ぎいちの戯言 その57:平成16年の保険点数改悪のまとめ

(平成18年もほぼそのままです。)


 圧倒的な小泉人気のなかで2200億円の社会保障費削減が行われました。そのアオリを食ったのが、各医療機関です。保険点数の切り下げにより、医科、歯科、介護は悲惨な状態になりました。「三方一両損」なんていう大岡裁きの口当たりの良い言葉を使ってましたが、官僚だけは損をしなかった仕組みです。

 歯科矯正についても、そのとばっちりはひどいもんです。以下にまとめておきます。

 すべてを網羅して書くほど時間がありませんので、「マルチブラケット法」といって、歯に金具を付けて歯並びを治す治療の保険点数についてのみまとめておきます。

1.レントゲン撮影

 セファロ(6ツ) 260+7.1x2 → 255 減額 19点

 (説明)撮影料+フィルム材料料であったものが、何枚撮影しようが同じ点数になりました。加えて、パノラマ写真というすべての歯を撮影するレントゲン写真を撮る場合、「同一部位」という事で、点数が削られるようになりました。セファログラムは頭蓋と上下顎骨の位置関係や歯のはえている位置や角度を調べるもので、虫歯や歯槽骨の状態を調べるパノラマX線写真とは目的も見る場所も違うのに、頭の悪い」厚労省の役人は「一緒だあ!」ということでまとめてしまいました。レントゲン写真は、初診時、治療経過、最終チェックなどの際に撮影されますから、最低でも4〜5回は撮影します。レントゲンの機械はン百万円しますから、この検査だけで元を取るのは不可能です。

 ※この件については、平成18年の点数改正の時に「別の目的で撮影するのだから」ということになり減点が無くなりました。(が、静岡県では、それでも削ろうとしています。)

2.上顎加算の廃止

 500点 → 0点 (廃止)

(説明)見えにくい上顎の治療のための加算でしたが、廃止により、2000点(2万円分)の減収です。(これは治療のステップ4回算定可能でした。)

3.動的処置料の50点加算の廃止

 350点 → 300点

 (説明)マルチ装着後1年間は50点加算がありましたが、これが廃止されています。歯科矯正治療はだいたい1月に1回の調整を行いますから、50x12=600点の減収です。

 

4.ワイヤー材料料の減点

 丸線 24点 → 21点

 角栓 19点 → 13点

 (説明)材料費が削られていますが、仕入れ価格は変わっていません。(不況の影響でかえって値上がりしています。)

 

5.フックのろう着

 アーチワイヤーにゴムをかけたりするのに、フックを付けますが、改悪によりろう着料込みにされてしまいました。つまり、フックの点数70点+ろう着料60点で計130点でしたが、改悪後はフック(ろう着料込み)とされて、70点だけになりました。

6.上記をすべて合算すると

 診療回数、器具の個数など点数にかけ算して、すべてを合算すると、概算ですが、3900点を越えます。つまり患者さん一人当たり、39000円を超える減収となったわけです。(患者さんの負担額は11700円減少した計算になりますが。) 公務員の給料は1円も下がらないのにね。

7.その他の問題点

 歯に接着するブラケットの材料代は改訂後29点です。つまり、材料費が290円のブラケットしか使えないわけです。成人などで前歯に白いブラケットを希望された場合、一番安いブラケットでも290円では絶対に買えません。このあたりは実情に即して改正して頂きたいものです。

 


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