ご質問:歯科矯正治療開始は、

     いつはじめるのが良いか?


お答え  これは、患者さん一人一人で違います。「隣の子どもが始めたから、ウチの子も。」というわけにはゆきません。

 症例の内容、つまり不正咬合の種類、程度(かなり難しい〜簡単)、歯のはえ具合(歯根の完成度)、患者さん本人のやる気(治療意欲)、治療にかかる時間、受験や就職や転勤など社会的な問題、治療費支払いという金銭的な問題、などなど考え得べき事はいくつもあります。

1)症例

 過蓋咬合や開咬など舌や口腔周囲筋などの影響が考えられるものは、小学生のうちに始めたほうが良いと思います。大人になってからやると、非常に治りにくいのです。

 前歯部叢生は、いつからでも始められますが、歯の大きさが異常に大きな場合、大臼歯からの移動や歯列の拡大などを考えなければいけない場合もあり、その時は小学生から来て欲しいです。

 上顎前突は、上下のアゴの位置関係のズレが大きすぎれば大人になってから手術で対応すればよいわけですからいつでもOKなわけですが、手術をしたくなければ小学生のうちから手を付けたほうが良いでしょう。一番大きな問題は、上顎前突を放置することにより口腔周囲筋(特に口輪筋)が発達しないことです。大人になってから治療したとしても口輪筋の筋力はなかなか増えません。また、上顎前突の原因がアデノイドや扁桃腺である場合、小学生の間に適切に処置することにより顔貌が劇的に変化します。

 

2)歯のはえ具合

 歯科矯正治療は歯に力をかけて歯並びを治してゆく治療ですので、歯がはえていないと手も足も出ません。あと、大人になるとアンキローシスと言って、歯と歯槽骨が癒着して歯科矯正治療が上手くゆかないこともあります。基本的に、歯科矯正治療はいつでもできることになってますが、歯を動かすには小学生から中学生ぐらいが一番治りがよい、というのが実感です。

3)本人のやる気

 やる気があるとなしでは、治療結果は全然違います。歯を動かす装置を全く使わなければ動かない道理です。ゲームでどんなに立派なアイテムを持っていても、使わずにゲームオーバーになったら情けないでしょう? 使ってみてこそのアイテム(矯正装置)です。

 

※歯科矯正治療は、患者さん一人一人に合わせた、オーダーメイドの治療です。最適な治療時期、治療装置は患者さん一人一人違います。ご不明な点は、歯科矯正を専門に(単科開業)している歯科医にご相談ください。別に、ウチにこなくてもOKです。


| Q&Aのコーナーに戻る | ホームに戻る |