●阿武隈急行

作成日:2007年11月18日
訪れた日 2007年3月3日
 

クロスシートの座席に腰を降ろし、高規格路線を疾走する電車に乗っていると主要幹線の普通列車に乗っている気がしてきた。車窓から見える阿武隈川は美しいが、ゆっくり眺めている暇はなく、トンネルが遠慮なく車窓を遮った。途中駅はどれも綺麗だが、ローカル線らしい、渋い、古い木造駅舎など皆無だった。

阿武隈急行は、かつて東北本線のバイパスとして建設中だった国鉄路線を引き継いで、完成させた第三セクター路線である。国鉄時代は丸森線として途中まで開通していたが、工事が凍結され、やがて丸森線も廃止対象となってしまった。これを引き継ぎ、凍結区間も工事再開、そして1989年に全線開通したのが現在の姿である。元々バイパスとして設計された為、かなりの高規格路線である。

福島駅で、福島交通と並んで止まっている阿武隈急行の電車は、国鉄急行型電車を思わせる立派な車両だった。これから約1時間30分の旅だが、ロングシート全盛の時代に、クロスシートで汽車旅を楽しめる事が嬉しい。途中まで複線の東北本線を走る。生い立ちが一緒の為、このような芸当が可能なのだろう。その間に上り列車ともすれ違い、利を活かしていると感心する。

卸町駅から淡々と畑の中を進み、近郊電車のような雰囲気で少々退屈する。やがて梁川駅で車両交換、ここを出ると山岳区間に入る。左手には阿武隈川が寄り添い、渓谷を眺める事が出来て、ようやくローカル線らしくなってくる。宮城平野に抜けると仙台の近郊区間に入り旅が終わった気がする。終点の槻木駅では仙台行きのJR線へ好接続。仙台直通電車もあり、まるでJR線の一部のようだ。


福島駅で出発を待つ阿武急
梁川で車両交換
梁川は喫茶店を併設した地元に密着した駅だった
すれ違う車両はどれも同じ
阿武隈川の渓谷美
丸森線の頃は終着駅だった丸森駅

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


back