NO.BIZ01-07 |
虹色ビジネスサプリ <失敗は成功のもと> |
◆貴重な私の失敗
リーダーはすいすい、ストレートに偉くなっていくもの。できれば自分もそうありたい。だから、挫折や失敗、苦しい経験は
できる限りしたくない…。そんな風に思う人も少なくないかもしれません。過去の私(30代)はそう考えていました。しかし、
ある貴重な体験で私は大きな進化をしました。
当時は、会社で中堅クラスとして様々な案件をこなしている時でした。自分としては、責任感があり、どんなことにも前向き
に仕事に取り組んでちょっと無理しながらでも頑張っていたのです。だから、まわりに対しても同じようなことを求めました。
できない人を見ると、「どうしてできないんだ」「なぜやろうとしないんだ」とイライラしたことが頻繁にありました。いま
思えば、傲慢な若者でした。
「頑張ったのに、評価してもらえない」
「これだけやったのに喜んでもらえない」
「私はちゃんとしているのに、ちゃんとしてない人が楽をしている」
「我慢しているのにわかってもらえない」
ところが、疲労が徐々に蓄積して体調がだんだん悪くなっていきました。それでも、今は体調が悪くても会社を休んでみんな
に迷惑はかけられないと考え、自分に鞭を打って毎日を送っていたのですが、徐々に自分の躰に異変が起こり始めました。
朝起きた時にめまいがして、しばらくは歩けないくらい。普段でも特に左手は何かを持つと震える、ご飯を食べる時には、み
そ汁などは、左手がブルブルと震えて汁がこぼれてしまう状態でした。夜は寝つきが悪く、睡眠時間が極端に減ったり、結果
として一睡もできなかった日もありました。それでも、一日も休まず、出勤していました。
さすがに、このままではいけないと近くの内科へ受診しました。その時、ドクターに最近の状態・症状を説明し、「とにかく、
少しでも早く、この症状が治まるような治療や薬をお願いします。」とお願いし、点滴と薬を処方してもらいました。自律神
経失調症でした。その時は、少しだけ症状が回復したと思ったのですが、2日くらいでまた我慢できないくらいになり、点滴
をしてもらいました。
そんな状態であったにもかかわらず、私にとってそんなことで会社を休むことなどできないと、何とか自力で会社に行ける状
態になれば、無理して出勤していました。ただ、もちろん、病院に通って点滴したり、薬を飲んでいたので一時的には症状は
軽くなったのですが、なかなか回復しませんでした。2か月ほど経過した時、心療内科の先生が私にこんなことをアドバイス
してくれました。
先生(ドクター):−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「君はすごく頑張っているんだね。
でも、これからもずっと頑張りたいなら、ここらでちょっと、立ち止まってみないか?
自分の頭だけで考えるんじゃなくて、周りにいる人たちの目線で自分を見てごらん。
きっと、答えを見つけられるよ!
自分の頭で考えたことだけで、すべてをコントロールしようとしたら、うまくいかないよ。
それぞれの役割分担があるから」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
この先生(ドクター)の言葉を、その時点では100%信じる、納得できませんでした。でも、自分が一人で空回りしていたこ
とが少しづつ見えてきたのです。
「こんなにも自分は弱いのに、どうして人に厳しくできるのかと。もし、この自律神経失調症の経験がないまま過ごしていた
ら、まわりに厳しく接する、鼻持ちならない自信過剰な嫌な奴になっていたかもしれない…。」
そんなことを考えられるようになり、数日後くらいから、明らかに病状が回復していきました。
自律神経失調症になって、この先生のアドバイス、治療によって自分の価値観、人生観を大きく改善することができました。
このときの先生(ドクター)は、私の人生・ビジネスにとって最高のメンターです。(このアドバイスという特別な薬は、無料
だったのですが…)
私はこの経験をしたことで、人の気持ちを思いやれるようになりました。人の痛みをきちんと理解しなければいけないのだと
いうことがわかるようになりました。そして何よりも、人を許せるようになりました。人に腹を立てることが少なくなりまし
た。人は決して強くない。完璧な人間などいない。時に弱さを見せることもある。それはあってもいいし、当たり前のことだ
と。この感覚は、後にリーダーとして人を引っ張って行くときのベースになりました。この気づきを得られたことによって、
私のマネジメントは大きく変わりました。挫折したおかげで、リーダーになくてはならない「人の痛みがわかる」という感覚
を、手に入れることができたのです。
多くの人は失敗というものを誤解している。失敗をしてはいけないこと、避けるべきことと思っている。これがそもそも間違
いなのです。なぜならば、失敗とは「そういうやり方じゃダメだよ」と教えてくれることだからです。エジソンは研究を続け
ていて、失敗と気づくと喜んだそうです。理由がわからない研究員がそのわけを尋ねると、彼はこう答えた。「もう二度と同
じ方法で試す必要がないじゃないか」そういう事例が増えてくれば、どんどん成功に近づいていく。彼はそういう考え方をし
ていたのです。これが失敗の本質なのです。
【 今日の名言 】
「失敗は落胆の原因ではなく、新鮮な刺激である」
… トマス・サウザーン
「我々は成功によってよりも、失敗によってこそ多くの智恵を学ぶ」
… サミュエル・スマイルズ
「私の最大の光栄は、一度も失敗しないことではなく、倒れるごとに起きるところにある」
… ジェームズ・ゴールドスミス
「仕事は全部失敗の連続である」
… 本田宗一郎
「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければ、それは成功になる」
… 松下幸之助
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