ご質問 矯正治療の時に、針金を曲げてあるのはどういう意味がありますか?
お答え 矯正治療には、いろいろな材質のワイヤーを用います。治療の必要に応じて、ワイヤーに「曲げ」を入れることがあります。この「曲げ」のことをループといいます。ループを入れる理由としては、
などがあると思います。
まず1の説明からしましょう。長さが5cmのゴムひも(=Aのゴム)と長さ10cmのゴムひも(=Bのゴム)をご用意ください。(頭の中で想像しても良いです。)この2つのゴムを15cmまで伸ばしたとしますと、Aのゴムは3倍にBのゴムは1.5倍に伸ばされることになります。弾性のある物の力は弾性係数に変位量をかけることによって計算されます。(フックの法則ですね。)結果として、AのゴムはBのゴムの2倍の力が生じます。
さて、今度は矯正の話になります。歯にかかる力を半分にしたかったら、針金の長さを2倍にしてあげれば良いという計算は、上のゴムの例からわかるでしょう。まっすぐな針金のままでは当然無理ですから、上か下に曲げてまた戻ってくれば良いわけです。
で、
こういったループをつくるわけですね。
2の例としては、上の図の真ん中のループの両端をぐっと引っ張りますと、下の図のようになります。
すると、ループは元に戻ろうとしますので、内側向きの力が生じます。このループの前に前歯、そして後ろに臼歯があれば、前歯と臼歯の「つなひき」が始まります。でっかい奥歯(臼歯)と前歯の「つなひき」は多くの場合、臼歯が勝ちます。ということは、前歯が負けて、後ろに下がってゆくわけですね。
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