イニシュモア島

2005年8月21日作成
訪れた日 2005年6月20日
 

ゴールウェイ市内でチケットを買い、バスでロッサヴィールへ(約1時間)。北国らしい寒々とした場所・・・。港以外に何もない。フェリーに乗り換え40分、小さな島が見えてくる。これがアラン諸島のひとつ、イニシュモア島である。2000年以上前から続く、独特のケルト文化を色濃く伝承している離島として知られている。

周囲40qの小さな島。ミニバスで観光するか、レンタサイクルで廻るか選択を迫られる。天気はイマイチだが、ここは久しぶりにサイクリングをしたい。島には小さなB&Bが点在しているが、観光客の増加には対応しきれていないと聞く。港を出ると、荒涼とした景色が広がった。石灰石で覆われた土地には樹木は生えない。広大に広がる石の台地、石を積み上げただけの質素な石垣、わずかに見える青い草だけが生命を感じる。その中にポツリ、ポツリと見られる廃墟。

石で作られた教会は天井が崩れていた。自然に戻ってしまう日本の廃墟と違って、こちらは姿を残している。ただし、荒涼とした広い石の台地の中にあると廃墟であっても自然な感じがする。アイルランドには悪いが、この荒涼とした世界。これぞ私の目指していたアイルランドの景色だった。

小1時間自転車を走らせると、正面に断崖らしきものが見えてくる。これが2000年前には軍事要塞だったと言われるドン・エンガスである。入り口からさらに20分ほど丘を登ってゆくと大西洋に面した断崖絶壁が現れる。垂直に切り立った崖・・・・。海面までは90mあるという。防護柵などなく、観光客はうつ伏せになって真下を覗いている。

ドン・エスガスからの戻りは西海岸の荒涼としたダート道を進む。ここも、石垣が碁盤目ように作られている。石垣の中に家があるわけでもない。何のための石垣なのか不思議だった。旅行後に知った事だが、イニシュモア島は石灰石だけで出来た島で、土が無かった。石で囲いを造り、その中に海草を敷いて、家畜を飼って、肥やしと腐食した海草から10年後に土が出来る・・・。

最後はイニシュモア島最高地点。標高123メートルのドゥーン・アーランという展望台。正直言って、ここは自転車で辿るには上り坂がきつい。しかし、灯台のような建物が気になっていたので意地で辿りついた。この付近には遺跡が多く、展望台の付近にも、かつての要塞が崩れながらも残っていた。この展望台を訪れる人は少ないようで、人気の無い廃墟は不気味だった。展望台も約200年前の灯台の廃墟であるのだが・・・。

17時の最終の船まであと1時間。しかし三十路半ば過ぎの体は、これ以上は走れないと言う。自転車を返して、港付近を散歩して時間を潰す。ここで同郷の東久留米市出身の日本人と知り合った。日本から遠く、あまり縁が深くない国の離島。こんな所で同郷の人と出会うなんて不思議だと思った。


港付近の集落
島の家はこんな感じ
石で作られた塀ばかり
教会の廃墟
ドン・エンガスの断崖
荒涼とした西海岸
ドゥーン・アーラン(Dun Arann)

1818年に建てられた灯台跡

現役の灯台

質素な感じ



http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurume/my_hp.gif (6911 バイト)


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