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Last Update = 2014.7.8
事前準備 − 旅行記・一人で行くロシア連邦・サハリン州自家用車の旅2013 −

1.旅券(パスポート)


出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)

 (日本人の出国)
第六十条 本邦外の地域に赴く意図をもつて出国する日本人(乗員を除く。)は、有効な旅券を所持し、その者が出国する出入国港において、法務省令で定める手続により、入国審査官から出国の確認を受けなければならない。
2 前項の日本人は、出国の確認を受けなければ出国してはならない。

 (日本人の帰国)
第六十一条 本邦外の地域から本邦に帰国する日本人(乗員を除く。)は、有効な旅券(有効な旅券を所持することができないときは、日本の国籍を有することを証する文書)を所持し、その者が上陸する出入国港において、法務省令で定める手続により、入国審査官から帰国の確認を受けなければならない。

 言わずと知れた海外旅行の必須最重要文書。有効な旅券(パスポート)を所持していないと、日本を出国することもロシア連邦に入国することもできませんし、ロシア連邦から出国することも日本に帰国することもできません。

2.査証(ビザ)


 他の国へ入国するためには、原則として、あらかじめその国の在外公館等で査証(ビザ)の発給を受けることが必要です。近年は、観光目的の短期間の滞在などのための入国には査証(ビザ)を相互に免除する取り決めを日本と交わしている国も多くありますが、ロシア連邦への日本人の入国には、2013年現在、原則として、査証(ビザ)の発給が必要とされています。

3.国際運転免許証


道路交通に関する条約(昭和39年条約第17号)

    第一条
1 締約国は、その道路の使用に関する管轄権を留保して、その道路をこの条約に定める条件に従つて国際交通の用に供することに同意する。
2 締約国は、一年の期間をこえて引き続きその領域内にとどまつている自動車、被(けん)引車又は運転者にこの条約の利益を及ぼすことを要求されない。

    第二十四条
1 締約国は、自国の領域への入国を許可された運転者で、附属書八に定める条件を満たしており、かつ、他の締約国若しくはその下部機構の権限のある当局又はその当局が正当に権限を与えた団体から、適性を有することを実証した上で、発給を受けた有効な運転免許証を所持するものに対し、附属書九及び附属書十に規定する種類の自動車でその運転免許証の発給の対象となつているものを、新たな試験を受けることなく、自国の道路において運転することを認めるものとする。
2 もつとも、締約国は、自国の領域への入国を許可された運転者が国内運転免許証を必要としない国又は附属書九に定める様式に合致しない国内運転免許証を発給している国からきた者である場合には特に、その者が附属書十に定める様式に合致した国際運転免許証を携行することを要求することができる。
3 国際運転免許証は、運転者が適性を有することを実証した後、締約国若しくはその下部機構の権限のある当局又はその当局が正当に権限を与えた団体が、シール又はスタンプを施した上で、発給したものでなければならない。この運転免許証の所持者は、すべての締約国内において、その運転免許証の発給の対象となつている種類の自動車を、新たな試験を受けることなく、運転することができる。
4 〈以下略〉

   附属書八
   国際交通において自動車の運転者が満たすべき条件
 第二十四条に規定する条件に従つて自動車を運転することができるための最低年齢は、十八歳とする。
 もつとも、締約国又はその下部機構は、他の締約国が十八歳未満の者に対して発給した二輪の自動車又は身体障害者用車両のみに係る運転免許証を認めることができる。

 18歳以上で有効な日本の運転免許証を所持している人は、一定の条件の下に、外国においても自動車を運転することが可能です。一般的には、外国(条約の締約国)で自動車を運転するためには、有効な日本の運転免許証と共に、国際運転免許証を携行しなければなりません。運転することができるのは、その国への入国から1年以内です。

 ちなみに、条約の規定によれば、外国(条約の締約国)で自動車を運転するに当たって、いずれかの締約国の有効な運転免許証さえ所持していれば、必ずしも国際運転免許証の携行が必須であるとは限らない場合があります。
 例えば、国内運転免許証が条約に定められている様式に合致するものである場合には、そもそも国際運転免許証の携行は不要です(そのような国では国際運転免許証を発給する必要がありませんから、そもそも国際運転免許証は発給されていないものと考えられます。)。もしもそのような国の有効な国内運転免許証を所持しているのであれば、その国内運転免許証がそのまま他の条約締約国で通用するのです(日本でも通用します。)。もっとも、残念ながら、日本の運転免許証の様式は条約に定められている様式とは異なりますので、日本の運転免許証を所持しているだけでは、この制度には当てはまりません。
 また、条約の規定によれば、日本のように条約に定められている様式に合致しない様式の国内運転免許証を発給している締約国から来た者に対して、有効な国内運転免許証の所持のほかに、国際運転免許証の携行をも要求するか否かということについては、各締約国に委ねられていますので、自動車を運転する現地の法令によっては、日本の運転免許証さえ所持していれば、そもそも国際運転免許証の携行が法律上要求されていないということも、あり得なくはありません。実際に、在ホノルル日本国総領事館のウェブサイトによれば、アメリカ合衆国ハワイ州では、2013年現在、日本の運転免許証さえ所持していれば合法的に自動車を運転することができるようです(ただし、入国から1年以内であることを示すためには、旅券(パスポート)も併せて所持することが必要です。)。もっとも、交通違反や交通事故などに際して、現地の警察官等から運転免許証の提示を求められたときに、現地の公用語で書かれているわけではない日本の運転免許証を提示しただけでそれが本人の有効な運転免許証であることを現地の警察官等に理解してもらうことは非常に困難でしょうから、そのような国で運転する場合であっても、念のために、日本の運転免許証の翻訳文と共に、国際運転免許証も携行しておく方がよいでしょう。

 なお、日本においては、他の締約国の運転免許証の所持者が自動車を運転するためには、条約に定められている様式に合致する国内運転免許証か国際運転免許証の携行が要求されています。
 ロシア連邦においては、通関手続きの際に国際運転免許証の提示を求められましたので、日本の運転免許証の所持者が自動車を運転するためには、国際運転免許証の携行が必要であるようです。

4.登録証書


道路交通に関する条約(昭和39年条約第17号)

    第十八条
1 自動車は、この条約の利益を享受するためには、締約国又はその下部機構によりその法令に定める方法で登録されなければならない。
2 権限のある当局又は正当に権限を与えられた団体は、少なくとも登録番号と称する一連番号、車両の製作者の名称又は商標、製作番号又は製作者の一連番号、最初の登録の日付並びに登録証書の発給申請者の氏名及び住所を記載した登録証書を発給するものとする。
3 締約国は、反証がない限り、前記の登録証書をそれに記入された事項を証明するものとして認めなければならない。

 自家用車で外国(条約の締約国)に行くときは、条約にしたがって、あらかじめ登録証書の発給を受けておかなければなりません。
 日本では、自動車検査証(車検証)が、自動車登録の事実を証明するものとしてその役割を果たしていますが、外国(条約の締約国)においては、登録証書によって登録の事実を証明しない限り、自家用車を国際交通の用に供することはできません。

 ちなみに、日本においては、条約で定められた登録証書を備え付けないで外国の登録車両を運行の用に供した場合は、道路交通に関する条約の実施に伴う道路運送車両法の特例等に関する法律(昭和39年法律第109号)第8条により、(1万円以上)3万円以下の罰金刑に処せられる可能性があります。

5.国際ナンバープレート


道路交通に関する条約(昭和39年条約第17号)

    第十九条
1 自動車は、少なくともその後面の特定の標板上又は車両自体の後面に、権限のある当局が付与した登録番号を表示しなければならない。〈後略〉
2 登録番号の構成及びその表示方法は、附属書三に定めるとおりとする。

   附属書三
   国際交通における車両の登録番号
1 車両の登録番号は、数字又は数字及び文字から成るものとする。数字は、国際連合の文書に使用されるアラビア数字とし、文字は、ラテン文字とする。他の数字又は文字を使用するときは、前記の数字又は文字による表示を添えるものとする。
2 登録番号は、晴天の昼間において二十メートル(六十五フィート)の距離から識別することができるものでなければならない。
3 登録番号を特定の標板上に表示するときは、この標板は、車両の中心面に対して直角となるように、鉛直の又は鉛直に近い状態で固定しなければならない。登録番号を車両自体に固定し又は塗書するときは、その番号は、車両の後面の鉛直の又は鉛直に近い表面に固定し又は塗書しなければならない。
4 後面の登録番号は、附属書六に定めるとおりに照明しなければならない。

 自家用車で外国(条約の締約国)に行くときは、条約にしたがって、登録番号を表示しなければなりません。通常は、どこの国の自動車であっても、ナンバープレートによって登録番号が表示されていますから、そのままほかの締約国に行くことができるはずなのですが、日本の自動車登録番号は漢字ひらがなを使用していますから、条約の「文字は、ラテン文字とする」という要件を満たすことができません。そこで、日本で登録した自動車については、漢字やひらがなの部分をラテン文字(アルファベット)に置き換えた登録番号を表示する必要があります。これを表示するのがいわゆる「国際ナンバープレート」と呼ばれているものです。登録番号にアラビア数字とラテン文字のみを使用している国では日常で使っているそのままのナンバープレートでほかの締約国に行けますから、「国際ナンバープレート」とは、日本のように条約で定められたもの以外の文字(や数字)を登録番号に使用している国にしかあり得ない概念なのです。

 国際ナンバープレートは、国から発給されるわけではないので、自力で用意する必要があります。自家用車で外国に行く方の多くは、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)と提携している板金屋さんに発注していることが多いようですし、今回は私もそうしましたが、もちろん、ほかの板金屋さんに頼んだり、一から自作しても問題ありません。

 登録番号の表示方法については、「晴天の昼間において20メートルの距離から識別することができるもの」という要件と「車両の中心面に対して直角となるように、鉛直の又は鉛直に近い状態で」という要件以外には何も規定がありません。これらの要件にさえ気を配れば、文字の書体や色、位置、材質は問われません。一般社団法人日本自動車連盟(JAF)と提携している板金屋さんに発注すると、日本の登録番号標(ナンバープレート)の様式に似せた意匠の国際ナンバープレートを製作してくれますが、実はこれらの要件さえクリアしていれば、日本の登録番号標(ナンバープレート)の様式に似せる必要すらないのです。外国の横長ナンバープレートふうの意匠で自作する(→【提案・その1】)のも良いでしょうし、登録番号を車体に直接書いても構わない(→【提案・その2】)のですが、条約の規定では「後面の登録番号は照明しなければならない」ことになっているので、車両に元々備えられている番号灯を利用するためには、日本の登録番号標(ナンバープレート)を表示するのと同じ位置、同じ大きさに表示するようにするのが簡便ではあるでしょう。材質については、極端な話、ボール紙にマジックで書いたり、インクジェットプリンタ用の耐水性シールに印刷したりして、日本の登録番号標(ナンバープレート)の上から貼り付けても違法にはならないと思いますが、耐久性に難がありそうではありますし、サハリンの未舗装道路を激走した実感としては、やはり耐久性のある素材を使用しておかないとすぐにぼろぼろになってしまう気はします。「他の数字又は文字を使用するときは、前記の数字又は文字による表示を添えるものとする」という規定もありますから、日本の登録番号標(ナンバープレート)の漢字やひらがなの部分のすぐ脇にでもラベルプリンター(「テプラ」など)か何かでラテン文字(アルファベット)の表示を貼り付けておく(→【提案・その3】)だけでも条約の要件をクリアできるような気がしないでもないです。

★〜これでもOKなはず!?〜 外国における日本の登録番号の表示方法の案★(※但し照明を要する点に留意すること)※画像はイメージです。
【提案・その1】
TKN 501 SU 4936
EU圏のナンバープレートふうに自作する
【提案・その2】
TKN 501 SU 4936
車体に直接塗書する
【提案・その3】
TKN 501 SU 4936
ラベルプリンターでラテン文字の表示を貼り付ける

 なお、ウェブサイト等の情報を見ていると、日本の登録番号標(ナンバープレート)のままで、ラテン文字による表示も添えずに外国を走行している方もいるようですが、条約で定められた「文字は、ラテン文字とする」の要件を満たしていないことになりますので、走行地の法令によって検挙され、処罰される可能性がないとはいえません。「大韓民国やアメリカ合衆国では、特例で日本の登録番号標(ナンバープレート)のままで走行することが認められている」という趣旨のウェブサイト上の書き込みをよく目にしますが、それを裏付ける条約や二国間の取決めなどの出典が示されておらず、その根拠が不明です。外国の担当官の勘違いとか、単に取締りが厳しくなくたまたま検挙されなかっただけかもしれませんし、万が一、交通違反や交通事故を起こしてしまった場合に、それをきっかけとして加重してより厳しい処罰を受けるかもしれませんので、御自身で違法とはならないことの根拠を確認しない限りは、日本の登録番号標(ナンバープレート)のままで外国を走行することは差し控えた方が良いと思います。
 この疑義について、平成25年12月11日、国土交通省ウェブサイトのホットラインステーションを通じて照会したところ、平成25年12月26日、国土交通省自動車局自動車情報課から、電子メールにより、『ご質問のありました「国際交通に係る自動車の登録番号の表示がラテン文字でなくても良い」という政府間の取り決めなどは、当省では把握しておりません。』との回答がありましたので、参考にしてください。

 ちなみに、日本においては、外国の登録車両が条約で定められた登録番号(すなわちアラビア数字とラテン文字からなる登録番号)を表示しないで走行した場合は、道路交通に関する条約の実施に伴う道路運送車両法の特例等に関する法律(昭和39年法律第109号)第8条により、(1万円以上)3万円以下の罰金刑に処せられる可能性があります。

6.識別記号(Jマーク)


道路交通に関する条約(昭和39年条約第17号)

    第二十条
1 自動車は、その後面の標板上又は車両自体の後面に、登録番号のほかに、当該自動車の登録地の識別記号を表示しなければならない。この識別記号は、国又は登録に関して独立の単位を構成する領域を示すものでなければならない。〈後略〉
2 登録記号の構成及びその表示方法は、附属書四に定めるとおりとする。

   附属書四
   国際交通における車両の識別記号
1 識別記号は、三字以内のラテン大文字から成るものとする。文字は、縦の長さが少なくとも八十ミリメートル(三・一インチ)、太さが少なくとも十ミリメートル(〇・四インチ)のものとする。文字は、横長の楕円形の白地に黒色で塗書するものとする。
2 〈中略〉識別記号の文字が三字より少ないときは、楕円の大きさは、横の長さが少なくとも百七十五ミリメートル(六・九インチ)、縦の長さが少なくとも百十五ミリメートル(四・五インチ)のものとする。〈後略〉
3 各国及び各領域の識別記号は、次のとおりとする。
  〈略〉
 識別記号をまだ通告していない国は、この条約の署名若しくは批准又はこれへの加入に際し、自国が選択した識別記号を国際連合事務総長に通告するものとする。
4 識別記号を特定の標板上に表示するときは、この標板は、車両の中心面に対して直角となるように、鉛直の又は鉛直に近い状態で固定しなければならない。識別記号を車両自体に固定し又は塗書するときは、その記号は、車両の後面の鉛直の又は鉛直に近い表面に固定し又は塗書しなければならない。

道路交通に関する条約の附属書四3の規定に基づく日本国の車両識別記号に関する件(昭和39年外務省告示第128号)

 日本国政府は、昭和二十四年九月十九日にジュネーヴで作成された道路交通に関する条約の附属書四3の規定に基づき、日本国の車両識別記号をJとする旨を昭和三十九年八月七日に国際連合事務総長に通告した。〈後略〉

 自家用車で外国(条約の締約国)に行くときは、条約にしたがって、自動車の登録地の識別記号を表示しなければなりません。日本で登録された自動車の識別記号は「J」で、いわゆる「Jマーク」と呼ばれることもあります。日本の識別記号(Jマーク)は、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)の各支部において販売していますが、条約が規定する要件を満たせば、自作したり、車体に直接書いたりしても構いません。

 ところで、先日目にした自動車会社の広告企画で、自社の自動車に国際ナンバープレートを付けて世界各国の道路を走行させている動画映像を使用したものがありましたが、なんと、外国(条約の締約国)を走行させている自動車の後面に識別記号(Jマーク)が表示されていませんでした。外国(条約の締約国)を走行するのに際して、国際ナンバープレートを付けるだけでは条約の要件を満たしたことにはなりません。必ず、登録番号(国際ナンバープレート)と識別記号(Jマーク)の両方を表示する必要がありますから、識別記号(Jマーク)を付けるのを忘れないよう十分に御注意ください。

 ちなみに、日本においては、外国の登録車両が条約で定められた識別記号を表示しないで走行した場合は、道路交通に関する条約の実施に伴う道路運送車両法の特例等に関する法律(昭和39年法律第109号)第8条により、(1万円以上)3万円以下の罰金刑に処せられる可能性があります。

7.証明記号

道路交通に関する条約(昭和39年条約第17号)

    第二十一条
 自動車〈中略〉は、附属書五に定める証明記号をつけていなければならない。

   附属書五
   国際交通における車両の証明記号
1 証明記号は、次のものから成る。
 (a) 自動車については、
  (@) 車両の製作者の名称又は商標
  (A) 車台又は車体(車台のない場合)につけた製作番号又は製作者の一連番号
  (B) 製作者が原動機に製作番号をつけるときは、その製作番号
 (b) 〈略〉
2 前記の証明記号は、見やすい場所につけられなければならず、また、識別が容易であり、かつ、容易に消し又は改変することができないものでなければならない。

 自家用車で外国(条約の締約国)に行くときは、条約にしたがって、車両の証明記号をつけていなければなりません。
 もっとも、車両の製作者の商標や車台番号は、エンジンルーム内の銘板に記載されているのが通常であると考えられますから、特に準備することを考える必要はないでしょう(そのほか、車両の製作者の商標は車体にもロゴ等で表示されていることがありますし、車台番号はシャーシにも必ず打刻されています。)。ただし、通関手続きの際には必ず照合されますから、取り付けられている位置はあらかじめ確認しておきましょう。
 また、原動機の製作番号については、条約上は必ずしも必須のものではないようですが、日本では自動車登録の際に原動機の製作番号が必要ないこともあってか日本製の自動車のエンジンの場合は製造番号等が非常に分かりづらい位置に刻印されているようであり、もしも通関手続き等で必要となったときに素人がその場で見つけ出すのは相当困難なようですので、あらかじめ自動車の点検整備の際などに専門家に位置を確認してもらっておくことをお勧めします。なお、今回のサハリン旅行では、フェリー会社に提出する書類に記載したほか、出国時に日本側の通関業者に念のため位置を確認されましたが、実際の通関手続きにおいては、日本側でもロシア側でも税関職員から原動機の製造番号の確認を求められることはありませんでした。

8.船の手配

 自家用車でサハリンへ渡航するためには、あらかじめカーフェリーを予約しておく必要があります。
 なお、筆者は、東京在住ですので、そのほかに北海道へ渡るためのカーフェリーを確保する必要がありました。

9.通関業者の手配

 自家用車を外国に持ち込む際や日本に持ち帰る際には、自動車の一時輸出入の手続きが必要になります。この手続きは、時間と経験のある方ならば通関業者に頼まなくてもできるようですが、限られた時間の中で円滑かつ確実に通関を済ませるためには、通関業者に依頼した方がよいでしょう。
 通関業者については、フェリー会社を通じて依頼することが可能です。

10.自動車保険の加入

(1)強制保険

 日本で自動車を運転するときに自動車損害賠償責任保険(自賠責)に加入することが義務付けられているのと同様に、ロシア連邦でも自動車を運転するときには国民義務自動車保険(ОСАГО)への加入が義務付けられています。
 コルサコフ港で現地の通関業者に通関手続きを依頼した場合は、同時に国民義務自動車保険(ОСАГО)の契約手続きもしてくれます。

(2)任意保険

 国民義務自動車保険(ОСАГО)以外の任意保険の加入は義務ではありませんが、万が一、異国の地で交通死亡事故でも起こして(巻き込まれて)国民義務自動車保険(ОСАГО)の保険金額を超える損害賠償責任を負うことになったら目も当てられませんので、国民義務自動車保険(ОСАГО)に上乗せして任意保険も加入しておく必要があります。
 しかし、日本国内で契約を締結している一般的な自動車保険は、約款に「契約自動車が日本国内にある間に生じた事故による損害または傷害に対してのみ保険金を支払います」などの記載があることが通常で、外国で自動車を運転中に起こした事故には保険金は支払われません。
 また、一般的な海外旅行保険の個人賠償責任特約についても、「保険金を支払わない場合」として「車両の所有、使用、管理に起因する損害賠償責任」などの記載があることが通常で、一部に自動車運転者損害賠償責任特約(レンタカー特約)がある海外旅行保険も存在するものの、その場合でも特約レンタカー会社で借りたレンタカーの運転に限定されていることが通常であり、いずれにしても外国で自家用車を運転中に起こした事故には保険金は支払われません。これは、クレジットカードに付保されている海外旅行保険についても同様です。
 そこで、外国において自家用車を運転中に起こした事故も保険の対象とするためには、日本国内の自動車保険や一般的な海外旅行保険ではなく、自動車運転者損害賠償責任危険担保特約付きの海外旅行保険などに加入する必要があります。そのような保険は、観光目的の一般的な海外旅行の旅行者向けとしては紹介されていないようですので、留学生や駐在員向けの保険として紹介されているものを探して契約することになります。

11.外国通貨

 渡航先の現地の通貨です。入国後すぐに外貨両替ができるとは限りませんので、可能であれば、日本国内であらかじめ用意しておいた方が良いでしょう。通関業者へ現地通貨で支払いをする必要がある場合は、少なくともその分を用意しておく必要があります。
 なお、2013年現在、コルサコフ港のフェリー乗り場の隣の建物の1階には、クレジットカードの国際キャッシングサービス機能を使って現地通貨(ロシアルーブル)を引き出すことのできる銀行ATMが設置されています。



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