下顎骨の長さは、身長の伸びと関係があります。身長が伸びるときに、下顎骨も伸びます。この理屈は簡単でして、身長が伸びると言うことは、脚の骨や背骨が伸びるからです。まあ、この時に手の骨も伸びます。これらの骨は細く長い骨ですので、長幹骨と呼びます。(頭の骨などは扁平骨と呼びます。)
長幹骨は両ハジの骨端軟骨が成長増大し、それが本物の固い骨に置き換わってゆくことによってその長さを増やしてゆきます。この状態を簡単に観察できるのが、手根骨のレントゲン写真です。(下の写真)
下の図は下顎骨を模式的に書いたものですが、図の黄色の部分が長幹骨と同じような成長パターンを示します。
なお、青い部分は歯槽骨と呼ばれ、歯の成長萌出によって増大し、歯の喪失によって無くなります。
また、ピンクの部分は側頭筋、オレンジの部分は咬筋という咀嚼筋(噛むときに使う筋肉)が付着しており、良く噛まなかったり、ある種の神経性の病気によってその大きさが減じます。
徳川歴代将軍の顔を調べた結果、軟かい食物を食べることが多かった後期の将軍ほどオレンジの部分が無くなり、細面の(エラの張っていない)顔になったようです。(初代将軍の徳川家康はエラの張ったタヌキじじいですよね。)
人間には思春期成長というのがあります。1月に1センチメートルも身長が伸びる時期です。小学校の時に反対咬合を治しても、戻る(再発)するのは、この思春期成長のせいです。また、「小学校の時は軽い反対咬合だったのに、中学生になってひどくなった。」というような話もよく聞きますが、これも思春期成長のせいです。
反対咬合だけでなく、下顎の偏位(顎が曲がる症例)もこの下顎骨の成長の様子が関連します。
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