検証編

第一回 「つっこめ!小説第一巻!!」
参考資料:「ハッピィサルベージ1 はじまりの島へ・・・」(大倉らいた/角川書店・電撃文庫)
あまり参考にならないと思うけれどメディアワークスからのオンライン小説はこちら



 古葉竜史が「ハッピィサルベージ」とハッキリ出会ったのは2000年に入ってからのことである。
それまでに知識はなく、あえて言うなれば大倉らいた氏が小説を書いた程度くらいしか知らなかった。

古葉にとり、大倉氏は「センチメンタルグラフティの脚本家」でしかなかったのだが
センチの続編開発から降りた今、そのイメージはだんだん薄れつつある。(消えることはない)

ある日、アニメ系の情報誌(アニメイトで無料配布してるやつ)を適当にバラバラ眺めていたところ、
今年初夏に発売されるという「ハッピィサルベージ」のゲーム紹介記事を目にした。

「どうやらこの企画は小説だけで終わるわけではない」ということをそのとき初めて知ったのだ。

「あのセンチメンタルグラフティを書いた人だ、きっとすげぇ
 シナリオ(マニアには飽きられた)を用意しているに違いない」、

そう思った古葉はこの作品に興味を持ったのである。



以下、古葉竜史「2000/01/05」の日記より。

  夏にプレイステーションでハッピィサルベージのゲームが出るらしい。この間情報誌で知った。
 この企画はセンチメンタルグラフティを取り上げられたことでおなじみの大倉らいた氏が企画から
 何からすべて仕切っているらしく、昨年初夏に小説が発売したあと「CDドラマやテレビゲーム、
 ラジオ番組やテレビアニメにも発展させたい」という大型メディアミックスプロジェクトなのだ。

 古葉はあまり興味がなかった、キャラ画の緒方剛志氏についても可もなく不可もなくってところ。

  しかし、ガタケの委託で彷徨っているウチに目にしたいくつかの(絵の汚い)センチ同人誌に
 希望を失っていたところで急にハッピィサルベージが頭に浮かんでいた。古葉がセンチGを
 好きだったのは誰の影響が一番強かったのだろうか、とふと思い返したのである。
 脚本の大倉氏か?イラストの甲斐氏か?それともインターチャネルのおかげ?
  最後の項目はまあ冗談として、他の作品で確かめる必要もある気がしてきた。

 不作に終わったガタケットの帰り、本屋に寄ってハッピィサルベージの小説を購入したのである。


 帰宅後の夜、布団に入ってゆっくりと読み始めた。
 あせらずに、幾度か前の文章を読み直しながら二時間半、三時間ほどかけて読破した。


以上、古葉竜史「2000/01/05」の日記より。

これが、個人的にはかなりウケたのである。

要するに面白かったのだ。
発売から日数が経っているので、ひょっとしたらWEB上に読書感想やファンサイトがあるかもしれん、
そう思ってネットにダイブ。

ファンサイト見つからず。
読書感想は酷評ばかり。


かなり出足を挫かれてしまった。
どうやら古葉竜史の予想以上にこの作品には人気がないらしい。

この作品が気に入ってしまった自分がバカみたいじゃないか。


でも、まあ落ち着け。

人様が気にいらねえ入らない理由も、自分が気に入る理由もどっかこの本に
問題があることには間違いない。ここはひとつ小説第一巻を見直してみようじゃないか。



 小説第一巻は「プロローグ」と、物語のキーパーソンであるワタルとマリナのそれぞれ
二人の視点から描かれるストーリーと、合わせてみっつの章に分けられている。


 プロローグではワタルの父親とマリナの父親が登場し、登場人物、
舞台の環境が説明される。親父達がハルクイン島でサルベージする理由、
そして親父達が行方不明になるまでの経緯が描かれている。

 ワタル編では、ワタルと「マハロの神の石像」との出会い、石像にまつわるエピソード、
ワタルとパナシェの出会い、ワタルとロシディとの出会い、パナシェとの別れ、
ラックポートの仲間達、ロシディとの海洋探索、などが描かれ、最終章では
行方不明になった父達の住むハルクイン島に向かうところまでが書かれていた。

 マリナ編では、マリナのいる環境・友達の紹介、マリナのワタルに抱く想い、
修学旅行、進路決定、そしてハルクイン島に向かうところまでが書かれている。


大ざっぱに説明終了。


ワタル編

・初対面で互いに赤面してしまうワタルとパナシェのやりとりは不自然すぎる。

最初に読んだときは見てて面白かったんだけどなあ・・・。
パナシェに対する描写があまりにも好印象(?)だったからだろうか。←そうでもない
二度目以降はパナシェの過大評価が気になりすぎていたりする。


・中途、「食べる」という意味で「パクつく」という単語が二回登場した。

これは非常に引っかかります。
というのも、古葉はこの単語に好印象を持っていませんので。


・ロシディ教授の授業のため、熱心に予習するワタル

マジメすぎてなんか嫌いだな、俺。
こういうヤツが女性8人に囲まれて生活する展開になるんですよ?


・バスク、お節介すぎ

ワタルに貸しがあるとはいえ、強引だったな。でもワタルもマンザラじゃなかったし、
実はパナシェも惚れてたらしいのであれはあれで良かったことになっているのか。
てーか、双方ともそれまでに異性との縁がなかったというのは不可解。



マリナ編

・マリナがワタルに出した手紙はどーなったんだ?

写真も入れてたっていうのにワタル編ではそのことに触れもしなかったのである。
話題にすることでもないというほどワタルが筆無精だったのか?


・マリナの友人達・・・気づけよ

彼女たちは修学旅行中、大学構内で日本人のワタルを見つけておきながらも、
彼本人だとは思いもしなかったのである。

せめて「七海ワタルを知っているか?」くらいの質問は浴びせるべきではなかったか。
それほどまでにパーキット島内に日本人が多いという設定になっているのであれば
同島はハワイ・グアムクラスに日本人に人気の観光地ということになってしまう。


・ロシディ、ワタルに伝えなかったのか?

ロシディとマリナは会っているわけである。
しかもロシディはマリナがワタルに会いに来たことを知ったのだ。
お互いはすれ違いにはなったが、後日、ロシディがワタルに対してそのことを
伝えなかったのだろうか。そんな描写が本文中にないのである、おかしい。

逆に、数日後ロシディはパナシェの写真を見てワタルに「お似合い」だと茶化している。


その他

・度々本文と合っていない緒方氏の挿し絵

ワタルと腕を組むその娘はセーラー服じゃなかったのか?
マリナとあみが空港に行ったときもセーラー服じゃなかったのか?

緒方氏が適当に描いたのかと考えられればそれでいいんだけどサ。





と、このように今回はただ問題点ばっかりを列挙してみました。

これらは読者が離れていく要素になり得るでしょうか、
やっぱり離れていくんでしょうね。
最近は素晴らしい文章を生み出す作家がばんばん現れているようだし。



今後は特に「忘れられている描写」について大倉氏がどうカバーしていくかが見どころです。

忘れられている描写に対して最後まで触れられなかった場合、
読者は大倉先生を中傷する権利があると思います。

気になる第二巻は3/10発売予定だ!


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