●秋田内陸縦貫鉄道

・2003年3月15日作成
訪れた日 2003年3月9日
 

雪深い、四方を山で囲まれた小さな集落を出発した列車は日も落ちかけた薄暮の中を走り出した。ここは秋田県の山奥、マタギの里・・・今すぐ熊が現れそうな雰囲気だった。列車は走るにつれ山奥に入り込み、これより奥に進んで何があるのだろう・・・。わずかに残照が雪原を染めて、美しいというより、人影が無く、寂しさと不安が心を支配する。ガラガラの車内が寂寥感を増させる。

国鉄阿仁合線は奥羽本線の鷹ノ巣から山奥に向かって比立内まで46.1q。角館線は阿仁合線とは反対側の角館から松葉に向かって19.2qの路線だった。阿仁合線と角館線は結ばれる筈だったが、比立内〜松葉(19.5q)の完成を待たず、廃止指定を受けてしまった。第三セクター化されたのが1986年11月1日 。未完成だった比立内〜松葉が完成したのが平成元年4月1日。ここに秋田内陸鉄道が完成した。

阿仁合線に興味を持ったのは宮脇俊三氏の紀行文より、阿仁合線に乗っているのは皆、美人で驚いたとの記述からだった。何でも東京では数パーセントに過ぎない美人含有率が阿仁合線では殆どが色白の美人だったとの事。当時、男子高校の1年生の私にとっては刺激的な文章だった。しかし、前述の通り、阿仁合線は山奥へ山奥へと進む盲腸線。乗車するには効率が悪すぎ、いっその事、角館線の松葉まで20qを徹夜で歩こうかとも思った次第。

念願の阿仁合線(秋田内陸鉄道)に乗れたのは憧れてから**年たった2003年。トラブルで目的地に辿り着けず、その代替行程で訪れる事になったのだが、それでも何か特別な感情があった。美人云々は、日曜日では最初から期待していなかった。そんな事より、遠く、昔、憧れた鉄道に乗れる事の方が嬉しかった。阿仁合で熊の肉の煮物を買い込み、山奥へ山奥へと走る列車の旅を楽しんだ。

山奥へ山奥へ進む
マタギの里、阿仁合
阿仁合で角館行きに乗り換え
比立内にて
列車交換(比立内駅にて)

http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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