ご質問:インプラント矯正について
お答え 個人的には、進んで使おうとは思っておりません。転医症例とか、崩れてしまってどうしようもない場合は選択するかもしれませんが、自分の所で始めた症例ならば好んでインプラントを打ちたいとは考えません。
なぜか? インプラント矯正の売りは「矯正治療の限界を広げる」なんですが、限界に挑戦するつもりなどありませんから。固定源(Anchorage)がグダグダ(不安定)ならば使うかもしれません。でも、それ以前に他の方法を考えます。世間で使っているのを見ていると、素人矯正が固定源をしっかりと考えた治療をしないで、安易にインプラントを打ってるような感じです。
矯正用のインプラントは材料費だけで2万円弱します。打つ手間や技術料や儲けを考えたら、その数倍もらわないといけません。 (安いもの売ってますが、厚生省の薬事を通っていない=法律違反のものもあります。)
異物を身体の中に打ち込むわけです。傷口からの感染のリスクもあります。感染を起こして、傷口がただれるだけなら良いですが、骨の中に炎症が波及したら(骨髄炎)治療は難しくなります。 骨膜に沿って炎症が進めば、歯槽骨の吸収が起きます。
打ち込む時に、歯に当たると歯が直接傷つきます。(これを避けるためには、画像診断が必要ですね。)
下顎骨は皮質骨が厚いので、ある程度の強度が得られると思いますが、上顎骨は皮質骨が薄いので、抜けやすいハズです。そういった臨床報告も多く出てます。
また、あまりにしっかりとしたインプラントであれば、それを過信して力をかけすぎれば歯根吸収など歯への悪影響が出る危険性もあります。下顎前歯の圧下などは、それなりのリスクが伴います。
インプラント矯正のリスク(危険性)を十分考え、それよりもメリットがある場合にのみ、治療法を選択されるべきでしょう。どんな治療法でも同じですね。
個人的には、血を見るのも、麻酔の注射をするのも嫌なんですけどね。
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