4. 見え味
私はC8−EXで観望する時は、必ず5mmアイピースで400倍
にして明るい恒星を覗きます。
シンチレーションや筒内気流や光軸が合っているか、などを
確認することが出来るからです。
冬場は日本上空にジェット気流が走り、シンチレーションが悪い
日が多いです。
世間でよく言われる「冬の星空は綺麗」というのは、裸眼観望の
場合でしょう。
冬の夜は長く、一晩中満足のいくまで多くの星座を鑑賞出来
ます。また、シンチレーションが悪いということは、裏を返せば、
恒星が瞬いて綺麗なのです。
望遠鏡で高倍率をかけて観望するなら夏場の高気圧に覆われ
た快晴の日でしょう。
夏場はシンチレーションが良く、望遠鏡の分解能力ギリギリの
観察ができます。望遠鏡性能チェックに適した季節です。
二重星観察
白鳥座アルビレオ36.4” など、明るく角距離の離れた
二重星は2000mmのC8ではおもしろくありません。
確かに色は綺麗ですが、分解は楽勝すぎて、抵倍率で見た
ほうが接近して二重星らしく見えます。
アンドロメダ座γ9.8” はアルビレオより接近していて、
C8での観望に適しています。私はこちらのほうが好きです。
琴座ε通称ダブルダブルスター2.3”2.6” はシーイング
が悪くても分離しています。これぐらいから400倍で観察
できる対象になってきます。回折リングの様子とともに
楽しめます
はくちょう座δ2.5” は2.9等と6.3等と光度差が大きく、
シーイングが悪いと確認しずらいことがあります。
筒内気流が治まってから観察すると、回折リングに伴星が
乗っかった姿が綺麗です。
オリオン座η1.5” 1等級の光度差で多少シーイングが
悪くても伴星の存在が判ります。が、冬のシーイングでは
回折リングが綺麗に見えないのが残念です。
はくちょう座λ0.9” は特別シーイングの良い日に挑戦
しましょう。1次回折リングに伴星が乗っかっているのが
判ります。このレベルになると、完璧に光軸調整されて
いることが必要です。均等の明るさの回折リングの一部分
だけが太く明るいのが判ります。
以上は私のC8−EXで観察済みです。
20Cm口径の限界分離性能は0.6”ですので、
まだまだチャレンジを続けなければと思っています。
でも、日本のシンチレーション平均2.5”という環境の中で
年に何回そのチャンスが訪れることでしょうか。
惑星
木星 観望のたびに毎回異なった姿を見せてくれる対象です。
好シーイングの日には、縞が6,7本確認できます。
普通は200倍で観察するのが非常にシャープでコントラストも
良く、縞が波うっている様子が輪郭クッキリと見えます。
好シーイングなら400倍でもシャープに見えます。
今年の夏は5mmアイピースの出番が多かったです。
最もシーイングが良かった日に 9mm+3倍バローの
約700倍かけて覗いたりしたものです。
もし、400倍ではただボケるだけという場合は再度保守調整
をしてみて下さい。 シュミカセは思ったより良く見えます。
土星 やはり好シーイングの日には、非常にシャープです。
本体の濃淡は常に見やすく、カッシーニも幅を持った黒いスジ
がクッキリと見えます。
木星土星の場合は明るいので、高倍率をかけるか、ブルー
やオレンジのフィルターを使うと縞模様を観察しやすいです。
星雲星団
焦点距離2000mmと口径20Cmの集光力のC8には、、
それに適した観望対象があります。
大きな散開星団の観望には40mm以上の広視野アイピース
で覗くと、広宇宙の中に浮かぶ星団のイメージを楽しめます。
が、光害で空が明るいと、口径20Cmの集光力は不利で、
視野全体が明るくなってしまいます。
大きな散開星雲の場合も同様で、オリオン星雲全体を入れる
と、バックの灰色に溶け込み、コントラストが下がります。
オリオン、M8など赤い散開星雲には光害除去フィルターを
使えばはっきり姿が浮き上がって見えてきます。
口径20Cmの集光力は網状星雲なども楽に観察できます。
焦点距離2000mmにふさわしいのは、比較的小さな
散開星団、散開星雲、惑星状星雲、系外銀河ということに
なります。
球状星団の観察は、好シーイングの状態で高倍率観察
すれば、星粒が分解されて迫力がでてきます。