ぎいちの戯言 その49:噛めるということ
食事をよく噛んで、細かくするとともに唾液と上手に混ぜて食道から胃へ送り込まないと、身体を作る栄養素にならないばかりか、情動や精神活動にまで影響が及びます。噛むことによって脳血流量(頭に流れる血液の分量)が増えるのは、チューイングガムのテレビコマーシャルでも紹介されておりましたね。
さて、メタボリックシンドロームの改善や食育の観点から、最近で食べることの重要性が言われています。私も、一応歯科医師免許を所持しておりますから、少しは関わりがあります。
先日、初診でいらした患者さんは、顎変形症+開口障害の患者さんでした。一生懸命開けても、上と下の前歯の間が私の人差し指の分量しか開きません。
「これでは食べるのが大変でしょう?」
「いや、慣れてます。」
(えっ、そういう問題じゃなくて・・・)
これまで、この患者さんを診てきた医師、歯科医師は何とも思わなかったのでしょうか? 何とかしてあげようと思わなかったのでしょうか?
老人保険施設に行ったことがありますが、入れ歯(義歯)が合っていなくて食べられない人が、修理をして噛めるようになると、食事が楽しくなります。ご飯を食べるって、楽しいことなんだ。その時、気づきました。あと、義歯がちゃんと入ると口元の落ち込みもなくなりますから、口元のしわが減ってきれいな顔になります。化粧を再開したおばあちゃんもおりました。噛めるようになると、口元から顔が美しくなります。
先に挙げた、顎変形症+開口障害の患者さんですが、ちゃんと治してあげれば、楽しい食事と美しい笑顔が得られるはずです。そのために、私は協力してあげたいと考えてます。まだ10歳なんだから、楽しい人生を歩んで欲しいものです。