ご質問  ブラケットの種類について


お答え    歯科矯正治療をする時に、歯を動かすための道具として、歯の表面にブラケットBracketを付けます。(アメリカではブレースBraceと呼ぶほうが多いかな?)

 発明したのはアメリカ人のアングルさんで、発明時期は20世紀初頭のころです。

 ブラケットの種類(分類)としては、素材による分け方から、

金属製、プラスティック製、セラミック製

の3種類があります。

 また、用途別に、

スタンダード用、ストレートワーヤー・テクニック用、ベッグ法用

が、あります。

1)素材による違い

 一番理想的なのは、金属製だと思います。歯を動かすときに針金(ワイヤー)を用いますが、歯の動きを邪魔する摩擦力(まさつりょく)が一番少ないのは金属製のブラケットです。また、歯にねじり(トルク)をかけた時に材料自体の硬度が高いので変形が少なく、効きが良いのです。素材自体が他のものに比べて強いので、ブラケットの大きさも3種類の中で一番小さくできます。

 プラスティックは透明にできる利点はありますが、磨り減りやすいのです。(耐磨耗性が低い。) 最近では、グラスファイバーなどをいれて、強化しております。値段は、金属製よりも高くなります。

 セラミックは、衝撃力にもろいという特性があります。所詮、お茶碗やガラスと同じです。ぶつけたら欠けます。そして、最大の欠点は、歯よりも硬いということです。過蓋咬合(かみ合わせの深い症例)では、歯が削れてしまって悲惨なことになります。値段は、金属製のものよりもかなり高くなります。

※ワイヤーとの摩擦力を減らすために、プラスティック製やセラミック製のブラケットの一部分に金属を貼り付けた製品も出ています。

2)用途別による違い

 スタンダードとは、英語で「標準」という意味ですね。アングルおじさんが作ったのは、まさにこれです。しかし、これを利用するためにはワイヤーに複雑な屈曲を加えないといけません。その技術を持っていない人には使えないブラケットです。

 これに対して、アメリカの商業主義は「誰にでも使えるブラケット」を考えました。ワイヤーの複雑な屈曲をしないで済むように、ブラケットに歯の傾き、ねじれ、前後的な位置関係など三次元データを組み込んだのです。ワイヤーを曲げない(ストレイト)治療テクニックの誕生です。確かに、ワイヤーを曲げないので楽なんですが、問題があります。

・一人一人が違う形や大きさの歯なのに、平均値で作られたデータを使用していること。

・白人の歯のデータをもとにして作られたブラケットを日本人の不正咬合の治療に使う。

など、とてもおかしい事だと思いますが、知識のない歯医者(矯正専門医ではない輩)は使うんですね。最近、日本人のデータを元にしたブラケットが作られましたが、所詮平均値でしかありません。

 ベッグ用は、アングルさんのもうひとつの発明である、「リボンアーチ・テクニック」を元にしてベッグさんが考えた治療法で使用するためのものです。断面の丸いワイヤーを使うのが特徴です。上記二つは断面が角型のものを使うことから、「エッジワイズ法」と呼ばれます。

 

 私のお勧めは、金属製のスタンダード・エッジワイズ・ブラケットを用いる治療方法です。


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