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2. シュミカセの光軸調整、筒内気流


シュミカセの見え味

 俗にいう「シュミカセの見え味」という表現はどちらかと言うと、
 マイナスのイメージを感じさせる言葉です。
 2枚の反射鏡の他に補正板レンズが存在する、副鏡が大きい、筒内気流、
 焦点距離の設計、構造、等の影響が独特の見え味を作り出しています。
 シャープさに欠けるのがシュミカセの特徴というイメージが、
 その保守整備をなおざりにする要因になっていませんか?

 調整不足は「シュミカセの見え味」すら得られず、ただの「筒の見え味」
 になってしまいます。
 良く面倒を見てやれば、ニュートンや屈折に勝る特徴部分が明らかになり、
 一つの対象天体がシュミカセだとどういうふうに見えるのか、
 確認したくなることでしょう。   


筒内気流

 シュミカセは密閉鏡筒です。それゆえ温度順応に時間がかかります。
 シュミカセの筒内気流は厄介で、外気との換気口が接眼部の小さい穴
 だけです。よって、筒内の空気が外気と馴染んで安定し、筒&鏡&レンズ
 も外気温に馴染むまでに相当の時間がかかってしまいます

 観望前に鏡筒を外に出して、補正板フタと接眼部フタを外し、
 接眼部を風上に向けて外気が入りやすくして、最低1時間は放置します
 保管条件や気象条件によってはもっと長時間かかることもあります。
 宵から朝にかけてどんどん冷えが進むものです。
 常に外気温に馴染んだ状態を保つために、実際に覗いていない僅かな
 時間もアイピースを外して換気状態にしておきます。
 星を導入して大きく焦点をボカスと、バームクーヘン状の円盤になります。
 筒内気流が発生していると、バームクーヘンの筋がユラユラと波打って
 見えます。
 大気のシンチレーションが悪いとバームクーヘンの筋が見えず、
 ただのドーナッツ円盤になります。
 遠征観望の場合、pm9時から鏡筒を外に出して、抵倍率で観望しながら、
 am00時を過ぎた頃からが、シュミカセの本格稼働の時間になります。


光軸調整

 シンチレーションが良く、筒内気流が治まった状態で光軸調整します。
 取扱い説明書によると、副鏡角度調整の3本ネジだけで調整する
 ように説明されていますが、それだけではどうしても光軸が合わない
 場合がでてきます。
 それは副鏡が光路の中心からずれた位置にある場合です。
 補正板を留めている6本のネジを緩め、補正板が自在に動くように
 します。動かしてみると、僅かに2mmほどの余裕があり、上下左右に
 ずらす
ことができます。それと、もちろん360°回転させることができます。
 以上3種の方法で光軸調整します。
 調整に使うアイピースは所有している最も高倍率のものを取付けて、
 より高精度に調整します。 私は400倍で調整しています。

1.ベガ、カペラなど明るい恒星を視野中心に導入し、大きくボカシます。
  ボカシたときのバムクーヘン状の円盤が同芯正円になるように、
  副鏡角度調整の3本ネジで調整
します。
   (副鏡にオレンジ色のカバーが被っている場合は、マイナス
  ドライバーで外すと、調整ネジが露出します)



2.ボカシたときのバムクーヘン状の円盤が小さくなる方向に焦点像に
  近づけていきます。
  大きくボケていたときに同芯正円になっているように見えても、
  円盤が小さくなるにしたがって僅かな偏りが残っていることが
  あきらかになってきます。
  焦点像の手前位置でバムクーヘンの筋が数本の筋になっても
  同芯正円になるように、副鏡角度調整ネジを回して調整
します。
  ネジを回すと像が中心からずれますが、赤径赤緯調整ネジで
  常に視野中心に導入しなおして確認することです。



3.もう一度よく観察してみましょう。
  焦点像の手前位置でバムクーヘンの筋が数本の筋になってきて、
  よく見ると、真ん中に白点が現れます。この点は副鏡が光路の
  真ん中にあるかを表しています。
  白点が真ん中からズレていたら補正板を回転させたり、上下左右に
  ずらしたりして真ん中にくるように調整
します。
  焦点位置に近ずけて観察するほど微妙なズレが判りやすいです。
  言葉で細かな説明が難しいので、実際にやってみて下さい。
  なるほど、「補正板を上にずらすと白点はこっちに動くのか!」
  「補正板を90°右回転すると白点はこっちに動くのか!」 など
  その動きの法則性が解ってきます。
  補正板取付け位置を変更するたびに、2.に戻って副鏡角度調整
  をする必要があります。



4. 2.3.の作業を何度も繰り返して光軸を追い込みます。
  作業中は補正板取付けネジ6本を全部締めつけず、2or3本だけ
  締めて作業すれば早いです。
  完璧に調整された焦点像は、回折リングが綺麗に見え、リングの
  360°にわたって均等の明るさで見えます。
  光軸が狂っていると、回折リングの明るさに偏りが現れます。


5. おまけ1  木星の衛星でさらに光軸微調整する方法
  シュミカセを例にします。視野の真ん中に衛星を導入して観察します。
  合焦の少し手前の絵です、左が光軸合っている場合、右が狂っている場合です。
  右の絵のリングの一カ所が明るく光っているのが判るでしょうか。
  シーイングの影響で少しはチラチラしながら合焦していくものですが、
  それが均等ではなく、いつもある決まった方向の一点が明るく光る場合は
  光軸がずれています。副鏡部の3本の光軸調整ネジを回して微調整します。


  これは、恒星を使った光軸調整法の後で行ってください。
  恒星法で合わせたつもりでも、この衛星法で確認するとズレが判明したりします。
  神経質な人向けの微調整法です。実際の木星像の見え方に差を感じないかもしれません。


6. おまけ2  実際の映像(シュミカセではありませんが)
  ニュートン反射 口径130mm F6 の内外像です。
  ファイルサイズ2.3MBのAVI動画です。
      焦点内外像動画


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