治療技術

　歯科矯正治療は、常にうまく進むわけではありません。時には、悪い方向に行ってしまう場合があります。この悪い状態を立て直す時には、いろいろな治療技術に精通している専門医のほうが有利です。教科書に書いてあるようなうまく行くような症例だけなら、一般歯科医でも可能でしょうが、世の中教科書どおりにいかない症例のほうが、ずっと多いのです。

　知識や技術の引き出し(ポケット)がたくさんあるのが専門医です。傷口がパッカリ開いていて、縫わないといけない時に、外科医にそれを頼むのが普通でしょう。内科専門医に頼む人はいませんね。
　治療期間は専門医のほうが、短くなります。悪い方向に向かってもすぐに立て直せますからね。

　治療のレベル（質）の面でも、違います。「矯正治療なんか、歯を並べるだけだろう。」と考えている歯医者はたくさんおりますが、並べ方ひとつで装置撤去後の安定度が違います。装置をはずした後には、必ず「後戻り」という現象が起こります。きれいに治したモノが崩れてゆくことです。素人の矯正治療はあっさり戻ります。そういったところは治療費も安いですが、それなりのレベルなんですね。我々専門医なら、恥ずかしくてお金を頂けないようなレベルですよ。

　治療技術のほかに、治療器具の滅菌消毒という問題もあります。月１回アルバイトが来るような所は、治療器具を数多くそろえていませんから、ひとつの治療器具を使いまわすわけです。衛生面からも疑問ですね。そういったところのほうが、治療費用が安かったりしますが、われわれ専門医と同じだけ器具をそろえれば、安価な料金では不可能でしょう。消毒滅菌は患者さんの目にはよく見えないかもしれませんが、治療の質は、そういった部分からも違います。