ご質問:非抜歯治療の限界(上顎骨)


お答え  非抜歯治療を希望される方が多くおりますが、無理なものは無理です。無理なものを無理矢理やると後戻りが起きたり、歯根吸収を起こします。拡大の限界は以前にも書きましたので、後方限界について上顎骨を例にご説明しましょう。

 側方セファログラム(頭部X線規格写真)です。左の図の中央部を右に模式図的に書き直してあります。

 翼口蓋窩という涙のしずくを逆さにしたようなものがあります。実は骨と骨の境目にできているくぼみ(窩)なんです。翼口蓋窩よりも前は上顎骨、これより後ろは蝶形骨という骨になります。上顎の歯は、当たり前ですが上顎骨の中にはえます。蝶形骨にははえません。第一大臼歯を何らかの装置で後ろに動かして非抜歯治療をしたとすると、そのしわ寄せは、

1)第一大臼歯よりも後ろの歯のはえる場所をなくす。(上の写真でしたら、第3大臼歯はマトモにははえないでしょう。第2大臼歯でも危ないくらい。)

2)あるいは、大臼歯が動かないで、前歯をより前に押し出して、出っ歯ちゃんを作る。

のどちらかです。

 小学校検診で、出っ歯ちゃんがとてもひどい出っ歯ちゃんになっていたので、口の中を見たら「大臼歯遠心移動の装置」が入ってました。装置を入れれば良いというものではありません。上記のようなレントゲン写真を撮って、治療が可能かどうか診断してから始めないと。とんでもないことになりますよ。

  下顎骨においても、同様に後方限界が存在します。時間があれば、またご説明します。

 


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