ご質問 いわゆる顎関節症について


お答え  顎関節症とは、顎の関節(耳の前にある)の非炎症性の疼痛のことを言います。諸説入り乱れておりますが、歯医者が言うような「歯の噛み合せに原因がある。」というような例は少ないようです。(歯医者が歯を削って狂ってしまった場合はそうですけれどね。)

 基本的には2つのタイプがあると思います。器質的な変化(関節の中の物や形がおかしくなること)があるタイプとそうでないタイプです。前者は、高齢者に多く、後者は若年者に多いのです。

1)器質的な変化があるタイプ

 関節円板というクッションが磨り減っていたり穴があいていたり、関節自体が変形していたり、関節内の滑液が編成したりする場合です。原因はいろいろです。老化、リューマチ、長期間にわたる不良姿勢などが考えられます。

2)器質的な変化がないタイプ

 若年者においては、猫背や頬杖など不良姿勢をとっていると、顎の関節の位置が狂って、症状が出ます。

 両足で立っていれば何ともないのですが、片足で立っていると非常に不安定です。すると身体は、手や頭でバランスを取って、頑張ろうとします。その結果、立ち足はすごく疲れ、腰も痛くなります。この腰の痛みを治すのには、あげている足を下ろすだけでよいわけです。このように人間の身体はあちこちがつながっておりますので、腰だけ、膝だけ、腕だけ診てもわかりません。顎関節も同じです。そこだけ診てもわかりません。下顎骨には歯がついていますから、噛み合せに結び付けて歯医者は考えますが、はずしている場合が多いんです。

 一番困るのは、歯医者がわかったような顔をして歯を削りまくり、顎関節症の症状を固定してしまったり、悪化させたりする場合です。

 さて、治療法ですが、悪い所を探し出して治すのが治療の基本です。猫背になりやすい人は腹筋を鍛えることです。骨盤が左右に偏位している人にはストレッチ体操をお教えします。食事の時のテレビの位置、足の組み方など生活習慣に根ざしている場合はそれを取り除いてゆきます。噛んで痛みがある場合は、スプリントなどが必要かもしれませんが、私はこの5年ぐらいは使ったことがありません。歯科治療(補綴、歯科矯正)などは、痛みを取ってからですね。



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