リメーラ、無料メールアドレス

さいとう のぼる(j0315@cocoa.ocn.ne.jp)

基本的にfjではFrom: へ正しいメールアドレスを書くことが望まれています。 このことは「invalidなメールアドレス」についての説明の部分でもふれましたが、ざっというと正しくないアドレスを使うことはfjの慣習やRFC上の規定に反するため、そしてそのようなことをやっても、利点として広く信じられているほどのメリットはないためです。 さて、ではそのメールアドレスへはメールは届くけど、誰が投稿しているかわからないという場合はどう評価されるでしょうか。

最近はfjではとんと見かけなくなりましたが、一昔前、リメーラ(remailer)と呼ばれるサービスが一部のユーザに使われたことがありました。 これはどのようなサービスかというと、特定のメールアドレス宛に特定の内容を含むメールを出すと、その内容に従ってNetNewsにそのメールを記事として投稿する、いわば Mail2News の一種なのですが、通常のMail2Newsはユーザが特定されるのに対し、リメーラサービスは出力されるFrom: がその特定のメールアドレスになってしまう、つまりその記事を出した人が誰かわからなくなってしまうというものでした。 さらに、この特定のメールアドレスは公開されており、複数人の使用が可能だったため、同じアドレスからの記事でも、同じ人の書いた記事とは限りませんでした。

このサービスは、元々は「組織の内部告発など、自分のアドレスが出た場合不利益が生じる人向けに、匿名で告発できるようにする」という趣旨だったという話ですが、少なくともfjでは、そういう使われ方はしませんでした。

「インターネットは仮想現実(もしくは匿名の世界)だから、名前を出さないようにすれば何をしてもいいんだ」

と勘違いしている人によって、自分の身元をわかりにくくして他人の誹謗や中傷を行うための隠れみのに使われたという例が、見ている限りではずいぶんと多かったように思えます。 無論、実際にはよほどうまくやらない限りは、断片的な情報からでも、誰がそういうメールを出したかはわかることになっていますので、それほど身を隠すにはよいアイディアではなかったようです。 さらに、そういう記事が手元に流れてきたときに、その記事を受け取らないようにしたりとか、受け取っても他のニュースサーバへ転送しないようにするという設定法もあり、リメーラの利用による記事が増えた頃ひんぱんにその方法が投稿されていました。

結局、私感ではリメーラの使用は、

という理由でリメーラからの記事を受けつけない設定にしたサーバが増えたため、ほとんど見られなくなったのではないかと思います。 ひょっとすると、それらの使用者層が2ちゃんねるなどに見られる、Webの掲示板に移ったためにユーザが激減し、目立たなくなっただけなのかもしれませんけど。

同じく、ひと頃無料メールアドレスというのも嫌われる対象となっていたように思います。 こちらの嫌われた理由としても、やはり一部のユーザが直接プロバイダ名等が出ないから何をやっても大丈夫だ、とばかりに記事の質を落とすような誹謗や中傷、でたらめな内容の記事の投稿を行ったりしていたこと、そして特定の無料メールアドレスでそういう記事を一通り書いたあとに別の無料メールアドレスを取得して、たとえば自分自身で書いた意見に「私も賛成です」といってみるような自作自演をやったりとか、まったく他人のふりをして別のアドレスを使うことで「あそこの無料メールアドレスのドメインからくる記事はひどいのが多すぎる」というような、ドメイン全体の評判を落とすような記事の投稿があったためではないかと思います。 しかしこちらはリメーラとは違い、多くの場合同じアドレスでは同じ人が使用していました。 また、会社や自宅で同じメールアドレスを使いたい、とかWebメール機能を使いたい、という、わざわざそういうことをするためにサービスを利用するわけではないユーザが増えたおかげで、時がたつにつれて無料メールアドレスのものに限らない、どのドメインにも共通な、「いい記事を書く人は書くし、書かない人は書かない」という、ある意味当たり前なところで評価が落ち着いたように思います。 そのため、現在はそれほど無料メールアドレス自体への拒絶反応はないようにみえます。

もちろん、それとは別に各人が「いや、あそこの無料アドレスのドメインからくる記事はろくなもんじゃないからうちではいらない」ということは自由ですし、そう評価している人はいらっしゃるようです。 でも、それはその人自身のポリシーですから、よその人がいうべきものではないです。 その代わり、その人はそこのドメインからくる記事の中に有意義なものがあっても読まないということですから。

この二つを比べると、以下のようなことがわかるのではないかと思います。

誰が書いたか特定され評価される、というのは、逆に批判にさらされるということと隣り合わせです。 しかし、その批判を必要以上に恐れずに、そして直すべき点は直していい記事を出すことができれば、fjの記事の質が上がり、巡り巡って自分を含めた利用者全体の利益となるのではないでしょうか。


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