NetNewsの仕組み (慣習編)

さいとう のぼる(j0315@cocoa.ocn.ne.jp)

ネットニュースは、インターネット上において相当古くからあるサービスです。 そのため、そこのきまりや常識は、あなたの知っている他のインターネット上のサービス、たとえばWeb掲示板などとは相当異なるかもしれません。また、同じネットニュースの中でも、net, alt, fj, japan などでは本当に同じ常識が適用されるのでしょうか?

この文章では、それらの概要として、ネットニュースにまつわる慣習についてさっと述べます。ただし、この一連の文章はすべて何らかのきまりではなく、FYI, つまりFor Your Informationという参考情報提供のためものなのですが、特にこの章はその色が強いと理解してください。


この種の問題について、RFC1855, "Netiquette Guidelines"は参考になるかもしれません。 このRFCについても、日本語訳をおいてあるサイトは存在します。 しかし、このRFCもFYIとして書かれています。

これらの文章をお読みの上でどうすればいいかは、ご自身の判断でお願いします。


まず、どういうことに気をつけるとよいかについて、いくつかの例を述べてみます。

上記でも例としてあげましたが、トップドメイン(talk, fjなど)なりニュースグループなりで、ルールや期待される記事の内容が違うことに注意しましょう。 たとえばトップドメインが違うと、(AUP, Acceptable Use Policyなどの)根本的なルールが違う場合もあります。 たとえば商用投稿が禁止されている、とか他人を批判する言動が禁止されている、などです。 不用意にこれらのきまりを破らないために注意しましょう。 ちなみに、fjではfj.1st-readmeやfj.news.groupなどを読むと、関連する文章が定期投稿されています。


わざわざネットニュースで普通に使われているのと違う言葉を使うのは、多くの場合それほどいいことはありません。 たとえば、Web掲示板で使われている言葉をニュースグループにもってきて故意に多用する人もわりと見かけますが、わざわざ違う言葉の広く使われているところで、そのようなことをやる意味は何なのでしょう?

「そのような言葉を使うのは好ましくない」「いや、Web掲示板でよく出ているからいいだろう、そんなのも知らない方が悪い」「いや、ここWeb掲示板じゃないし」のような不毛なやりとりを生むようなことはやめた方が、実質的な情報のやりとりに役立ちます。


技術編でも触れましたが、Subjectには内容のわかることを書くようにしましょう。 これは、適切なニュースグループの選択と同様に、他の人にとって興味のある記事を選んで読むための助けとなります。 これは周りまわって、自分の読みたい記事を選びやすくするためにも役立つことでしょう。


同じ内容の記事を複数のニュースグループに別々に投稿する、いわゆるマルチポストはしないようにしましょう。 そのような場合はクロスポストを使用しましょう。 これについては、技術編の方で述べていますので参考にしてください。

ただし、過剰なクロスポストも、同じく他の人にとって迷惑になる場合もあります。 ニュースグループのトップドメインによっては、それらは内容に関わらずspam[1]とみなされて自動的にキャンセルされたり、そのような記事のメッセージIDや投稿者が記事のフィルタリング対象のブラックリストにのったりすることもあるようです。

場合によってはそのクロスポスト先すべてに関係ある記事であることはあるかもしれませんが、多くの場合、記事の内容はある程度絞って投稿した方が、他の人にとって理解しやすくなると思います。 なお、論点や内容を絞ることにより結果的に記事を複数投稿することは、その文章量にもよりますが過剰なクロスポストよりも問題ないことの方が多いでしょう。


上記にも関係しますが、ほとんどすべてのニュースグループでspamは嫌われる対象となるでしょう。 そのような記事を投稿した場合、あなたが投稿の目的としていた反応よりも、より多くの反感を買う可能性があることを考えてみましょう。


今までの例とは逆に、喜ばれることはなんでしょうか?

たとえば、誰かから何か質問があった場合、正しい答えを答えてあげると喜ばれると思います。 その際には、たとえば、その解答の根拠なり、情報源なりを示してあげるとさらに親切でしょう。 あまり解答に自信のない場合であっても、その旨を添えておくと、結果的にその情報が必ずしも正しくなくても、たとえば調べる足がかりなどの何らかの有益な情報として使えるかもしれません。

とはいっても、それは「回答するものは必ず根拠や情報源を示さなければならない」とか、そもそも「必ず正答を返せなければ答えてはならない」とかいうものではありません。

もちろん明らかなでたらめであったり、それを指摘されても相手を「オタクちゃん」呼ばわりしたりするようでは投稿者自身評判を落とすだけですが、誤りを指摘されたら確認し、たとえば自分の回答の間違っている点がわからなければ別に質問したりとか、間違っているところがわかれば訂正してそれ以降気をつければよいことです。 この部分については「指摘、注意されたとき」の章で触れていますので、参考にしてみてください。


それとは逆の例として、もしあなたが何か質問をして、多くの回答をえた場合は、それらをまとめた投稿をすると喜ばれます。 これをサマリ(Summary)といい、ネットニュースでは古くからある習慣です。

たとえば、数多くもらった回答のうち、たまたまあなたの例では当てはまらなかったものがあったり、複数の正解があった場合などでは、質問と回答、それらの条件をまとめた一つの記事を出すとよい、というわけです。 そういうことをせずに、ただ「解決しました。ありがとうございます。」と書いただけだと、数あるうちのどの回答で解決したのかが他の人にとってよくわからないでしょうし、もしまとめてあれば、同じ問題をもっている人に対して教えてあげる際には、回答記事を1つ1つすべて読まなくても、そのまとめ記事1つよむだけで参考になることでしょう。

ネットニュースでは、自分の記事へのフォローアップされたすべての記事に対して回答しなければならない、というルールはありません。 もし、あなたがWebの掲示板などになれていて、「そうしなければ失礼だ」と思っていたとしても、ネットニュースではそうでない、ということを知っておいてください。


上記のように一通り例をあげてみた上でまた繰り返しますが、これらの文章をお読みの上でどうすればいいかは、ご自身の判断でお願いします。

とはいえ、実際には、インターネットも、ネットニュースも、現実社会の延長上にあります。 これらの世界は仮想の世界だ、とかいうかわった「常識」をあなたがもっていない限り、実はそれほどそこにある慣習も、世間から離れてはいないのではないでしょうか? ほんの少し、自分のやっていることを考えながら投稿することで、思ったより多くの災いを避けることができることでしょう。


配送の仕組み、技術的なきまりについては、また別の章で。

[1] spamとSPAMについての詳細は、http://www.kt.rim.or.jp/~ksk/spam/などを参考にしてください。


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