− 第16回関東大会 −


 前回の関東大会は朝7時半に家を出たらオープニングの問題発表に間に合わなかった。今回こそは見ておきたいと思い、朝7時に家を出る。10時前くらいに西武球場に到着。まだ第1問・第2問は発表されておらず、問題を掲示する各所の看板には緑色の幕で覆われており、それぞれをスタッフが見張っている。ステージ前に集まっている高校生をやや離れたところから見ていて、何か数が少ない…盛り上がりに欠けるなと思った。しばらくして福澤アナが登場。「携帯電話を持って来た人! (多数が挙手)…結構いますねぇ。それではパソコンを持って来た人! (何人かが挙手)…パソコンっていっても『パーソナルコンニャク』じゃぁないよねぇー。」などとのたまう場面も。そんなに敵を増やしたいか福澤(笑)。まぁいろいろあった後、いよいよ第1問・第2問が発表される。

第1問
ガンバレニッポン!!
1996スポーツの祭典、アトランタオリンピック日本選手団が世界の強豪に打ち勝つ為に持ち込んだ“切札”を全選手に聞きました。結果、YARAWAちゃんをはじめ、回答のあった86名のバッグの中には勝利の守護神「お守り」よりもストレス解消の妙薬「梅干し」の方が多かった。

第2問
ここ西武球場から世界中にアクセスできる夢のアイテム、携帯電話! 現在、普及率急上昇の我が国ニッポン。加入者総数はアメリカを抜いて世界一である(1996年6月30日現在)

 発表が済むと福澤アナはさっさと舞台から消えていった。自分の第一印象はYES−NO(これは最後まで変わらなかった)。1問目のパターンは第5回の関東でも出ていてその時の答えがYESだったしこっちの方が面白いと思ったから。2問目は何かでっち上げ的な感じがした。その後は2時間は何もやる事が無いので各所を適当にうろついていると、何やら呼びかけをしていて人が集まっている。近づいてみるとウルトラクイズ復活嘆願の署名運動をやっている。その為の折畳式テーブルや朱肉・指を拭くティッシュペーパーまで用意されている(みんな印鑑なんて持ってきてないので拇印による捺印をしていたので)。早速私もそれに混じり嘆願書に署名する。さらにはカメラクルーによる取材までやってきて、この署名運動の発起人であるチームにインタビューをしていた。話の内容を聞き取ろうとしたが、最後の「ウルトラクイズを復活させましょう!!」という締めの言葉しか聞き取れなかった。私は見ていて、この模様はどうせ放送されないだろうなぁと思っていたが、やはり放送されなかった(苦笑)。だがその横で「ウルトラクイズってさぁ、福澤さんになってからダメになっちゃったでしょう」という会話も聞こえた。それは否定しないが別にそれだけが原因じゃないだろうと私は思った。

ウルトラクイズ復活嘆願署名運動の風景 ウルトラクイズ復活嘆願署名運動の嘆願書

 受付の列を見ていると、圧倒的にNO−NOが多い。自分の選んだ答えに不安がよぎったが、「ここ数年は人数の多い方が正解だったからきっと今年は少ない方が正解だろう。」と自分に言い聞かせていた。放送では1問で別れているように見せかけているが、受付には選んだ答えに応じた4種類のカードが用意されており、受付の段階でその選んだ答えに対応するカードが渡される。グラウンドには2問とも正解した事を示すカードを持っている高校生だけを入れるようにする形式である(以上、知ってる人は多いだろうけど知らない人のための解説でした)。時は経ち、大会が始まりそうだったので球場入口前に近づく。そこでは第13回で準優勝した県立千葉高校の百々海(どどみ)くんがスタッフをやっているのを見た。今回は『TVおじゃマンモス』のチーム(※)をグラウンドのYES−NOサークルに別れての入場をしていよいよ福澤アナの登場と思いきや、ステージに出てきたのはダチョウ倶楽部だった。せっかくヒートアップしていた高校生のテンションは一気にトーンダウン。3人によるやりとりのあと今度こそ福澤が登場した。

※『TVおじゃマンモス』 これまた知らない人のために説明しておくと、日曜の午前中に日本テレビで放送している番組(多分関東ローカル。他地区でもやってますっけ?)。その中で行われている「高校生クイズバックアッププロジェクト」の事。番組で参加者を数十チーム募り、全国大会目指しての「特訓」を行ない、本番の大会での奮闘ぶりを追跡するというもの。この企画が始まった第14回以来必ず1チームは決勝進出している実績があり、目が離せない存在となっている。

 今大会の参加チーム数が都県別・YES−NO別にそれぞれ発表される。

山梨県   135チーム
茨城県   588チーム
栃木県   597チーム
千葉県  1169チーム
神奈川県 1388チーム
埼玉県  1618チーム
東京都  2826チーム

YES  2496チーム
NO   6585チーム

「合計、8321チーム。24963人!!」。ん、おかしい。群馬県だけ発表されてない。高校生からもブーイングが起こる。いきなり集計ミスの発覚である(おまけに単行本では関東の参加者数はその群馬が抜け落ちた分をそのまま載せるという暴挙(手抜き?)を行なう)。まぁ上記のデータをよく見て計算すれば群馬県の分と実際の参加チーム数は割り出せるけど(760チーム)。YES−NOクイズ1・2問目の正解(NO−NO。そう、私はいきなり1問目をハズした)発表の後、ダチョウ倶楽部の3人が「敗者復活お願いしますよ」と懇願し、福澤アナはそれをあっさり認める。前回の関東を見た時は別に頼まれなくても自分から敗者復活をやると言っていたのに(ちなみに他の予選では地元局アナにいろいろ難癖をつけ、何らかの条件付きで敗者復活をしてもいいと言う筋書きになっている)。この点からも、ダチョウ倶楽部が何の為に出てきたのかさっぱり分からない。ルールはジャンボトロンに県名スロットが映し出され、止まった県のエリアから抽選で5チーム(登録番号によって決定)が復活となる。今回の復活エリアは東京都である(ちなみに前回は茨城県)。一方その後ろでは遅刻者を集めての「遅刻者クイズ」をやっている。関東での事前番組の企画である。だが私は球場内の方を見ていたので詳しい事は分からない。ただYES−NOクイズをやっていたところをちょこっと見ただけだったし。敗者がゾロゾロ帰り出して1問目の不正解側のゲート(今回は1塁側)が開放されるので早速入り込む。3問目はスタンド・グランドお別れクイズ。YESならグランドに降り、NOならスタンドに残る。

重い物を持ち上げる時「ヨイショッ!」と掛け声を出した方がより力が出る

 私はすぐにYESだと分かった。ずっと前にNHKの科学番組でその事を取り上げていたのを見たから。4問目からは各県の横断幕が登場し、県別に分かれてのクイズとなる。「自分の県の横断幕のところにいないと失格にします」とスタッフが指導している。4問目は圧倒的多数が正解し、いよいよ運命の5問目

車の信号機。電球の交換回数が最も少ないのは、点灯時間の短い黄色である。

 タイムアップしてみると、極めて圧倒的にNOの方が多い。4問目の事もあり自分もNOだと思ったが正解はYES。凄まじい「大量虐殺」であった。この問題でいくつかの県で勝ち抜けが出た。しばらくして「おい!!」という怒声がした。「え? もしかして(勝手に潜り込んでいる)俺!?」と思って一瞬ビクビクしたが「自分の県の横断幕のところで移動しないと失格にするといっただろ!! 失格だ!!」何だ、自分じゃないのかと少しホッとした(^_^;)。他の県のエリアに移動しようとしていた所をスタッフに見つかったようだ。で、後で分かったところでは失格にされたのは『TVおじゃマンモス』のチームだったらしい。自分達はずっとおじゃマンモスのチームだけで固まっていて、県別に分かれるというのを忘れていたのでは無かろうか…という見解が強い。だがYES−NOクイズはまだまだ続く。その最中にも福澤アナの「みんなっ、下半身は濡れているかーーーっ!!」といったシャウトが西武球場にこだまする。

15問目:「フトモモ」という植物はあるが、「フクラハギ」という植物もある。

 残っている全チームがYESへ行った。よってこの問題では勝ち抜けは出ない。福澤アナも「オンエアでは100%カットされるくだりです」と言っていた(だが実際のオンエアでは関東大会そのものもほぼ100%カットされていた(怒))。そして正解はNOであった。これって過去問なのに。16問目を経て、残る席は東京都が1つだけで残っているのは2チーム。

17問目:食虫植物は、虫を食べないと枯れる。

 これもまた出てまだ間も無い過去問だったにも関わらずYESとNOに別れた(正解はNO)。これにてYES−NOクイズは終了。時刻は3時ごろである。『TVおじゃマンモス』のチームは1チームだけ残った。

 しばらくしてペーパークイズが始まる。その間は特に何も起こらないので一旦球場を離れ、近くのコンビニでジュースを買ってまた球場に戻る。結果発表の方法はブーブーゲート。くぐるチームは挙手で名乗り出て福澤アナが指名する…というやり方。決勝へ進めるのは各都県4チーム。1チームだけ残っていたおじゃマンモスのチームも見事合格して決勝進出を果たした。

 決勝は前回と同じ「広き門狭き門早押しクイズ」。ルールを説明すると、セットには早押し席が12台置かれていて、同時にクイズを行なう県の数(1〜3)を抽選で決め、今度はそれにどこの県が入るかをまた抽選で決める。早押しで3ポイント取れば全国大会進出。お手つき・誤答は1回休み。そのセット全ての県が抜ければまた最初の抽選を行なう。つまり県の数が多ければ人数が多くなり解答権を取るのが困難となり、逆に少なければ解答権が取り易いと言う訳だ。最初の抽選では茨城県と群馬県が選ばれた。

 「必ず僕が学校名そして同じ学校がある場合はチームリーダー名を言います。○○チームって。それを言ってから答えを言うように。それ以前の答えはカウントいたしません。いいですね。それではいきましょう。早押しボタンに手を置いて。まずは茨城県・群馬県の決勝です。」
「問題。アトランタオリンピック日本選手団310人の主将を務めるマラソンランナーは?」
問題が読まれきってからあるチームがボタンを押したが結局無回答(正解は谷口浩美)。「知らないかおい。知らないかぁ。はい○○高校●チーム1回休み。1回休みですが早押しボタンには手を置いといて下さい。これは絵ヅラの問題です。でも押す事は出来ませんよ。いいですね。」と、間違えたチームに対して言ってこう続く。「なお申し遅れましたが、沢山の皆さん、ギャラリーの皆さん、応援をして頂いて有り難うございます。えー非常にこれだけですね、あのぅ静けさが戻ってまいりますと、何気なくその観客席でつぶやいた答えがここまで筒抜けになる可能性が充分にありますので、えー応援は大いにして下さって結構ですが、決して答えは口に出さないようにお願いいたします。決して答えは口に出さないように。もしここにいるスタッフの誰かの耳に何らかの答えが届いた段階でその問題はキャンセルといたします。そのギャラリーの皆さんの発言した事が、高校生諸君、チャレンジャー諸君に聞こえていようがいまいがその問題はキャンセルといたします。実際に北陸大会でもそういった事がありまして、ちょっと何チームかが涙を飲んだと言う悲しい事態がありました。二度とあの二の舞だけは踏みたくありません。ご協力お願いいたします。」と、球場に残っている観客に対しての注意事項を述べた。この組では20問終わった段階で茨城県は4チーム全てが2ポイント取るというヒートアップ状態。次の21問目で江戸川学園取手高校笹原チームが勝ち抜け、群馬県も24問目で太田女子高校が勝ち抜けを決めた。

 次の組は東京都のみ。まず12問目で吉祥女子が、続く13問目で東海大菅生がリーチをかけ、吉祥女子の誤答を挟む15問目で菅生が最初の勝ち抜けを決める。この後も文教大付属と東海大高輪台もリーチをかけるが21問目で吉祥女子が逃げ切った。だがこの対戦では誤答・キャンセル問題が10問と目立ち、特に17問目「100万枚プレスする毎にジャケット写真を変える事から現在(’96年7月)4種類がCDショップに並ぶ安室奈美恵のアルバムのタイトルは?」がキャンセルとなり(正解は『SWEET 19 BLUES』)、観客席から「えー知らないのー」といったどよめきの声が起こった程である。

 次は千葉・神奈川・栃木の3県同時の対戦。まず2・3問目を石橋高校が連取して「王手飛車取り状態(福澤アナのアナウンスによる)」を築き、他のチームもそこそこの正解をして、14問目で神奈川の法政二高、15問目で石橋、17問目で千葉の県立船橋高校が勝ち抜け、最後の方で一気に決まる形となった。この対戦で東京と対照的なのはキャンセルがゼロで誤答もわずか3問と、問題を無駄に消費しなかった点である。やはり答える人の数が多いと誰かしらが知っているという事だろうか。あるいは東京のレベルが低かったのか、この3県のレベルが高かったのか。

 最後は山梨県と埼玉県の対戦。特に山梨には『TVおじゃマンモス』唯一の勝ち残りである山梨学院大学付属高校がいる。最初の方は正解が順調に出る。そして5問目
「問題。丈が短く、ボタンの無い前開きのジャケットは何?」
ポーン「川越女子!」 「ボレロ」ピンポン
ここで川越女子の応援団が「キャワーッ!!」と黄色い声援が飛ぶ。答えた当人達はキョトンとした様子だったので福澤アナに「あんなにさぁ、応援団が喜んでんだからキミ達も1ポイント取ったら『シャーッ!』とか『ウシッ!』とか、言わないのか? 言わないのか?」とツッこまれる。そして次の6問目
「今年(’96年)の8月に公開される、アラスカを舞台にしたアニメ映画『バルト』。製作総指揮は誰?」
この問題を山梨学院が「スティーブン・スピルバーグ」と答え正解。残っている『おじゃマンモス』の面々からは大声援が湧き起こる。福澤「そうだよそうだよ。それが正しいテレビ作りだよ」 この問題の解説(狼とアラスカ犬のハーフ犬が大雪の中ジフテリアのワクチンを運び、人命を救ったという実話に基づくストーリー)を述べた後「じゃせっかくだからな。『おじゃマンボウ(注:おい、番組名間違えてるぞ)』サービスとして、1ポイント取った今の心境を応援団に言っとけ」 「やったぞ!!」 応援団は大喜び。だが次の問題はキャンセルで、更に誤答が5問連続で出る(そのうち2つは山梨学院によるもの)。山梨学院はその後いい所がなく、結局15問目で甲府南高校が勝ち抜け、『TVおじゃマンモス・高校生クイズバックアッププロジェクト』の全国大会への夢は3年連続決勝でついえた。残すは埼玉県のみ。問題がそこそこ進み、3チームにリーチがかかった。そして運命の23問目
「問題。アラブ語では『庭園』という意味がある、サウジアラビア王国の首都といえば?」

ポーン「川越女子!」 「バグダッド」
ブー 「答えはリヤドです」

だがしばらくして、福澤「えー、ちょっと観客席から…聞こえましたねぇ。…厳しいんだよ。実際にあった事なんだけども…、まぁ答えをね、まぁ本人はそんな深い悪気は無かったのかも知れないけどもねぇ。その、観客席から伝える事になって、その学校はですね、翌年出場停止となりました」 そういえば昨年の関東の決勝でも同様の事が起きて(その時の声の主は決勝に残っている学校の人だったようだ)スタッフが激怒して、福澤アナも「●●県代表のいない全国大会が成立しそうです」と言っていたっけ。 「…て事で今の問題はキャンセルと言う事になります。ハイ、川越女子は生きています」結局これにより川越女子は1回休みのペナルティを免れた。そして次の問題「ニューヨーク、白雪姫、ウイリアム・テル。共通する果物といえば何?」

ポーン「川越女子!」 「リンゴ」
ピンポンピンポン   「レディーーファイヤーーー!!」

かなり後味の悪い、そして考えさせられる終わり方であった。これを読んでいる皆さんはどんな感想をお持ちでしょうか? それはさておき川越女子の応援団は大喜び。福澤「よかったなぁー応援団。君達におめでとう!!」「埼玉県代表は川越女子高校に決定いたしました」 決勝がすべて終わった後、表彰式に移る。特に栃木県はまた石橋高校が勝ったのでインタビューが行なわれる。3年生チームと言う事で
「昨年の代表チームとは面識はありますか?」「いえ」
「では優勝した女性チームとは?」「学校の体育館で表彰されてるのを見ました」
とまぁこんな感じの話題が出たあと、どこの予選でもやる恒例の「1・2・3・ファイヤー!!」のコール(ところで関東でこの場面が放送されたのを見た事が無い)で表彰式そして関東大会は終わった。

 球場を出ると、まだ例の署名運動が続いている。署名された嘆願書の束から見て、最終的には1000人は超えているようだった。筆者もこのチームに声をかけ、あらかじめ持って来た「第1回クイズコンベンションカタログ(自ら作ったイベント本)」を渡すのを忘れなかった(交流の機会になればと、予選会場に行くたびに何部か持参している)。この署名嘆願書はその日のうちに番組スタッフに渡すと言っていたが(自分も運動に協力すると言って嘆願書を何枚か貰ったが、自分は全然運動しなかった。スマン!!(9回の準決勝で負けた島根の情報科学高校の人風に))、後日でもいいから日本テレビの編成局に送付するのが筋だったのでは(打ち切りの最終的な決定を下したのは編成部なんだし)? あの嘆願書がちゃんとそこまで届いたがどうか…。下手したらこの運動は無駄だったという事にならないか心配である。だが、このような行動をとるという姿勢は称賛に値する。私は全面的に支持したい。この事を必要以上に大きく取り上げたのも、より多くの人にこの運動を知って貰いたかったからである。



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