寝台特急「あけぼの」

2015年7月11日作成
訪れた日 2014年5月4日
          

まだ明るい17時11分。青森駅を出発した寝台特急「あけぼの」。車内放送に、「臨時の・・・・」という枕詞があったが、乗車している雰囲気は定期列車とあまり変わりはない。出発してすぐの新青森駅で7分停車。新幹線に乗れば、当日中に東京に帰る事が出来る事を考えれば、時代遅れを実感せざるをえない。寝るまで時間がある列車なので、下段を確保できなければ乗車しなかったであろう。

津軽富士と呼ばれる岩木山を眺めながら夕方の長距離列車の旅を楽しむ。撮影する人も多く、皆、夕日に映える列車が綺麗に撮れた事だろう・・・。やがて日が沈み18時53分、鷹ノ巣駅を出る頃にはすっかり日が暮れてしまった。寝るにはまだ早いが車窓は楽しめなくなってしまった。それでも、小さな田舎駅にこまめ停車し、小さな駅舎の明かりを眺めていると旅情を感じる。これが、東海道・山陽本線などのブルートレインとはちがった奥羽本線夜行の魅力でもある。20時29分に秋田駅着。最終の新幹線は出てしまっているので、ここでは夜行列車の需要はあると思われる。

3分停車後に羽越本線に入る。私にとって「あけぼの」は奥羽本線を走破するというイメージである。羽越本線の寝台特急には「出羽」「鳥海」という列車があった。東北方面の夜行列車は整理され、日本海側は1本に集約された。走行する路線に関係なく、列車名は伝統ある「あけぼの」を引き継いだのだろう。

奥羽本線を走破する夜行列車が無くなって久しい。仕事で奥羽本線沿線の横手に行った事があるが、かつては「あけぼの」が重宝されていたと聞いた。朝到着する列車に合わせて、朝風呂、朝食を提供する旅館もあったようだ。今でもこの地区の夜行列車の需要はあると思うが、老朽化の為、物理的に運行出来なくなる日も近い。

0時50分に新津駅を出ると4時46分の高崎駅まで無停車。しかし、運転士の交代などで運転停車もある。上越国境を越えて、無人の水上駅で乗務員が交代している姿を車窓から眺めた。夜行列車の運転も大変だ。

上野駅到着は6時20分。夜行列車としては適当な時間であるが、多少名残惜しい。定期時代に1回、臨時列車として1回乗車した「あけぼの」であるが、この時にこれが最後の乗車になると覚悟していた。そして、2015年の年末年始輸送の後、運行されていない。


青森駅で出発前に撮影
スーパー白鳥との離合も一時的なものだろう・・・。
出発してすぐの新青森で7分停車。単線区間で臨時列車だと、調整の為に停まる事が多いのではないだろうか(上)。

車内は、最初はガラガラだが、徐々に乗客が乗車してきた。廊下から眺める景色は旅情を感じる(右上)。

岩木山に夕日が沈む。夕暮れを行く夜行列車も良いものだ(右)。
秋田を出ると夜行列車らしくなる。この駅にも撮影の為だけに集まってきた人が多かった(左上)。

時刻表上では通過駅だが、水上駅で運転停車(上)。

上野駅到着。ここから推進回送で尾久の車庫に回送される(左)。
定期時代の「あけぼの」編成が長く、貫禄があった。これは定期列車最終列車。2014年3月15日(左上)。

臨時時代の「あけぼの」。この日は大雪で大幅に遅延。日中に撮影する事が出来た。2015年1月3日(上)。

臨時増発の「あけぼの」。方向幕に「あけぼの」があるのを初めて知った。これ遅延の為、日が昇ってから撮影する事が出来た。2013年1月4日(左)。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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