新学期になると歯科健診が必ず行われます。 学校保健法という法律があり、これに則って実施されます。好き嫌いでやらないわけにはできない健診なのです。 |
歯科医師会では講習会を開催して、健診基準の徹底をはかっておりますが、この講習会に出てこない先生もいるんです。平成7年に健診基準が大改正され、COが導入されたのですが、未だにむし歯しか見ていない先生がおります。困ったもんです。以下の図は、地元歯科医師会で調査したものです。講習会参加回数と健診の判定どの変化が分かります。 |
下のような子どもに、平気で不正咬合「2」を付けてくる先生もおります。 何人か続いたので、聞いてみましたところ、わかりました。事前調査票に「歯科矯正治療の経験あり」に丸を付けると、自動的に「不正咬合=2」の判定にされるようです。現場で実際に口の中を診査してないわけです。ですから、学校から事前調査票が来たら、「歯科矯正治療は受けていません。」に丸を付けてください。 |
さて、以下に私がやっている学校歯科健診の方法をまとめておきます。興味のある方はご一読下さい。 1)まず、教室に入ってきた時の様子から診てます。歯科医院等で、痛い目に遭っている子は、おびえた表情で入ってきます。 こういった子は、口の中にむし歯がある確率が高くなります。あ、単なるビビリの子どももおりますが。 ラテックスアレルギーなど健診する時に支障となることは、あらかじめ保健室の先生に聞いておきます。(保健室の先生は、そういったことをちゃんと記憶してます。 そのほか身体的な異常があれば、所見欄に記入します。 |
2)人差し指を顎関節部に当てて、2〜3回、口を開け閉めさせます。 顎偏位の有無、顎関節症状の有無がわかります。最大開口度が3横指以上あれば、異常なしでOKです。 姿勢の悪い子は、片側の顎関節が鳴ったりします。そんなので、歯科医院に受診照会などしてはいけません。知識のない歯科医に触られて、余計変なことになる確率の方が大です。 |
3)そして、咬合させて、歯列咬合、歯垢の付着、歯肉の状態を判定します。口の中を見る時には、児童の口の中には絶対に(!)手を入れません。下手くそな歯科医は手を突っ込むようです。 歯石がついていると、歯科医院を受診することになります。むし歯がなくても、歯科医院にいってくっださい。 |
歯列咬合については、健診基準の「2」はほぼ骨格性やひどい状態の不正咬合です。「1」の判定基準でも、後々の事を考えたら治したほうが良いかな?とおもわれるやつは、本人にお話しして専門医への受診を勧めます。たとえば、前歯部開咬は0.1mmでも空いていれば、開咬です。多くの場合、舌の機能発達不全が原因です。保険点数に今年から入ってきてますが、学校歯科健診の健診基準にはまだ入ってきていません。また、鼻呼吸ができなくて出っ歯になっている症例、ちょっと助けてあげれば回避できるような叢生の症例などもあります。 何で、こんな事を言うかというと、大人ないなってひどくかなってから治すより、子どものうちの方が簡単に治る場合が多いからです。 4)次に歯の状態をチェックします。むし歯がないか、歯の生え換わりが順調か、小帯など軟組織の異常がないか、診てゆきます。 |
・むし歯に関しては、穴が開いていれば(実質欠損がある状態)ならばC、歯みがきが悪くて、カルシウムが抜けて白くなった状態をCOと判定します。むし歯の穴を治してあれば、治療済み、ゆごうしがあれば、それも指摘し、先天欠如歯があれば、それも本人にお伝えします。将来的には並びがおかしくなるからですね。 |
・歯の生え換わりについては、12歳で第一大臼歯(別名;6歳臼歯)ははえてなかったら、そいつは異常です。萌出遅延と指摘します。乳歯を早めに抜かれて、奥歯が前にずれてきていたら、歯列フセイン原因となりますので、指摘します。(これも現行の健診基準ではありません。) |
・上唇小帯、下唇小帯。舌小帯など、歯茎と他の部分をむすぶヒモの異常でも歯並びが悪くなりますので、あれば指摘します。 |
・あと、顔の傷(殴られた???)とかあれば、養護教諭と後でお話しします。あと、歯科治療に連れて行かない(=育児放棄?)の疑いがある場合も、養護教諭や校長先生と相談します。 |
※学校歯科保健会の健診基準に載ってなくても、将来的に問題となるようなことは、全部お話ししておきます。
時期が来て、「そういうことね。」と、ご本人が納得する場合もあるでしょう。
如何に、熊本県歯科医師会のまとめたものをご紹介しておきます。
健診している歯科医が話している内容が分かりますよ。
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