今回の中部大会の第一会場は前回と同じ「すいとぴあ江南」であるという情報は事前に入手していた。江南市の事は父親の実家がある事もあり、ある程度は知っている。そして準決勝・決勝は犬山市でやると確信していた。第12回では明治村へ、そして前回はリトルワールドへ行った。よって今回は犬山城か犬山モンキーパークのどちらかであろうというのが事前の予想であった。また、犬山城でやるなら準決勝は城をバックにしてのバラマキクイズ。決勝は天守閣の中で県ごとにやるんじゃないかとも考えていた(あそこへは一度行った事あるけど結構狭いからね)。
8月5日午後11時30分。例によって横浜駅東口バスターミナルで夜行バスに乗り込み、朝6時に名古屋駅に到着。名鉄新名古屋駅では早くも高校生がたむろしている。私はそれを横目に犬山線で江南駅へと向かう。参加者に送られた通知葉書には犬山駅下車と書いてあるだろうが(江南駅周辺の道路は結構狭く、ピストン輸送に耐えられないからと思われる)、あえて江南行きを選ぶ。江南市に入ると何年か振りなので何か懐かしさが込み上げて来る。今もあれがあるこれもある…といった具合に。江南駅に着いて外に出るとスタッフが何人かたむろしている。何か情報が得られないかと駅周辺案内図を見るふりをして聞き耳を立ててみるが何の情報も得られぬままスタッフ達は車でその場を去っていった。仕方が無いので近くのコンビニで朝食を買う。バスターミナルではすいとぴあ江南直通のバスがある事を知り、バス停前のベンチで買った朝食を食べながら待ってそれに乗り込む。乗客は私と明らかに参加者と分かる女の子三人組(このバスに乗るという事は江南市内の人か)だけ。そして7時半頃、第1会場のすいとぴあ江南に到着。ここは木曽川の河川敷(川がちょうど愛知県と岐阜県の境になっている)にあり、会議室や展望台などがある建物の他、テニスコートや草野球場などが備えられた総合施設である。
さて広場の方を見ると赤い城・青い城のセットと「第1問ヒント!!」と書かれた幕が吊り下げたアドバルーンがある。第1問は城に関するもので、セットは正解発表に使うのだろうという事が推察できる。そして次の会場が(前述の予想もあって)犬山城である事を暗に示しているのではないかとも思えた。と言ってもそれが確かなものでは当然無い。そして土手の反対側にある野外ステージではスピーカーなどの音響設備が設営されている。だがこのステージ、敗者復活戦をやるには狭すぎる。従って敗者コーナーだと言う事が分かる。その後はやはり次の会場を調べる為に周辺を歩き回り、9時半頃に次の会場が明治村である事が分かった(チッ、予想は外したか)。しばらくして前説が始まり、先ほどのアドバルーンについて「三角関数」「歩幅」というヒントを出している。という事は高さに関するものか。本番が始まりそうなので土手側の割と見晴らしのいい所に座る事にする。そして10時ごろ、白馬にまたがった福澤アナがのそのそと現れる。全然迫力が無い。その前にも馬は見ていて、登場する際には颯爽と高校生の間を駆け抜けて「暴れん坊将軍をやる気か!?」と思っていたので肩透かしをくった。馬に乗って登場したので「アソコは馬並み、福澤朗でございます」(この大会で出た下ネタは私の記憶ではこれだけ)と挨拶した後「失敗は失敗と認めろ!!」と叫んでいる。今大会の参加者数が県ごとに少ない順に発表される。「少ない順に」というのはすっかり恒例になっているようだ。
前回が1700チーム台だったので大幅に増えたと言える。愛知はともかく岐阜は場所柄か他の3県と比べて格段に多いと言う印象を受ける。そして第1問が発表される。
私の選んだ答えはYES。「何となく」と言うのと、もしNOならアドバルーンは風の状況によってその高さが変わったり(ひもを短くしたり)して答えが変わってしまう可能性があると思ったから。タイムアップしてみると、圧倒的にYESの方が多い。正解発表の方法は先程書いたように、YES側には青い城、NO側には赤い城のセットが建てられている。この2つのどちらか一方、不正解側の城が爆発するというもの。題して「お裁きキャッスル’96」。高校生達からYES−NOコールが湧き起こる。
「YES! YES!」
「NO! NO!」
「いくぞっ! 正解は…正解は…これだぁーーーーーーー!!!」
まだその頃は参加国も少ないから地元のギリシャが多くてもおかしくはない。だがそうでない方が意外性があると思いNOと判断。高校生達も圧倒的にNOの方が多い。結果、正解はNO。
70回以上もやっていれば24以上いってるだろうと単純に考えてYESだと判断。高校生達の方は圧倒的にNOの方が多かったが、正解はYESであった。この問題でまず長野県から最初の勝ち抜けチームが出る。敗者に向かって福澤アナは「東京へ行く事があったらマイスタに遊びに来てねー。『ズームインサタデー』は中京テレビでは7時半までだけれども、本当は8時までやってるんですよーーーっ」と言っていた。次の4問目からは走りクイズとなる。
YES−NOクイズの合間に野外ステージを見てみたが、やはり敗者コーナーが設けられていて、ウルトラクイズと同様に敗者が担当アナ(後に中京テレビの板谷アナと分かる)をピコポンハンマーで殴るというのをやっていた。その横では多数の敗者達がピストン輸送のバスに乗り込んで行く。閑話休題。クイズが進んでいくにつれて問題が簡単になっていき、12問で終わった。しばらくしてペーパークイズが始まる。関東同様しばらくは何の音沙汰も無いのでその間にいつの間にかに設置されていたテント売店で昼食を買う。クイズ会場のすぐ近くにはブーブーゲートが設置されている。明治村へは結果発表を全部見てから行っても間に合うと判断したのでしばらく休憩。ペーパーの結果発表の時間となったが、敗者となった高校生達もまだちらほら残っている。方式は各県1チームずつそのリーダーを呼び出し、その5人が同時にゲートをくぐり、その合否が全て同じというもの。ところで一つ印象に残った事が。それは内容の説明をする際にピンポンブーの音を鳴らすのだが、その時関東では周囲の観客は「オォー」とどよめきや拍手まで起こったのに中部の観客は何の反応も見せない。この違いに「一体なんでだ!?」と思った(誰か説明出来る人いますか? いたら教えて下さい)。結果を全て見届けるとすぐに次の会場の明治村へと向かうべく、ピストン輸送のバスに乗り込み犬山駅へ向かう(そういえばこのバスの中でも「(ウルトラクイズは)トメさんやめちゃったからねぇ」と言う会話をしている人がいた)。犬山駅に着くとちょうど明治村行きのバスが停まっていたので急いでそれに飛び乗る。それから20分くらいして明治村に到着した時、入口で挑戦者が中に入ろうとしているところで、やはりこのタイミングは正解だった。私も挑戦者が中に入るのを確認してから入場券を買って入り、その後をつけていく。
準決勝は『明治村ダウトクイズ』。まず指定された4つの建物の中に明治時代の日本に無かった物が紛れ込んでいるのでそれは何かをフリップに書いて提示。正解ならその順番の番号札を貰い、正解チームの列に並ぶ。不正解なら探し直し。制限時間は3分間(それまでにライオン君とクイズラ(おなじみ、高校生クイズのマスコットキャラクター)の人形が置かれたゲートをくぐる。くぐれば3分経っても物当てクイズの解答権は認められる)。次にその物当てクイズに正解した順に1チームずつ通過クイズが出題される。提示されたいくつかのジャンルから1つを選び、出た問題に答えるというもの。正解なら1ポイント入って(2ポイントで勝ち抜け)次のチームに順番が回る。ただし不正解だとそこから後ろのチームには解答権が無くなり、また物当てクイズからやり直しとなる。まずは物当てクイズから。「用意、ピッ!」笛の音が鳴ると高校生達が一斉に走り出し、凄まじく響き渡る足音が各ラウンドの度に繰り返される。ちなみにこの物当てクイズ、いったいどんな物が答えになったかと言うと、セロテープ、携帯電話、コンパクトディスク、現代の警察官の制服、ゲームソフト(ダービースタリオン)など、知識云々より常識で分かるものが多かった。また、途中であるチームがライオン君の人形にぶつかって倒したのでスタッフが「おい! スポンサーだぞ!」というギャグを飛ばす一幕もあった。
さて通過クイズの方に移そう。最初の方ではそこそこの正解が続いたが、ラウンドが進む(高校生の体力が消耗していく)につれ、早いうちからの不正解が続出する。特に先頭チームの不正解も3回くらいあり、これだとクイズが全く進行しないのでかなり困りものである(これは見ててイライラした)。そのため通過クイズの問題はかなりやさしめになっている。さて、何ラウンド目かの先頭に伊勢高校井村チームが先頭にやってきた。ジャンルは洋楽。
「問題。『パパ・ドント・プリーチ』『ラ・イスラ・ボニータ』『ライク・ア・ヴァージン』これらのヒット曲を歌ったのは?」
福澤「なぬっ! なぬっ!!」
伊勢「シャロン・ストーン」 ブー(正解はマドンナ)
福澤「いやぁ相当疲れが脳ミソにきてますねこれは」
次のラウンドの通過クイズで伊勢高校井村チームがやって来る。
福澤「さっきマドンナで大迷惑をかけた伊勢高校ですね。覚えて下さいマドンナくらい」
今度はちゃんと正解。その次のラウンドではまた先頭でやってきた。
福澤「さ、何にしますか伊勢高校」
伊勢「オリンピック」
現時点での三重県の状況を説明し、問題を読む段になる。
福澤「パパ・ドント…あ、違いますね」
と、おちょくって周囲にウケて、今度こそ本当に問題が読まれる。
「日本が参加した第5回オリンピック。開催地となったスウェーデンの都市は?」
伊勢「ストックホルム」 ピンポンピンポン
福澤「決まったーーーっ!! マドンナも知らずに決勝進出!」
伊勢高校井村チームは勝ち抜けたにも関わらずまたしてもおちょくられ、周囲もまたウケる。さてそんな事も含めて色々あったが、最後は静岡県の4チームが1ポイントずつ持った状態で残っている。もう12ラウンド目あたりだろうか。ダウトクイズは4チームとも正解。通過クイズではまず先頭の静岡高校勝ち抜けたのだが、そのリアクションの際、持っている1番の番号札を壊してしまった。
福澤「お前もう次のラウンド出来ないじゃんかこれ」
だが次の静岡学園も正解し、次のラウンドはやらずに済んだ。「決勝はこの明治村のどこかで行ないます」とのことなので、勝者の後をつけてみることにする。だが、着いたのは駐車場で、勝者はマイクロバスに乗り込んでいる。私は入場する際にゲットした案内図を見て、決勝は帝国ホテルでやるとふみ(12回の決勝はそこでやった)、歩いてそこへ向かう事にする。明治村では(明治時代のものを模した)路面電車が走っているのだが、もう終電は出てしまっている。明治村はかなり広く、ここからだと端から端という位置なのでかなりしんどい。途中で明治時代を再現したさまざまな展示物に通りかかるが、ろくに見ていない。どれだけ歩いただろうか、10台の早押しテーブルやステージが置かれているセットが見えた。どうやら決勝も見られそうだ。場所の予想は外れたが、帝国ホテルのすぐそばだ。クイズ会場は明治時代の裁判所を再現した建物をバックにしている(福澤アナのアナウンスによる)。
決勝は「お並べショータイムクイズ」。早押しで2ポイント取ると、用意された5つの「お題」のうちの1つを選び、ステージに(お題に応じた)3〜5つの選択肢が登場するのでそれを「時代順に」並べかえる。正解なら全国大会進出。不正解なら1ポイントに戻って早押し席へ。それぞれのお題(通過問題)は正解が出るまで何度でも同じものを選べる。正誤判定の方法は、裁判所なのでスーツを着た「お裁きマン(これまた後に板谷アナと分かる)」が両手で二つ折りにして伏せた紙を持って登場し、福澤アナの「お裁き、プリーズ!」の合図と共に紙が開かれる。その紙に「勝訴」と書かれていれば正解。「敗訴」と書かれていれば不正解である。決勝の開始は5時過ぎだが、困った事に明治村は5時で閉まる。当然明治村の人のチェックが入り、5時20分で最後のバスが出て帰れなくなるから速やかに帰るように言われる。多少の押し問答をするが(「歩いて帰りますから」と明治村の人を説得するなど)、特別の許可を得ている番組側と違いこちらは一介の客。そんなのが通用する訳が無い。スタッフからも「キミ、スタッフ?」と言われて睨まれた事だし、帰ったふりをして会場からいくらか離れた所で見る事にする。「不法滞在」の成立である。もし途中でスタッフが自分に近づいてきたら観戦は諦めて逃げようとも決めていた。だが音声が全然聞こえない。問題のテープへの録音も、自分の耳にも聞こえないのにスイッチを入れても音が拾えそうに無いので断念した。結局少しずつ近づきながら見るが、音声は余り聞こえなかった。だが通過クイズの選択肢は大体見えた。どんな問題だったかを紹介する。
「フラフープ、アメリカンクラッカー、ルービックキューブ、ヨーヨー。これらを発売された順に並べると?」
「『YAWARA!』『金田一少年の事件簿』『るろうに剣心』『スラムダンク』これらを連載が始まった順に並べると?」
他の問題は、5人の歴代アメリカ大統領の顔写真を見せて「この5人を就任した順に並べると?」(写真まで距離があって誰なのかが全然見えなかった)、ラジオ体操で行なう3つの運動を見せて(ステージ上にいる3人の女性がそれぞれの運動を実演している)「これらを行なう順に並べると?」(言葉じゃ説明できない上に選択肢忘れた)、4つのスポーツ道具を見せて「これらのスポーツをオリンピックの正式種目になった順に並べると?」(選択肢が1つ思い出せない)というものだった。クイズの方はわりとスムーズに進んだが、終わったのは6時ごろだった。
これ以上の長居は冗談抜きでヤバイのでクイズが終わると共に(表彰式は見ないで)すぐにこの場から逃亡する事にした(苦笑)。なお、表彰式では伊勢高校伊豆田チームが福澤アナに「相手がマドンナを知らないので戦いにくかったでしょう」とインタビューされたらしい。少し歩くと路面電車用の転車台が目につき、(ちょっとだけ放送された)12回の近畿の決勝はどんな形式だったんだろうと思いながら明治村を去る。道路はかなり狭い上に外灯が無い。夏場の明るい時間帯でよかった。それでも明るい内に行かないと何も見えない真っ暗闇の山道を歩くという非常に危険な状況に身を置く事になる。はじめは犬山駅まで2時間くらいは歩いていく覚悟だったが、25分くらい歩くと住宅地に入り、犬山駅行きのバスも走っている。「助かった」と思ったが、次のバスまで30分待ち。おまけに乗ったバスが運賃後払いである事をすっかり忘れ(普段使っているバスは乗る時に払う。しかも料金は一律)、いきなり降りようとして運転手にどやされたりもした(そして「田舎の交通運賃は(バスも電車も)高い」というのを身をもって認識した)。その後は名鉄で新名古屋まで乗ってそのまま「ひかり」で新横浜へ。幸運にも自由席が空いていて、そこに座ると泥のように眠り込んでいった…。でも新横浜に着く頃にはちゃんと目は覚めた。