森吉山麓紅葉号

2014年2月15日作成
訪れた日 2012年10月21日
          

『 秋田内陸線の沿線が紅葉に染まる10 月にJR 弘前駅から角館駅までを当社の8900形車両(昨年まで急行列車に使用した車両)を使用して直通で結ぶ、臨時快速「森吉山麓紅葉号」を今年も増発いたします。』
ネット上に出ていたこのニュースを見て、秋田内陸縦貫鉄道の訪問を決めた。

私がこのニュースに関心を持ったのは、8900形が使われるという点であった。この車両は、急行「もりよし号」専用のハイグレードな車両であったが、合理化の結果、「もりよし号」は一般車両化されてしまった。他の第三セクターをみてみると、能登鉄道のパノラマ気動車「のと恋路号」、鹿島臨海鉄道の「マリンライナーはまなす」などハイグレードの優等列車が、合理化の結果消えていった。「もりよし号」のハイグレード車両も同じ道を辿ると思われた。

角館駅を14時20分に出発した臨時列車は数人しか乗車していなかった。車内中央のラウンジ席では1組の家族が食事をしていたのが救いではあるが、折角の車内販売も観光案内放送も空しさを感じる。やはり秋田は遠いのだろうか・・・。ちなみに、この列車を乗り継ぐと、東北新幹線の最終に接続するが、少しでも遅れたら東京に帰れない危険性がある。

乗客は少ないが、快晴の下、白眉である十二段峠を快走している。売店で購入済みではあるが、車内販売から飲み物や乾き物を購入して優雅に過ごす。谷を越える橋梁では徐行してくれるが、紅葉にはまだ少し早かった。絶景の車窓を楽しめる旅路であったが、1組の家族は迎えの車が待つ途中駅で下車してしまった(体験乗車だったのか・・・)後は、貸切列車に近い雰囲気になってしまった。峠を越えて阿仁合駅に到着する。車内販売と観光案内はここまでであった。

秋の夕暮れは早い、刈取りの終わった水田を西日が照らす。サロン席から眺める夕焼けは最高であった。贅沢すぎる旅であるが、この車両が臨時列車としてしか使われていないのが残念である。車内にはブラウン管テレビが設置されているが、液晶画面に更新されていないところを見るとオーディオ設備は使われてないのだろう。やがて鷹巣駅に16時34分に到着する。急行「もりよし号」より所要時間がかかっているのは、定期列車との交換待ちで停車時間が少し長いからだろうか。おかで撮影が出来たので私としては嬉しい。

秋田縦貫鉄道の鷹巣駅のホームに到着した列車は、一度バックして停車。進行方向を変えて、JRとの渡り線に入るとすぐに停車、JRの運転士と交代して渡り線を走りJRの鷹ノ巣駅に到着する。ここで長時間停車して17時11分、すっかり日が暮れたJR奥羽本線をかなりの速度で快走する。乗客がいないので回送列車のようでだ。日も暮れ、人気の殆どない車内では寂しさばかりが募る。上野に向かうブルートレイン「あけぼの号」とすれ違う。東京から逆方向に進んでいるのに、上野行きの夜行列車とすれちがうとは・・・。18時18分、終点の弘前駅に到着。ここまで時間通り、あと1本の乗り継ぎが定時運転ならば新青森駅から最終新幹線を捕まえ、本日中に東京に帰る事が出来る。


この臨時列車は、朝、弘前から角館にやってきて、夕方、弘前に帰るダイヤである。したがって、角館から乗客が少ないのは理解できるが、それにしても空いていた。

しかし、毎年運転されているし、列車によってはかなり乗車率も高いようだ。これから先も運転される事を祈らずにはいられない。
上桧木内に停車。定期列車と行き違いが行われた。
十二段峠は秋田の内陸にある峠である。
この峠が障壁となり、国鉄時代は阿仁合線と角館線に分断されていた。

阿仁合線と角館線が第三セクター化された後、この区間が開通して秋田内陸縦貫鉄道は一本化された。1989年(平成元年)の事である。

全長5,697mの十二段トンネルを初め、トンネルと橋梁が連続する区間である。
比立内から先は元国鉄阿仁合線の区間である。すれちがったのは急行「もりよし号」であるが、普通の車両に変わってしまった。単行化してコストを削減するのが目的であろう。

かつては、今乗車している2両編成の車両が使われていた。当時は珍しかった、女性車掌、女性運転士でも有名だった。
阿仁合には車両基地があり、カラフルな色に塗り替えられた車両たちが集っていた。

今、乗車しているハイグレードの車両は6両あるが、定期運用は無い。特に、最新の天窓付のAN2000形は2000年製造なので、製造後13年だが、出番はあるのだろうか。

単行運用可能な車両もあるのだから、使って欲しいものだ。
特徴的なサロンスペース。乗客がいないと寂しい。

先頭車も眺めがよく、ワンマンカーから眺める景色とは随分違うような気がする。

阿仁合線区間は開通が古く、味わいのある雰囲気がある。ただし、このように、交換設備が撤去された駅もあり、現在の厳しさを物語っている。
JRのホームに移り、そこから奥羽本線を快走し青森県の弘前へ・・・。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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