第二話 「憧 憬」 「ロードン。ほら、お父上とお母上がお迎えに来られたわよ」 バルコニーに出ると城を一望できる小高い丘の上に彼等の屋敷は構えられていた。 「このままずっとこうしていられたらどんなに幸せでしょう・・・」 |
「父上、母上、次はいつ戦に出かけるの? 僕も早く大きくなって父上たちと一緒に戦うんだ。いっぱい魔物をやっつけてやるの!」 無邪気にロードンが言う。 戦士になる為に生まれてきたといっても過言ではない。 彼は本能的に両親の立場や自分が将来なすべきことをすでに心得ていた。 そして1日も早く両親の片腕になれることを望んでいたのだ。 「ありがとうロードン。今はその言葉だけで十分だよ。お前が元気で良い子にしていてくれたら私達は頑張れる」 まだまだ親が恋しい年頃であった。幼いなりに少しでも家族が共にいられる為にはどうしたらよいか必死で思いをめぐらせていた。 「ロードン、落ち着いて聞いてちょうだい・・・」 ジルフェに連れられ、ある日ロードンは王宮の地下室に初めて足を踏み入れた。 「父上!母上!・・・?!・・・」 それは幼いロードンが「死」を知った日であった。 |