>

ぎいちの戯言 その75:萌出遅延について→埋伏歯の歯科矯正的牽引


  「歯の萌出遅延」という異常(病気)があります。本来はえてくるべき歯が適切な時期にはえてこない、というものです。あまり聞かれない言葉ですが、今年(2017年)札幌で開かれた日本矯正歯科学会で話題にあげられておりました。

 歯が生えてこない場合に、考えられることは、

1)はえてくる歯がない場合 (先天性の歯牙欠損=先天欠如歯)

2)歯がはえてくるのを邪魔する何かがある (萌出障害)=歯牙腫や嚢胞がある場合

2)歯のはえてくる方向がおかしい (萌出方向の異常)

4)歯のはえてくる場所が足りない、ない

5)歯根の形成不全(原因不明だが、歯の根っこができない)

 いずれにしても、レントゲン写真を撮ればすぐにわかります。歯の萌出時期の目安は以下の表をご覧ください。だいたい2年遅れたら、おかしい?と疑ってください。ただし、身長の伸びなど全身の成長発育の遅れがある場合は、そちらも影響しますが。

歯の名前 萌出時期(平均)
1.上顎 中切歯 7〜8歳
2.    側切歯 8〜9歳
3.    犬歯 9〜11歳
4.    第一小臼歯 9〜11歳
5.    第二小臼歯 10〜12歳
6.    第一大臼歯 6〜7歳
7.    第二大臼歯 11〜13歳
8.    第三大臼歯 17歳以降
1.下顎 中切歯 6〜7歳
2.    側切歯 7〜8歳
3.    犬歯 9〜11歳
4.    第一小臼歯 9〜11歳
5.    第二小臼歯 10〜12歳
6.    第一大臼歯 6〜7歳
7.    第二大臼歯 11〜12歳
8.    第三大臼歯 17歳以降

※人類の退化傾向のため、側切歯、第二小臼歯、第三大臼歯の先天欠如が増えてます。

 

 ☆萌出遅延で一番多いのは上顎犬歯の位置異常によるものです。その中で一番怖いのは、他の歯の根っこを食ってしまう場合です。

中切歯の歯根を食う犬歯

 上の写真は25歳の女性。上顎左側犬歯の萌出はだいたい9歳ごろですが、「おかしいな?」と思いながら放置した結果がこれです。

 上顎左側中切歯の歯根が食われ(歯根吸収といいます)た結果、中切歯がぐらぐらになってました。このまま放置すれば、前歯が抜けて、笑えなくなります。

 

 「おかしい?」と思ったら、歯科医を受診し、レントゲン写真を撮ってもらって下さい。初診料を入れても千円もかかりません。(医療助成のある自治体なら、無料だったり、500円だったりします。) 

 あとで、痛いめ目に会うよりは、転ばぬ先の杖です。なお、、学校歯科健診では萌出遅延は検査項目に入っておりません。(入れてもらうように、個人的に働きかけております。)


  ホームに戻る  | 戯言TOPへ戻る |