sweet japan & others

 

  藤田陽子 『スフィア』(1999)

先日中古屋で購入。kinkiのラブラブあいしてるでコーラスをしている藤田陽子のCSD。去年MJで聴いて気になっていた「スフィア」収録。プロデューサーのpal@popによりチャッピー色全開。っていうよりこの人なんじゃない?チャッピーって、と思わせるジェリー・ビーンズのつまった瓶のような曲。『大空にシナプスがまたひとつ消えて光になる「ボクはいま何を忘れたんだろう?」』とこどもの科学をちりばめたノスタルジーな歌詞にホロリ。

椎名林檎 『ギブス』(2000)

彼女がデビューしたころインストアー・ライヴでピアノの弾き語りで歌っていたのが印象的だった曲。周りの喧騒とは別に祈りのように歌っていた姿はとても美しかった。ライヴでは同時発売の「罪と罰」のCD化を望む声が大きかったようだが僕はこの歌(CDに)になって欲しかった。「すべりだい」と共に椎名林檎の裏ベスト。

  「I.amour avec lui」 Catherine Le Forestier(1969)

フレンチはまったくの門外漢なんでCatherineってぜんぜん知らないけれど、このレコードは1000円くらいでジャケットが良かったんで買った「ジャケ買い」の一枚。アコースティク・ギターの音色がフレンチ・フォーキーなB-1「I.amouravec lui」やトイ・ピアノのメロディーがカワイイB-3「Remets Ton Chapeau」やB-4「Sophie」あたりが聴きどころ。音だけきいてるとそんなにフレンチじゃないです。

「Come Play Me」 Mary Millington (1976/1999)

ジャケット通りのエロ・モンド。というよりただのエロ・レコード。A-sideはポルノ・スターMary嬢の17分に渡る「実演盤」。っていうかただヤッてるだけです。いろいろと。B-sideは(たぶん)現在のDJがブレイク・ビートとMary嬢のアエギ声のサンプリングをコラージュしたダンサブル・トラック。こっちはフロアで使える曲。結構カッコイイです。

  「Green Label Sessions」 The KPM (2000)

ついに出た。イギリスのTVBGM集団The KPMのコンピレーション・アルバム。フェイクといえばあまりにフェイク。クライアントの要望に答えてロック、ポップス、ジャズ、ラウンジ、ラテンとあらゆるBGMを作成。しかもそのすべてがあくまで「調」というのが泣ける。しかもかなりのクオリティ。職人が手掛ける職人の為の(オリジナルはTV会社で使用。つまり販売用のレコードじゃないんですね)音楽。同様の理由からオリジナルのレコードはかなりの高値。

「ドロップス ウィル キス」 福間未紗 (2000)

真夏の夜のボサノヴァ。福間未紗5枚目のアルバム「ドロップス ウィル キス」はシャカラの加々美 淳とのギターデュオによる一発レコーディング。シンプルで宅録のような緊張感とあたたかみにある演奏に彼女の童謡をおもわせるやさしいけれど、どことなくヒリヒリするようなうすい痛みのある声がひびく。
彼女の歌は歌詞だけ見ると内省的で聴くものの胸をチクリと刺すものなのに、実際にその歌詞を彼女が歌うと不思議と癒しに転換してゆく。それまでの「4部作」のアルバムから一転、番外編なポジションにありながら(だからゆえ)一番ニュートラルな仕上がり。      

  「空の庭」 イノトモ (2000)

正直に言っちゃうと彼女を先に知っていたので、つじあやのがデビューした時音も聴かないで「ウクレレ少女なんて!?二番煎じじゃないの?」っておもってました。一人称もボクだし。結果としては彼女が使っていたのはギタレレ(ウクレレより大きい)だし音楽のベクトルも違っていてどちらも似ているようで似ていないスバラシイ音楽たちと知るのにずいぶん遠回りしてしまいました。
そんなイノトモの2ndアルバムは先行リリースされたマキシ「星と花」(ex 曽我部恵一)「タンポポ」(ex 塚本功)を含む11曲。プロデューサーに鈴木惣一郎を迎えて、芯のブッ太い、だけどとってもやさしい仕上がり。鈴木惣一郎は以前COKEBERRYというバンドでこの手法(60〜70'SのSSWの雰囲気)を披露していて、今回イノトモの楽曲との相性が抜群にいいことを確信していたのだろう。今回のアルバム製作の際どちらからオファーがあったかは判らないけれど、少ない編成のバンドに決して多くない音数だけれどそれゆえに彼女の声とおもいが心にストレートに響く。
良質の音楽を求めるすべての人たちへ。だけど、「あの恋」がしっかりと思い出になっていない人は要注意。泣けます。

「A New Compilation」 Fuzita Blender (1997)

TGVのメンバーであるシバタさんから、なかば強引に譲り受けたレコード。「STRIPPER」(『タモリ倶楽部』のオープニング曲/Werner muller)や「SESSO MATTO」(Armand Trovaioli)、「JAZZ PIZZICATO」(APOLLO 100)から「POISONERS」(Kahimi Karie)までをターンテーブル・マジックで再構築したヒップなアルバム。リミックスなんて生易しいものではなくって元曲をバラバラにしたのちに様々な調味料(サンプラー)で料理しなおしたトラックはダンサブルな音楽であると同時に、どこかしら研究所でつくられたアカデミックなメロディー。このアルバムに収録されているサンプル音源(有名、無名含め)のほとんどは多くのhip-hopのトラックと同じくおそらく無許可なのだろう。ゆえに名盤ではあるものの当然のごとくDJ-Promoオンリー。