「もののけ姫」を見たからでもない、世界遺産になったからでもない。それでも屋久島には行きたかった。日本全国を旅行した訳ではない。一般の社会人ともなれば長期休暇で海外なんて夢のまた夢。それだけに魅力的な国内の観光地はとっておきたかった。偶然、仕事がキャンセルになり降って湧いた５月の連休。何も考えずに鹿児島に来てしまった時に、どうしても屋久島に行きたくなってしまい気がついたらフェリーに乗っていた。

山の装備をしていなかったので、いきなり山に突入はできない。泊まる所も無い。困った・・・。そこで見つけたのは寝袋持参なら１泊千円という超破格な民宿。そこに、喜界島から来たオジサン達と若者の旅人。絶妙なバランスで打ち解けてしまい、毎日、昼間は海や山に連れていってもらい、夜は飲み会。オジサンにも若者にも属さない（と思っている）私は中途半端ではあったが、別々に来たのに打ち解け、仲良くなってゆく若者の旅人を見ていると昔の自分を思い出す。

有名な樹齢７０００年の縄文杉へはバスで登山口まで行く。往復８時間とも１０時間ともいう登山だが、何も考えず、装備も甘い観光客もいる。しかし、これは本当に登山なので装備はそれなりにしないと・・・。まだ現役のトロッコ（日本唯一の森林鉄道）の線路の上を延々と歩き、本格的登山道に入ると周りは杉の原生林ばかり・・・。昔の大台ケ原に似ていると聞くが、流石に世界遺産に登録されるだけの大自然だ。神の存在を意識せざるをえない豊かな森・・・。不思議な気持ちになるが、それを表す語彙を私は持っていない。夢は宮之浦岳のピークをとるつもりだったが、それは次回の楽しみにして縄文杉で折り返す。

海も山も、屋久島は本当に素晴らしい。特に屋久杉の森は世界遺産に相応しいものだ。しかし、かつて乱伐が進み、この遺産は残らない筈だった。乱伐を止めさせた人達、林業で豊かになった島の人の抵抗もあったであろうが、彼等の努力がなければ、今の屋久島は無かった筈だ・・・。

トロッコ軌道を歩く（これが歩きにくい）

現役の線路らしいが車両は見なかった

これが有名な縄文杉

晴れた日の川の眺めは最高

屋久島での宿泊先

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