中川 寛治さん(kanjy@sharp.co.jp)が作成され、fj.archives.answers, fj.news.group, fj.news.policy に定期投稿されているものを許可を得て転載させていただいている物です。

ご意見をお寄せください。 公式な文書ではなく、解説書のつもりです。

ニュースグループ新設の方法 (1999/10/1)

 ニュースグループを作るにはどうしたらよいか、という話です。 ここでは主にニュースグループを新設する場合について扱いますが、廃止、名称変更も同じような手順でできます。

1 基本的なしくみ

 「こんなニュースグループが欲しい」というような要望を持つ人も多いと思います。 ニュースグループは、作ろうと思えば、それぞれのサイト (ニュースサーバ, NNTPサーバ) の管理者 (root etc.) なら作ることはできます。 しかし、だからといって fj のようにたくさんのサイトが参加している世界で、皆が勝手々々にニュースグループを作ったり消したりしては大変です。

 fj に参加している皆さんが混乱しないよう、各サイトが協調して記事を伝達できるよう、fj では次のような約束に基づいて新しいニュースグループが作られます。

1.1 管理人と委員会

 まずニュースグループ管理人という人たちがいて、その人たちが中心となってニュースグループの面倒を見ています。 コントロールメッセージの発信など、実際の作業は管理人だけが行ないます。 勝手にやってはなりません。管理人は、ニュース上で議論され合意された内容にしたがって作業します。 この手順は後で説明します。

 以前は一人の管理人が fj 全体の面倒を見てくれていましたが、規模の拡大につれ、次第に困難が生ずるようになりました。 そのため、現在は一人の議長の元に複数の管理人がいて、委員会 (ニュースグループ管理委員会) を形作っています。 委員 (議長と管理人)の選出や交替の手続きは明確に定められています。

 管理人 (委員会) は fj のニュースグループ一覧を fj.news.listsに定期的に投稿しています。 これは管理用の newsgroups file および checkgroups control message 用のデータを取り出すことができるよう工夫されています。

 ニュースグループを新設する上で、何度か管理人に連絡をとる必要が生じます。 管理人に連絡をとりたいときは

committee@fj-news.org

にメールを送ります。 このアドレスにメールを送れば、そのときの委員会のメンバー (管理人たち) 全員に届くようになっています。

1.2 ニュースグループのためのニュースグループ

 ニュースグループの新設、廃止などについて話し合うために、次の 8個のニュースグループが用意されています。

これらを ``ニュースグループ管理ニュースグループ'' と呼びます。 最初の 7個は分野別です。 作りたいニュースグループがどのような話題を扱うのか、によって使い分けます。 fj.news.group.miscの ``misc'' は「その他」という意味で、他の分類に入らないニュースグループや fj.misc.* のニュースグループに関する話題を投稿するために使います。 最後の fj.news.group は、fj ニュースグループ全体に関する議論や新しい分野を作るような議論を投稿するために使います。

 ニュースグループ新設のための手続きについては後で説明しますが、その手続きのための記事 (CFD, CFA etc.) も、これらのニュースグループに投稿します。

2 ニュースグループ管理の手引

 現在の fj では、ニュースグループを新設したいときは「ニュースグループ管理の手引」に書かれている手順を踏みます。 委員会ができる前にもある程度の約束事はありましたが、一人の管理人の裁量に任される部分が多く、様々な分野の人から多くの人が fj に参加し多様な意見が交わされるようになるにつれ、皆の意見をまとめることが困難になってきました。 そのため、合意の手続きをより明確にしなくてはならないと感じる人が増えてきました。

 そして、複数管理人制と「ニュースグループ管理の手引」が提案され、多くの実験と議論を経て何人もの人々のアイデアを集め、磨かれてきました。 もちろん、これからもどんどん新しいアイデアを採り入れ、時代に合わなくなった約束事は改め、さらに磨きをかけてゆきたいですね。

「ニュースグループ管理の手引」は、英文名称の ``News Group Management Protocol'' の頭文字をとって ``NGMP'' とも呼ばれています。 NGMP は fj.news.group 等に定期的に投稿されています。

 では、実際の手続きについて、見ていきましょう。 ただし、詳細は NGMP を読んでいただくことにして、ここではあらましを紹介するにとどめます。

2.1 皆で案をつくる --- 提案/Proposal

 あなたがあるニュースグループを新設したい、と思ったら、まず関連するニュースグループ (特に今その話題が出ているニュースグループ) で呼びかけてみるとよいでしょう。 よい反応がいくつかあるようなら、ぜひニュースグループの新設に挑戦しましょう。

 ニュースグループを新設するには、名前を決めなくてはならないのはもちろんですが、それに加えてニュースグループの説明文を用意することになっています。 説明文は日本語で書き、それに短い英文を添えます。

例えば、次のようなものです。

fj.sci.bio              Discussion on biology.
    生物学に関する議論を行う。
fj.lang.postscript      PostScript language and related topics.
    PostScript(PostScript 互換言語とPostScriptを拡張したもの
    を含む)に関する議論、情報。このニュースグループでは、
    PostScriptに関係するアプリケーションについての議論も行なう。
fj.living               Discussions about various things in daily life.
    家事・住環境・健康・家族の世話等の、日常生活に関わる話題と
    情報交換。人間の心理や精神そのものについての話題や人生相談
    の類はこのニュースグループにはそぐわない。

 英文は、日本語の説明文の英訳またはその要約で、50字程度に納まるごく短いものが好まれます。 通常、大文字で始め、ピリオドで終えます。 この英文は newsgroups file という各サイトの管理用ファイルに用いられます。 ニュースを読むソフトウェアによっては、ニュースグループを選ぶ際にこの一行英文を表示する機能を持つものがあります。

 ニュースグループに名前を付ける上で、いくつかの制限があります。 まず、ドット ``.'' で区切られた各部分は 14字以下で、かつ英小文字を一つ以上含むこと。 使用できる文字は、英小文字、数字、およびマイナス記号 ``-'' のみです。 これを守らないと、せっかくの記事がうまく流通しないので、注意しましょう。

 まずは提案 (Proposal) の記事を投稿し、新しいニュースグループの名前や説明文についてアイデアを出し合いながら話し合いで決めていきます。 ここでの目的は、次の段階である CFD に向け、具体的な名前と説明文の案を決めることです。

 実は、提案/Proposal は手続き上は必須ではありません。 具体的な案があれば、いきなり次の CFD から始めても、手続き上は問題ありません。

2.2 皆の意見をまとめる --- 公告/CFD (Call for Discussion)

 ここからがニュースグループを新設するための実際の手続きです。

 公告/CFD とは議論の呼びかけであり、実際にニュースグループを新設することを目指し、合意のための議論を始めるという宣言です。 ここからは管理人と協力し、2か月をメドに議論をまとめていきます。 ゴールは、後で説明する合意の手続き CFX を (一つだけ) 成功させることです。

 ニュースグループ新設の CFD を出すときは、ニュースグループの名前と説明文の具体的な案が必要です。 次のことを書いた記事を投稿します。 管理人にもメールで送るとよいでしょう。

 投稿先は、前述のニュースグループ管理ニュースグループ、および、新設したいニュースグループで扱いたい話題が現在流れているニュースグループにクロスポストし ``Followup-To: '' ヘッダでニュースグループ管理ニュースグループを指定します。 例えば次のようにします。

 Newsgroups: fj.news.group.soc,fj.soc.culture,fj.rec.travel.world
 Subject: [CFD] fj.soc.culture.usa
 Followup-To: fj.news.group.soc

 CFD を出す段階では、案 (ニュースグループ名、説明文、及び一行英文) に複数の候補があっても構いませんが、少なくとも優先順位は必要です。 例えば、第1希望 fj.soc.culture.usa, 第2希望 fj.soc.culture.americaといった具合です。

2.3 アンケート (Enquiry)

 皆の意見がスムーズに一つにまとまればよいのですが、たくさんの案が出てなかなか一つにまとまらないことがあります。 このようなときにアンケートをとることは、候補を絞るために役立ちます。

 アンケートをとるには、現在出ている候補を並べ、その中のどれを支持するかを皆にメールしてもらいます。 集計結果は必ずニュース上で公表しなくてはなりません。

2.4 合意を確認する --- 合意方式の選択/CFX

 意見がまとまってきた感触が確かになってきたなら、決定に向けて動き出します。 皆の合意を確認しましょう。 そのために、次のような方法が用意されています。

沈黙による承認 (CFA, Call For Approval)
ニュースグループ名と説明文を提示して、承認を呼びかけます。 反対意見のある人は、異議を投稿します。 2週間以内に誰からも異議が投稿されなければ、その内容で合意されたとみなします。 CFD の段階では複数の案を併記することが認められていますが、CFA では一つに絞らねばなりません。
沈黙による却下 (CFR, Call For Rejection)
CFD でのニュースグループ新設議案を取り下げる (却下する)方法です。 2週間以内に誰からも異議が投稿されなければ、(今回は) 新設を見合わせることになります。
投票 (CFV, Call For Vote)
新設の可否を皆にメールで投票してもらいます。
  1. CFD と同時に投票を始めるのは許されません。 CFD の後、投票に入る前に、少なくとも一週間は意見を出し合うことが要求されています。 CFD から一週間以上経っていれば、いつでも投票を開始できます。
  2. CFD の段階では複数の案を併記することが認められていますが、投票を始めるまでに、一つに絞らねばなりません。 一つに絞れないときは ``複数選択投票'' にしても構いません。 詳しくは NGMP をご覧ください。
  3. 投票開始の呼びかけ (CFV, Call For Vote) を行います。 新設案の内容 (ニュースグループ名、説明文、一行英文),投票メールの書き方と送り先と期限を明記します。
  4. 投票期間は 3週間、投票内容は yes/no の二者択一です。 賛成が 50票以上かつ過半数入れば可決されます。 複数選択投票の場合も同様ですが、複数の候補がこの条件を満たしたときは、票数を NGMP の記述にしたがって比較し、一つに絞ります。
  5. 投票結果は、ニュース上で賛成および反対者の氏名およびE-Mail address を含めて公表します。
署名募集 (CFS, Call For Signature)
投票に似ていますが「賛同者の署名を集める」というやり方です。 投票と違って、反対票を受け付ける必要はありませんし、中立の立場を保つ必要もありません。
  1. 開始の一週間前までに、提案の内容 (ニュースグループ名、説明文、一行英文), 趣旨、募集期間、集計方法を明記して予告をします。 案は一つに絞らねばなりません。 募集期間は3週間です。
  2. 開始前なら、予告したCFSを中止できます。 開始の一週間以上前なら、募集内容を変更できます。 開始一週間前以降に、募集内容を変更する場合は、そのCFSを中止して新たに予告からやり直します。
  3. 新設に反対する人や別の案を推す人は、提案者による署名募集期間内に、対抗署名を募集しても構いません。 対抗署名募集は、提案者による署名募集と異なり、一週間前以上前に予告が必要というルールはありません。 ただし、開始後に内容を変えることはできません。
  4. 署名を50票以上かつ最も多く集めた案が採用されます。 一人の人が複数の案へ署名を送ることは許されます。

 CFA, CFR, CFV, CFS の四つを総称して CFX と呼んでいます。 CFX はニュースに投稿し、かつ管理人にもメールで送る必要があります。 投稿先はCFDと同じです。 また、CFX は期間内に何度か再投稿することを勧めます。 およそ5日おきに投稿すればよいでしょう。

 CFA/CFR に異議が出て、一度で成功しなければ、2か月の議論の間に CFA/CFR を複数回出すことも可能です。 皆さんの意見を採り入れて修正を加えながら、合意を目指してください。 ただし、CFVと CFS は一旦始まると、後戻りは出来ません。

 CFA には、議論を収束させる中間点という意味合いがあります。 議論が白熱している状態で CFA を出しても OK ですが、議論が収束していなければ、誰かが異議を出して議論を続けることになります。

 また、CFA は CFD と同時に出すこともできます。 提案/Proposalの時点で案が一つにまとまり、反対がなければ、CFD と CFA を兼ねた記事を出すのも一つの方法です。 CFA を見て慌てて異議を唱える人もいることを覚悟しておいてください。

2.5 合意が成立したら

 CFD で始まった「合意のための議論」は、何らかの合意が成立すること、つまり CFX が成功することによって完結します。

 CFA が成功したり、投票で可決されたときは、委員会がニュースグループを作成します。 つまり、委員会が newgroup コントロールメッセージを fj 全体に流し、ニュースグループ一覧にそのニュースグループを載せます。 合意がとれたからといって、勝手にコントロールメッセージを fj 全体に流すのは、混乱の元ですからやめましょう。

 そのニュースグループを廃止する議案を出す場合は、廃止の CFDは新設の CFD が出た日から 3か月以上間をあけて出すことになっています。

 CFR が成功したり、投票で否決 (賛成が半数以下、または 50票未満) された場合、そのニュースグループの新設は一旦見合わせることになります。 再挑戦する場合には、前の CFD を出した日から3か月以上間をあけて、新しい CFD を出すことになっています。

2.6 決まらないとき --- 管理人委託

 CFD を出してから 2か月経っても決まらない (CFX が一つも成功しない) ときは、その議論は時間切れとなります。 ただし、CFX の異議待ち期間中に 2か月に達するのは OK で、その CFX に異議が出た時点で時間切れとなります。 2か月の締切は、管理人の権限で、ある程度融通を効かせることができます。

 議論が時間切れになった場合は、管理人が結論を出します。 最適と思われる案を一つ選んで新設するか、投票にかけるか、または却下する権限を管理人が持ちます。

 この場合も上と同様、廃止または再挑戦の CFD は、前の CFD を投稿した日から3か月以上間をあけなくてはなりません。

3 最後に

 以上がニュースグループ新設の手順のあらましです。 ただし、手順を理解して頂くことが目的なので、細かい約束事や、ニュースグループ改廃の説明は省かせて頂きました。 ぜひ NGMP もご一読ください。

 大事なのはニュースグループ新設の可否の議論よりも、その話題の記事そのものの投稿であることを忘れないことです。 ニュースシステムはニュースグループの議論をするためにあるわけではないの ですから。


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