ぎいちの戯言 その48:ある会合にて
歯科の保険点数が低い(安すぎる)のは、重々承知しております。健康保険治療だけでは食うのにカツカツという話はよく聞きます。
でも、その穴埋めのために、インプラントや歯科矯正治療を安易にやる歯科医が増えるのは困りものです。ある会合で、そんなことをのたまう一般歯科医がおりました。
人間の身体は歯に力をかければ、歯槽骨が反応して動くようにできています。ただ動かすだけなら、何も頭は要りません。歯に力をかけてあげれば良いわけです。
しかし、日本矯正歯科学会が認定医の基準に上げているのが、「研修機関での5年間の臨床経験」です。つまり、歯科矯正治療を専門に5年間勉強修行しないと認定医にはなれませんよ、ということです。
歯を動かすこと自体は単純です。でも単純だからこそ、奥が深いのです。どうすれば最善の治療効果がえられるか。そのために、勉強するし、研鑽を積みます。一般歯科治療の片手間にできるわけがないので、歯科矯正の単科開業になるわけです。
ヨソから転医されてきた患者さんは皆さん、おっしゃいます。「ココの治療は痛くない。」 適切な力のコントロールを行えば、ちょっと我慢する程度の力の分量で歯は動きます。また、計画的に歯を動かしてゆきますから、治療期間も短くなります。ダラダラ長い期間をかけて治療したほうが患者さんからたくさんお金をもらえますけどね。