ご質問 なぜ、成長期に治療するのか
(反対咬合の場合)
お答え 歯科矯正治療は、成長期に始めることが多いのです。この理由をご説明しましょう。
人間の頭部を3つに分けて考えましょう。
1)脳頭蓋部=脳みそのはいっている部分です。
2)中顔面部=上顎骨を中心とした部分です。
3)下顔面部=下顎骨を中心とした部分です。
1)の脳みその入れ物(頭蓋)は、5〜6歳で大人の80%ぐらいの大きさまでできあがります。2)の上顎骨は10歳ぐらいまでに大人の80%ぐらいができ上がります。そして、下顎骨は思春期成長の時(中学生の頃)に、急激に大きくなります。
よろしいですか、頭の上のほうからだんだん出来上がってくるわけですね。
これは、漫画を書くと理解できます。まん丸を書いて、目をその上下2分の1の部分に書き、髪の毛や鼻や口を書くと、子供の顔です。大人の顔は、縦に長い楕円を書いて上から3分の1のところに目を書きます。目から上は脳頭蓋の部分です。大人への変化は目から下の成長であることがご理解いただけると思います。
さて、やっと本題です。
反対咬合の場合、放置しておくと、上の顎が成長すべき10歳までの間は、噛み合わせが逆の下の前歯に成長を邪魔されてしまいます。つまり、大きくなれません。
次に、思春期成長の時には、下顎骨は上顎前歯の抑えがなく、自由に成長できます。つまり、大きくなりすぎます。こうなると、小さな上顎骨に対して、大きな下顎骨がある反対咬合になりますので、手術で治す可能性が高くなります。
一般歯科(矯正専門医でない場合)、手術を脅かしの道具に使う場合があります。ご心配でしたら、専門医を受診されてください。
私としては、小学生の時期に反対咬合を治して、上顎骨も下顎骨も正常な発育の方向に修正してあげるのが望ましいと思います。
他にも、舌べろの使い方や、ゴックン(嚥下)の仕方、発音など反対咬合では不利な面があります。これら機能的な問題に関しても、早めに修正してあげたほうがよいと考えます。
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