宮城大サークル
日本酒の魅力より深く発信
宮城大の学生サークル「アートスタンダード」が企画編集し、日本酒の魅力を伝える無料の季刊小冊子「SIZUKU(しずく)」で、酒造りの工程などをまとめた「別冊」が始めて発行された、しずくが今冬号で15を迎えたことを記念した、仙台市内では19日から、日本酒を試飲しながらアート作品を楽しむイベントも開く、
別冊は通常版(16ページ)と同じA5版で4ページ、クイズ形式で、仕込から出荷までの工程を分りやすく解説し、吟醸酒や純米酒、本醸造酒の違いなどを紹介している、
発行は5,000部、通常版に挟み込み、主に市内の酒販店やカフェ、雑貨店など50ヵ所で配布している、
別冊の編集作業で中心となった事業構想学部四年の鈴木早苗さん(22)は「日本酒の入門ガイドとして、多くの人の手にとって欲しい」と期待する。
『シズク・ファースト・エキシビジョン」と銘打ったイベントは青葉区春日町のライト・ソース・ギャラリーで開催する、画家や写真家ら12人が日本酒にまつわる作品を一点ずつ出展、来場者が、試飲と作品鑑賞を同時に楽しめる趣向だ、
しずくは、塩釜市の蔵元「佐浦」が「新しい日本酒文化の創造と発信」をテーマに2006年に創刊した、若い人たちに日本酒の魅力を伝える狙いから、企画編集を同世代のアートスタンダードに委ねてきた。
11月末には学生側の提案で若い女性限定の酒蔵見学会を開くなど、交流にも力を入れ始めた、佐浦弘一社長(47)は『今後も日本酒のおいしさと楽しさを若者らしい視点で伝えてほしいと話している
イベントは19〜28日午前11時〜午後7時(28日は午後5時まで)入場無料、
2009年12月18日(金)河北新聞夕刊より
浦霞醸造元(株)佐浦(塩釜市、佐浦弘一社長)と宮城大学生が11月26日「Shizuku蔵ツアー」を開催した
、同社と宮城大学公認サークル ART STANDARD で取り組んでいるコミュニレーション・フリーペーパー誌「Shizuku」は、2006年4月から発行しているが、このほど誌面を飛び出して、浦霞本社蔵を教室にあつらえ、20代と30代の女性読者を対象に、リアルな酒造り体験を実現させた、同誌は女の子のための暮らしの教科書と位置づけられており、今回は「女の子のための暮らしの教室」がテーマである。
現役女子大生であり、日本酒の初心者である学生のメンバーが考えたオリジナルツアーには、仙台市や多賀城市などから女性10名が参加、二班に分かれて平野名誉杜氏と鈴木杜氏による浦霞本社蔵の見学や酒造り体験をしたほか、佐浦社長が講師となってショートセミナーや食との相性に関しての試飲会なども行った、試飲に供されたのは「浦霞禅」「からくち浦霞」「萩の白露」の三種類、同社としても「若い世代に日本酒が造られる現場を体験してもらい、彼女たとの感性と情報発信力を生かして、日本酒の持つ素晴らしさをより多くの人たちに提供していきたい」のが狙いである。佐浦社長は「家庭での日本酒の存在感が薄くなっているが、日本酒の面白さをツアーを通して感じてほしい、日本酒について感心と知識を持って回りのひとたちに伝えてもらいたい」と期待している、同サークルの金澤弘太代表は「蔵見学をして、米から日本酒になる製法を学んでもらうため、蔵で働いている人たちから難しい話を噛み砕いて面白く話を聞きたい、日本酒造りの醍醐味を味わうのも楽しいのではないかと思います」と話していた。
参加した女性たちは「地元出身ですが、初めて蔵の中に入って感動しました、地元産業のことに触れる良い機会でした」「酒蔵を杜氏さんと回れたのは臨場感があって貴重な体験でした。これで日本酒に戻れそうです」「食べ物との組み合わせが面白かったです、帰ってから試してみたい、友達にも勧められます」「日本酒は値段が高いイメージでしたが、工程が長く手間が掛かっていることが分かりました」などと話し、感動した様子がうかがわれた、なお、酒造りに関してのクイズも出題され、杜氏たちに熱心に質問をしていた。
[2009年12月1日号 醸界協力新聞より]
焼酎減少し、日本酒・ワインetc急増
ジェノスグループ(株)=東京都=のアクシュ・ネット事業部では、首都圏を中心とする約5700軒の飲食店への出荷データを分析し、飲食店での焼酎に対する消費者動向やその他の酒類販売状況を調査した結果を発表した、今年8月まで好調に推移していた芋焼酎の出荷数量は、焼酎原料への転用が報道された9月に入り急激に減少したと同様に、日本酒やワインなど他の酒類カテゴリーの出荷量が急増していたことが判明した、芋焼酎は1〜8月まで対前年101.6%と順調に推移していたが、9月は同96.9%と下回った、麦焼酎はブームが芋焼酎に移ってから長期低迷していたが、事故米と無縁であったことが幸いし9月には出荷量を回復した、9月の芋焼酎の業務用出荷数量の構成比は45.2%と前月比2.3ポイント減少したが、麦焼酎は42.2%と同2.4ポイント増加した、芋焼酎から離れた消費者は、ワインを筆頭にビール、日本酒、ウイスキー、などにシフトし、これらの酒類は恩恵を受けた形となった、長期低落傾向にあった日本酒も大幅に持ち直し、その中でもお湯割りの芋焼酎の代替需要を取り込んだお燗専用の180ml瓶は101%と増加している、9月の焼酎以外の酒類カテゴリーの業務用出荷数量前年比は、ワインが126.3%(1月〜8月は109.6%)、ビールが107.4%(同101.2%)、日本酒が99.1%(同94.6%)、ウイスキーが102.3%(同97.1%)、ブランデーが105.5%(同88.8%)、となっている
............................醸界協力新聞2008年10月21日号より.....................
(だからどうしたって言うかもしれませんが、日本酒専門店の方々にしては嬉しい情報なのです)
宮城県酒造組合は10月18日、仙台市民広場(勾当台公園)の「みやぎまるごとフェスティバル」会場で第10回宮城県清酒鑑評会の優等賞受賞の表彰式を行った、はじめに櫻井武寛会長は「今日は宮城県の清酒がいかに品質が良いかを披露出来る日、米の問題が色々とあったが、私達は全農を中心として、高品質でしかも出所のはっきりした米を使って造っているので安心して飲んでいただきたい、又、出品酒は一般公開されているので、ぜひ味わっていただき、おいしさを確かめてほしい」とあいさつした、続いて宮城県農林水産部の伊藤則夫部長は、受賞蔵元に対してお祝を言った後「今回の受賞はふだんのたゆまぬ努力の結晶だと思う"食材王国みやぎ"の地酒として、多くの人に愛されるものになって欲しい、それにより、地場産業の発展が図られるように期待している」とエールを送った、「宮城県知事賞」「宮城県産業技術総合センター所長賞」「宮城県古川農業試験場長賞」「河北新報社賞」「全国農業協同組合連合会宮城県本部長賞」「宮城県酒造組合会長賞」の県産米純米吟醸酒の部、同純米酒の部の受賞者がそれぞれ表彰された後、今年で2回目となるサポーターズ・セレクション(日本酒サポーターが選ぶ今年の一等賞)の表彰が行われた、これは県きき酒選手権大会参加者の成績上位者13名が、予選を通過した4部門49点をきき酒して審査したもので、同大会の優勝者、準優勝者が表彰状を授与した、優等賞受賞酒を含む鑑評会出品酒はフェスティバル会場(県庁1階エントランス)で18、19日の二日間、一般に公開され酒造関係者、酒販店、飲食店関係者や愛飲家が会場を訪れて県産酒の味を確かめていた。
............................醸界協力新聞2008年10月21日号より.....................
(あくまでもきき酒なのでゴックンと飲まないように、会場から出て来て顔が赤かったのはどこのどいつだい....................私だよ!!)
............................醸界協力新聞2005年11月1日号より.....................
「酒サムライ」を結団
<誇りを取り戻すため行動起こす>
日本酒造青年協議会(佐浦弘一会長、会長43都道府県団体)は10月20日、京都市の松尾大社参集殿で「酒サムライ」結団式を実施した、全国の若手蔵元で組織する同協議会は、日本酒の誇りを取り戻し、日本酒文化を国内だけでなく世界に伝えていくために、日本酒を愛し守る「サムライ」として立ち上がることにした、この日、同会会員による正式参拝が行われ、会長以下会員が紋付袴を着用して結団宣言が行われた。
具体的な行動として今年度は、志を同じくする者の集いである「酒サムライ」を結成し、世界にその輪を広げていくとともに、和食や日本酒が、日本の風土に生まれた、日本人の知恵の結晶であり、世界に誇れる文化である事を発信していく諸事業を行っていく、
又、国内外を問わず、日本酒や日本文花を愛し、その素晴らしさを広めて行く人々に敬意を表し、「酒サムライ」として"叙任"を行う予定である、「酒サムライ」は叙任の受託に際し、次の酒サムライ3ヶ条を尊重し、その内容を実行することを誓約する。
「酒サムライ」は
(1)日本の美しい文化を愛し日本酒を愛します。
(1)日本酒文化をより深く理解し、その発展に尽くします。
(1)情熱と誇りをもって日本酒を広く世界に伝えます
酒サムライ設立趣意の要旨は次のとおりである、サムライ、それは美しきもの、大切なものを守る強い意志と情熱をもつ人びと、日本は古来より「豊葦原端穂の國」と呼ばれて来た、稲穂はすなわち米、そして水、この2つはまさに日本の原点であり、これらを原料とする日本酒は、長い歴史と美しい風土によって育まれた、素晴らしい知恵と高い技術の結晶といえる、ところが"国酒"である日本酒は、私たちの日常生活のなかで、日常のものではなくなりつつある、特に近年、日本酒のみならず私達の伝統的な食文化や生活文化は、様々な社会的環境変化により、次第に日本人の生活の中心から外れてきている、日本から日本人の誇りが失われつつある、私達はそのような危惧を感じている、ひるがえっては、海外での和食や日本酒の普及には目を見張るものがあり、その評価は年々高まりつつある、和食や日本酒が日本人の知恵や知識と重なり合って日本文化を世界に伝えているのであり、美しい日本文化が、優れたものとして世界から認められていることの証しである、今、最も日本文化の誇りを忘れているのは、日本人ではないだろうか、そして最も日本酒の誇りを忘れているのも日本人ではないだろうか、日本酒造青年協議会は日本酒文化の継承者たる酒蔵の若者達が集い、切磋琢磨する団体である、失われつつある日本酒の誇りをもう一度取り戻すために、日本酒文化の担い手である私達が、今こそ行動を起こさなければならない、私達は日本酒を愛し守る「サムライ」として日本文化と伝承技の結晶である日本酒が世界に誇れる文化であることを、世界にあまねく伝えて行こうと決心した、志を同じくする者が「酒サムライ」の輪を世界に広げていかんことを心から願い、ここに「酒サムライ」の結成を宣言する、2005年10月20日
乾杯運動の展開で日本酒の良さを再確認
日本酒業界の現状について伺います
「日本酒業界はここ30年もの間、長期低落傾向が続いています、その中で、宮城県酒造組合は昭和61年11月に純米酒の県宣言をして以来、純米酒を中心に高級酒造りに邁進してきました、現在では特定名称酒の構成比は80%を超え、全国的に高級酒生産県として評価を受けています、近年は需要減少が続いており、残念な状況となっております、
最近様々な需要対策を打ち出していますが
「中央会では、お酒テラピー運動に取り組み、特に若い女性の日本酒消費拡大施策を実施しているところです、30歳有職女性を戦略ターゲットとして、日本酒のPRのための新しいムーブメントに業界が一丸となって取り組んでいます、平成14年10月の立ち上げから2年経過しましたが、女性を対象にしたイベントの開催や小容量ボトル、低アルコールタイプの商品開発、酒ショップ・バーの開設、酒スクールを展開してきました、日本酒のもつ健康、美容への効果や新しい楽しみ方などの情報を様々な機会にPRしてきました」
<日本酒で乾杯>運動も展開していますね
「昨年10月、中央会が推進役となり、日本酒を通して日本文化を広く啓発することを目的として<日本酒で乾杯推進会議100人委員会>を設定して、各界の有識者に就任して頂きました、また、地産地消を大切にする気運が高まっている中、地元の特産品や文化を見直す機会として、地元の日本酒で乾杯することが地域振興の推進に役立つと考えています、今後、様々な分野の方々の御協力を得ながら、日本の伝統文化の良さを再認識して、日本酒を見直してもらいたいと思います、日本文化の象徴として改めて注目して頂くために、色々な活動をしていきたいと考えています」
酒税法改正などが話題になっていますが
「日本酒と果実酒、日本酒と合成清酒の大きな税負担の差など、米不足時代の税収確保を第一義とする不合理な酒類間の税負担の格差が続いています、これらを一刻も早く解決し、国情にあった酒税制度が確立されなければなりません」「また、日本酒の分類方法の簡素化について話題になっていますが、消費者の心を離さないように見直していかなければなりません、この問題を前向きに捉えて、日本酒のイメージアップのために需要開発に活かしていきたいと思います」
宮城県酒造組合 佐浦 弘一 副会長
県産米を中心に供給努力
2003年の東北・北海道の水稲作況は、10年前の記録的な冷夏に次ぐ戦後2番目の不作となった、東北の水稲の作況指数では青森の53をはじめ、宮城が69、岩手が73、福島が89、秋田が92、山形が92と前回調査点よりさらに悪化した、米政策の改革を目前に控えている農家に危機感と不安感が募っている、全国の作況指数は90になり「著しい不良」と農水省がまとめた、作況指数90とは、単純計算でも国内の米の生産量が平年より約一割の80万トン減少することになる、今年の夏は低温や日照不足が長く続いたため、蔵元との契約栽培で酒米を作っている圃場でも、障害不捻や白ふが目立ち、昨年の収穫の2・3割減にとどまれば上等だと言われている、収穫時期の遅れと収穫量の減少、それに伴う価格のアップで、酒造好適米の入荷量確保と米質が心配されている、特に原料米の処理には細心の注意が必要となってくる、さらに「純米酒への影響が高くなる」ので各メーカーは苦労する酒造年度と言える、米の質が悪ければ「製造に影響する」と危惧している蔵元が多い、例えば、精米して洗米する工程で「糖の成分が落ちない場合がある」という、10年前の米不作の時は、闇米やクズ米が市場に増えたので、「アルコール添加酒が増えた」こともある、「米の成分が変わってしまうので、酸味が多くなり、酒の味を変えてしまう」からという、アミノ酸は味の成分が多く、すっきりした味になれない、蔵元では、とりあえず低温貯蔵している昨年産の手持ち原料米を使用して醸造し「昨年産米を使い終わった時点で新米が入ってくるかどうか」を県経済連などと折衝しなければならない、10年前の不作の時は、茨城県や栃木産米を頼りにしていたが「今年は各県とも自県産米を中心に供給努力をしている」のが実態である、蔵元は「今年の冷夏はうらめしい」と嘆くが「何でもかんでも怖がっていては先に進めない」と、ここは頑張るしか無い「原料米の善し悪しで、酒の造りに影響があってはならない」と杜氏たちは気を引き締めている、蔵元は、昨年より20日から30日遅れて仕込み作業を開始したところが多い、原料米価格の値上がりについては「単年度で企業が吸収」するしかないとしている。
醸界協力新聞 2003年11月1日号「時評」より
河北新報夕刊(平成15年)2003年11月6日号より
「ささろまん」姿消す
地元の新米が出回り始めた宮城県で、八年前にいもちに強い新ササニシキとして鳴り物入りでデビューした「ささろまん」の姿が見えない。食味はササニシキと同じとの触れ込みだったが、農家や流通業者が「微妙に違う」と敬遠したという、今年はデビュー後初の大冷害で、順調に生産量が伸びていたら脚光を浴びたかもしれない、農業関係者からは「運のないコメだ」と同情の声も聞かれる、「ささろまん」は宮城が唯一の生産地、白地に緑でコメ粒を描いたパッケージで1995年に発売された、水稲の大敵いもちに強い減農薬ササニシキとして話題を集めたが、この秋県内の米穀店を巡っても探せない、「そういえば見掛けない、どうしちゃったんだろう」と言うのは、仙台市内の農業団体職員、コメ関係者でさえ気付かぬうちに、姿を消してしまった、県農産園芸課によると、ささろまんの作付面積は95年、845ヘクタールだった、97年には、5,445ヘクタールに拡大したが、翌年から急激に減少、2002年は県全体の0.7パーセントにすぎない524ヘクタールに落ち込んだ、こんなに少なくても県内では売れず、出荷先は北海道や沖縄県だ、今年は推定552ヘクタールとわずかに増えたものの「デビューの数年後には10,000ヘクタールに」とぶち上げた県のもくろみは大誤算に終わったようだ、コメ流通関係者の一人は「ササニシキと味も品質も同じという話しだったが、作ってみるとササほどの品質ではなく、食味も落ちるとの指摘が出た」と解説する、運もなかった、デビューした95年は、戦後最悪の大冷害に見舞われた93年から間も無い時期で「いもちに強い」と期待感が高まった、しかしその後は昨年まで豊作、平年作が続き「肝心の持ち味を発揮できる場面がないまま埋没していった」(全農県本部)「味や食感はササと同質」という理念で開発されたささろまんは「ササニシキ」として売る事も可能、だが、いもち抵抗性遺伝子だけは異なるため、DNA検査では「完全なササではない」との結果がでる、食品の品質表示への関心が高まる近年、ササニシキとして売ればクレームのもと、流通関係者は「売りにくいコメになった」と漏らす、いもち抵抗性を強めたコメの開発は、宮城の代表品種ひとめぼれについても行われており、数年後にデビューできそうな段階まできている、ささろまんの教訓を「いもちに強いひとめぼれ」の販売戦略にどういかすか、冷害に頭を抱えながら、関係者は新たな課題に直面している。
ちなみに「一ノ蔵・山廃純米酒=円融」はこのコメで醸してます。
河北新聞(平成13年)2001年12月12日県内版より
軽い日本酒簡単に醸造
県産業技術センターと県酒造組合は12月11日、低アルコール日本酒の醸造に適した、新しい酵母を開発した、と発表した、発酵の過程で生じる「つわり香」と呼ばれる異臭の発生量が、従来の低アル酒用酵母に比べて少ないのが特徴という。
センターが、低アルコール酒用酵母の開発に着手したのは1996年、既存の酵母に突然変異を促す操作と、選別を繰り返した結果、異臭の発生がしにくい新酵母が誕生した。新酵母は「宮城酵母MY-2142株」製法などについて、県は既に特許を申請している。低アルコール酒の製法には
(1)水を加えて度数を薄める「加水希釈」(2)度数が低い段階で発酵を止める「発酵停止」の2つがある、このうち発酵停止製法では、加水希釈と違って味や香りまで水っぽく薄いまることはないが、酒類の香気成分の一つで、吐き気を催すような忌避香の「ダイアセチル臭」が発生するのが欠点だった。新酵母を使って低アルコール酒を仕込んだ場合、ダイアセチル臭の発生量は、人間が通常感知する0.5ppmの半分以下の0.2ppm程度に抑えることができるという。新酵母の開発について県酒造組合は「高品質な県産清酒の多様化と、新たな需要開拓にもつながる」(伊沢平一会長)と期待している。開発成功に合わせて、県酒造組合は新酵母の愛称を募集している。採用者には、賞金五万円と県産純米酒12本(720ml)が贈られる、応募に関する問い合わせは、県酒造組合022(222)3131へ。
河北新聞 平成13年6月16日付け朝刊
胃にやさしい「米米酒」
「一ノ蔵」(本社宮城県松山町)など全国の酒造会社32社でつくる研究グループ「日本酒ライスパワー・ネットワーク」は、胃かいようの治療・予防に効果が見込める成分を使った「米米酒(こめこめしゅ)」を全国の百貨店や酒販店などで販売を始めた、米米酒の成分は、ある種の微生物を原料米に反応させて抽出したエキス、香川県の勇心酒造が発見した、ハツカネズミを使った研究で、胃かいようが減ったり、胃かいようになりにくくなったりする効果があることが実証された、ネットワーク加盟社のうち、一ノ蔵など先攻四社が、1999年暮れから、このエキスを原料に試験醸造を開始、アルコール度数8%以下で酸味と甘味が程よく溶け合い、ほのかな桃の香りが漂う酒に仕上げた。エキスの含有量は酒100ml当たり20gで、税法上は「雑酒」に分類されるという。都内で記者会見した一ノ蔵の鈴木和郎会長は「胃にやさしい、いわば健康酒の日本酒としてPRしていきたい」と話した。米米酒は統一ウベルの容器、ラベルを使い一ノ蔵や「千代寿とらや酒造」(寒河江市)など七社が15日から販売、9月までに四社が加わる、容器は500ml入りの一種類で、一本千百円、
河北新報 平成11年(1999年)6月13日(日曜日)の記事より
仏ワイン見本市に殴り込み
東北の3社など蔵元11社連合 地酒で初の勝負へ
日本酒がワインの本場で世界の酒に勝負を挑む。銘酒「浦霞」で知られる佐浦(塩釜市)など東北の三社を合む国内各地の地酒の蔵元十一社が、十四日から十八日までフランスで開かれる国際ワイン見本市「ヴィネスポ99」に、日本酒の蔵元としては初めて共同出展する。国内ではワインブームなどで日本酒が逆風にさらされる中、海外に目を向け新たな市場を開拓する作戦だ。世界最大規模の見本市に集まる海外のバイヤーたちを、果たして酔わせることができるかどうか。
出展するのは二年前に八社で結成し、その後三社が加わった「日本八壺(はっこ)会」(西山裕三会長)の蔵元。東北では佐浦のほか、天寿酒造(秋田県矢島町)と大七酒造(二本松市)がメンバーで、共同の販売促進活動を展開している。今回の出展は、日本酒の国内消費が伸び悩む半面、北米やアジア諸国では和食ブームも手伝って日本酒ファンが急速に増えていることなどから海外市場に着目。ヴィネスポ参加で、これまで日本酒があまり知られていない欧州へ売り込みを図るのが狙いだ。ヴィネスポは、ワインだけでなくビールなど、あやゆるアルコール飲料がそろう展示会で、日本酒は初参入。フランスワインの主要産地・ボルドーで二年に一度開催され、今回が十回目。百二十カ国以上から酒の流通業者が集まる。前回は四十カ国の二千二百六社から出展があった。会場には八壷会の専用ブースを確保。各社が自社の代表的な純米酒と純米吟醸酒二、三点ずつを出品する。日本酒の英文パンフレットも用意、海外の流通業者らとの商談に臨む。現地入りする佐浦の佐浦弘一専務(三六)は「外国、特に欧州での日本酒の認知度はまだ低い。商談成立までこぎつけるケースは少ないかもしれないが、日本酒の良さを外国人に知ってもらい、海外進出の足掛かりを何とかつかみたい」と意気込んでいる。