ご質問 不正咬合の治し方

その3:叢生


 お答え 保険治療においては、治療のガイドラインというものを関係学会が主体となって策定しております。しかしながら、歯科矯正治療においてはそういった物は存在しません。各大学、様々な流派が存在し、統一することができないからです。よって、保険治療に導入されることはないでしょう。 顎変形症の治療法にかんしては、ある程度統一されたものが存在するので、保険導入されていますが、適用症例の判断は少しグレーな部分も存在します。(悪い視界も居るようです。) 今回は、叢生の治療法について、私なりの見解をまとめておきます。治療開始時期に分けて、まとめてみますね。

1.乳歯列期(概ね6歳前まで)

 この時期に歯列を拡大しても、ほとんど無駄です。永久歯にはえかわる時に戻るから。

 食事指導などをして、なるべく自然に歯列や噛み合わせが成長してゆけるように指導します。

 具体的には、食卓にコップを置かない、食べ応えのある食物を用意する。手づかみで食べてもOK。最初の5口ぐらいは20回噛む。ご飯が甘くなるまでやってみよう!ハンバーグよりも、鶏の唐揚げのでっかいやつを前歯でかじって奥歯でガシガシ噛む、野菜も千切りよりはそのまま丸かじり。夏のキュウリはおいしいぞ。

 おやつは、お菓子よりもおにぎり。ウチの子供たちはこれで育てました。20歳過ぎてから、むし歯を作った子が一人おりますが。

 

2.6歳から10歳ぐらい(前歯部の永久歯への交換期、混合歯列期)

 歯の大きさと顎(=歯のはえる場所)の大きさ広さのバランスを見ます。

 歯のはえる場所が極端に少ない(狭い)場合は、歯列の拡大をすることがあります。狭すぎて噛めない子どもって、います。

 ゴックン(嚥下)が上手にできない子どもには指導します。医療保険で、嚥下発達異常が導入されていますが、一般歯科医では指導するのが難しい場合が多いと思います。歯列の形から変えないと不可能な場合が多いのですが、歯列を整える事(=歯科矯正治療)は保険導入されていませんからね。嚥下(ゴックン)という機能と歯ならびという形(形態)は密接に関連してます。前歯部開咬や上顎前突や反対咬合であれば、舌を前に出さないとゴックンできません。

3.中学生から高校生(12歳から18歳)

 思春期成長期ですので、成長を考慮した治療となります。

 歯の大きさと歯のはえる場よのバランスを考慮して、必要であれば小臼歯抜歯などして、ブラケットを付けて治してゆきます。歯列の拡大で対応できる場合は、固定式をお勧めしてます。

 抜歯症例の場合、ブラケット(=歯を動かす装置)2年、保定期間(=後戻りの確認)2年の計4年ぐらいの時間がかかります。

4.成人症例(18歳以降)

 成長がありませんので、歯の大きさと顎の大きさのバランスを考えて、抜歯、非抜歯の診断をした後、ブラケットを装着して治療してゆきます。

※歯列の拡大装置には固定式と可撤式の2種類があります。固定式のほうが確実ですが、違和感が大きいので、それなりの覚悟が必要です。

※マウスピース矯正(インビザラインとか)で抜歯症例は難易度が上がります。(まあ、難しい。) このため、歯の隣接面を削ってスペース(歯を動かす場所)を作りますが、歯を削るとむし歯のリスクが増します。(ちゃんと、このことを説明しているかな?)

 


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