電子メール、そしてネットニュースの記事には、慣習的に署名(シグニチャ、signature)をつける方が多いと思います。 ここには、多くの場合電子メールアドレス、名前(もしくはハンドル), 多少のアスキーアートやちょっとしたことわざ、好きな言葉やオリジナルの一言などが含まれています。 場合によっては住所や電話番号などの個人情報を入れる方もいらっしゃるようですけど、そのような情報を全世界にばらまいて問題ないかは各個人で考えるようにしましょう。
時々他の人の署名について、文句を言う方もいらっしゃいます。 さて、いったいどのようなことが問題とうけとられるのでしょうか。
多くの場合、その長さについて文句をいう方がいらっしゃいます。 たとえば、本文が2, 3行なのに、署名が延々十数行も続き、かつそれが何度も何度も何度も何度も続くようなら、他の人にとっては確かに目障りかもしれません。
また、時々署名についていることわざや言葉などについて、文句をいう方もいらっしゃるようです。 普段からある方が署名で使っている言葉が、たまたまその場をあらわしているかのように見えてしまい、フレームになる場合も散見されますが、その手の言葉というのは本文に関係ないことがほとんどです。 よほど法的にどうか、とか思われるものについてならともかく、多くの場合は署名部の言葉に過敏に反応しない方がよろしいでしょう。
それとは別に、他の人の記事を引用する際にそのまま相手の署名も引用している方がいらっしゃいます。 これは署名に限らずに、あなたの意見を述べるときに不要な部分は引用しない方がよいでしょう。 もちろん、「この署名の中の言葉、いいですね。何かからの引用なのでしょうか?」などと聞く場合は、その限りではありません。 (必要に応じてメールなどで行った方がいいかもしれませんけれど。)
時々、BEGIN PGP SIGNATUREと書いてある、謎の文字列を署名部にみかけることがあるかもしれません。 これはPGP署名といい、その文書を本当にその人が書いたかを、その人の公開鍵と記事のPGP署名を調べることで照合するために使う仕組みです。
まれに、投稿者の署名の肩書きについてからむ人も見受けられます。 たとえばどこかの企業や大学名が入っている署名の人に対して「○×の人なんだからそれぐらい教えろ」とか、「それは○×という組織を代表した意見ですか?」とか「○×という組織の人だからきっと内容は間違いないに違いない」と考えてみたり。 多くの場合、投稿者の所属と、その記事の内容に関しては関係はありません。 そういう先入観や誤解を持つのはやめましょう。 たとえばあなたがプロバイダから投稿していたとして、あなたの意見に対して「それは△◇というプロバイダを代表した意見ですね?」といわれたら、違和感を感じませんか?
これらの署名に関する話については、あくまでもそれを使う人の常識の判断でされるべきです。 もちろん、あなたの常識としてはそれがおかしい、と思うことはあるかもしれませんけど、他の人とあなたの常識は同じとは限らないのですから。
大昔の1200bpsモデムでメインフレームから端末へ記事を取ってくる環境ならともかく、今の環境ではそれほどデータ量的には問題とはならないでしょう(もちろん、だからといってむだなデータをばらまかれるのは迷惑でしょうけど)。 ともすればこの部分の話になると感覚の違いが埋まらず、感情的なやりとりになってしまいがちです。 ちょっとだけ、優しい心なり余裕なりを意識してみるといいのではないでしょうか。
[1] とはいえ、RFC1036を置き換えるために策定されているdraft-ietf-usefor-article-07.txtでは、「もし投稿者や投稿に使うエージェント[訳注:ニュースリーダなど]がそのような署名を記事に付与したいなら、2 つのハイフン (US-ASCII 45) のあとに 1 つのスペース (US-ASCII 32) のみからなる分離行を前につけなければなりません。」「フォローアップを作成するエージェントは、引用文を(作成文に)統合する際には前もって、署名部を引用部に含むべきではありません。投稿するエージェントは署名が過大な場合(4行が広く受け入れられている限度です)は投稿をすすめない(少なくとも警告する)ようにすべきです。」と規定しています。