ご質問 コルチコトミーについて


お答え    まず、骨の構造から説明しましょう。骨には2つの部分があります。

1)皮質骨=白くて堅い、表側の部分

2)海綿骨=赤く柔らかい、内側の部分

 皮質骨は英語でコルチカル・ボーンと言います。この部分を切ることをコルチコトミー(Corticotomy)と呼ぶわけです。

 堅い部分を切れば歯が早く動くと素人さんをだますのは簡単ですが、歯科矯正治療は、海綿骨の中を歯を動かしてゆくわけですから、皮質骨を切ろうがどうしようが、治療の速度はたいして変わらない理屈ですね。

 ただ、歯列の拡大や縮小などの場合は、皮質骨の抵抗が強く、また治療後の安定のために、以前は適用されたことがありました。しかし、この面から考えれば、同じ痛い思いをするのならオステオトミーで一発で治したほうがまだ楽なように思います。

 あと、骨は歯肉の中にあるわけですから、骨を切るためには歯肉も切らなくてはいけません。歯肉を切るにあたっては歯周炎や加齢で弱くなっている歯肉では危険性が増します。成人の場合、かなりの注意が必要になる可能性が高いと思います。決して簡単な方法ではありません。安易に選択すると、歯槽骨ごと腐って落ちますよ。歯だけではなく、骨にまでダメージが加わる危険性があります。

 どんな治療でもそうですが、ちゃんと適応症を判断し、患者さんも十分に理解してから、治療を受けるようにしましょう。


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