ乗客は疎らである。私のように、興味本位で乗車する人の姿もあったようだ。8時37分に国鉄時代から使われている青い通勤型電車がやってきて、僅かな客を乗せて8時46分に折り返す。

川崎重工への引込み線を右手に見ながら、住宅地の中を真っ直ぐ進む。巨大な工場が目前に迫ると終点、和田岬駅である。プラットフォームだけの質素な駅だった。ここまでの所要時間は僅か4分。駅に降りてみると、改札口も無く、何処までがホームで、どこからが道路か境界がない不思議な構造だった。

駅付近を散策する時間も無く、乗ってきた電車で折り返す。まだ9時だが、次の列車は17時15分である。ホームには係員はいるが、乗客の姿は無かった。この先、東京まで帰るが、外に出て切符を購入する。和田岬線の旅は思ったより呆気なかった。和田岬線の印象よりも、廃墟同然になってしまった兵庫駅の高架下の寂れ具合の方がインパクトがあった。


兵庫駅は神殿のような重厚な作りが印象的だが、高架下の通路は廃墟同然だった。写真に写っている店だけが営業していて、それがかえって侘しかった。
和田岬線の車両は国鉄時代から活躍している103系。大阪環状線でも走っているが、山陽本線ではこの編成が最後の1編成である。

和田岬駅は、まるでバス停のようだった。駅前の案内板に、よると和田岬線の唯一の橋梁は、運河を渡る旋回橋だが、固定化されて久しいようだ。運転台越しに確認したが、車窓から見る橋は一般的な固定橋に見えた。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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