第十六話 木靴のシンデレラ 脚本/城山昇 演出/本庄克彦 作画監督/大鹿日出明

 アムステルダム郊外で花探しを一段落させたルンルンは花農家の主人に足元の汚れを指摘され、木靴を勧められました。街にやってきたルンルンたちは移動販売の木靴屋を見つけます。色とりどりの木靴を前に、店主は名人が作った木靴を履けた女性をシンデレラとして豪華ホテルに招待すると宣伝しています。ルンルンが試しに木靴を履くとピッタリと足に合いました。喜ぶルンルンたちを見ていたトゲニシアが無理やり木靴を履き、自分こそがふさわしいと商品を横取りしてしまいます。ヤボーキに脅され、平静を装った店主は木靴職人の名人を紹介し、ルンルンはその名人の作った装飾入りの木靴を買うのでした。夕方まで花探しをしていたルンルンが靴擦れのために川で足を冷やしていると、一人の老人が先ほどまでルンルンが履いていた木靴を見るなり、手荒に捨ててしまいます。老人は木靴職人で、ルンルンに本当に履くための木靴を世話するために自宅へ招待します。粗末な小屋に一人暮らしの老人はルンルンの足を測り、木靴を作り始めるのでした。木靴作りの最中、先ほどの名人ハンスが老人を訪ねてきました。ハンスは老人の元弟子で、今の仕事を手伝ってほしいというのです。しかし、老人はハンスを叱り付けて追い出してしまいます。
 翌日、老人の作った質素な木靴を受け取ったルンルンは老人の木靴が街の人たちには好評であることを耳にします。いいものを作っている老人のためを思い、ルンルンは自分が履いている木靴を観光客の前で披露します。そこへトゲニシアとヤボーキが現れ、観光客にハンスの木靴を強引に勧めるのでした。困ったルンルンは老人の木靴が気に入らなければ料金は要らないと宣言してしまいます。それを聞いた一人の紳士がルンルンに木靴を注文しましたが、老人は観光客や鑑賞用の靴は作りたくないと断ります。
 次の日、注文主の紳士は木靴を持ってこなかったルンルンを責め立てます。そこへルンルンの優しさに答えようと老人が紳士用の木靴を持ってきてくれました。紳士の好評を得た老人の木靴に他の観光客から注文が殺到します。ハンスを雇っている木靴屋の店主は老人とハンスのどちらが名人として相応しいか勝負をしようと持ちかけてきました。木靴を注文した紳士が仕込まれた客ではないかと疑いをかけられ、仕方なく老人は双方が別の紳士の靴を作ることで勝負することにしました。期限の夕方になんとか木靴は完成します。ところが、モデルとなった紳士は老人の木靴のほうが足に合っていないと判定します。そこで今度はルンルンが自分の木靴とトゲニシアの木靴を比べる勝負を挑むのでした。
 その夜、ルンルンはトゲニシアと木靴でダンス対決をするのでした。トゲニシアのダンスパートナーはヤボーキ、そしてルンルンのパートナーはなんとセルジュが務めることになりました。セルジュとのダンスを心から楽しむルンルン。ついにトゲニシアは靴擦れを起こし、ルンルンの勝利が決まりました。トゲニシアは負け惜しみでルンルンの木靴をパーティー向きではないとわめきます。反論しようとするルンルンを老人が止めます。木靴は履くためのものであり、普段の生活で履き心地をよろこぶ人がいるだけでよいと言って老人はルンルンを連れてパーティー会場を去っていきます。一方、ハンスは昼間の勝負でモデルとなった紳士が雇い主の店主が仕込んだ人物だと知ってショックを受けます。
 翌日、ルンルンたちは移動販売の木靴屋の名人がハンスではないことに驚きます。ハンスは木靴屋をクビになっていたのでした。ルンルンはハンスに老人と仲直りしてほしいことを告げ、再び花探しの旅に出ます。ルンルンを見送ったハンスはセルジュから球根を受け取りました。やがてそれは水仙の花を咲かせ、ハンスはその水仙を見るたびにこれまでの行動のいましめとするのでした。

 水仙/うぬぼれ
(つづく)