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ぎいちの戯言 その72:患者さんにとって都合の良い治療が、適切な治療とは限りません。


  身体の中にガンができた時に、「手術しないで治る」とか、「抗ガン剤を使わない」などのいわゆる近藤理論を信じ込んで、普通の治療を拒否する人がおります。 患者さんにとっては、つらい手術や抗ガン剤を使わずに済むわけですから、そりゃ信じたくなります。

  「これだけで痩せる」魔法の方法や、「これだけで毛は生えてくる」秘密の薬なんて、そうそうありません。(って、あったら教えて欲しい。)

  四歯科矯正治療でも、「抜かないで治る」とか、「ブラケットをつけなくても治る」とか、患者さんにとって都合の良い治療法を提示する歯科医やホームページや本がありますけど、そうそううまくゆきません。うまくゆくなら、それが標準治療として採用され、ごく当たり前の治療法になっているはずです。当たり前の治療になったら、わざわざ宣伝する必要もないわけですよね。

 

 医療にはメリット(利点、利益)とデメリット(欠点、不利益)が裏表であります。キレイで良く咬める歯並びを手に入れる利益の裏に、矯正装置という邪魔なものや歯が動く時の痛みが付いてきます。デメリットが全くない治療法なんてありません。現在生き残っている治療法はデメリットよりもメリットの報が大きいと確認されている治療法なのです。

 勉強しないで勉強ができるようになるとか、努力しないで成功を勝ち取るとか、そりゃできたら嬉しいですけど、そんなうまい話はありませんよね。

 「抜かないで治す矯正治療」の本があるということは、「抜かないと治らない矯正治療」もあると言うことです。患者さんや親御さんのお気持ちはよく分かりますが、骨格や歯の大きさなど人はひとりひとり違いますので、その個人個人に合った治療法を選択しなくてはいけません。。


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