NO.BIZ03-04 |
虹色ビジネスサプリ <覚悟を決める/自分を磨く> |
◆プロの言葉
プロとは、「最悪のコンディションでも胸を張って請求書を出せること」だと定義できます。プロの言葉とは、「私どもプ
ロの目から見て」という一言が言えるかどうかです。例えばお客様が腕時計のサイズを調整するとき、「これちょうどいい
かしら? ゆるくない?」とお客様に聞かれたとしましょう。アマチュアは「時計が肌に密着するのが嫌いな人もいるし、
隙間があるのが嫌いな人もいる」と思って、「お客様次第ですね」などと変に馬鹿正直に答えてしまいます。お客様次第な
ら、販売員は何のためにいるのでしょうか?プロは、「ちょっとよろしいですか」と断って、時計のフィット具合を見ます。
「プロの目から見ると、これくらいでちょうどいいと思います」。こう言われることで、お客様はどれだけ安心するでしょ
う。お客様が欲しいのはプロの目から見た判断材料。何も最終的な判断を任せるというわけではないのです。さらに「もし
気になるようでしたら、後日お持ちくだされば無料で再調整いたします」という情報をお伝えできればなおいいでしょう。
◆この基本あってこその「ファインプレー」
ベンチャー企業や人の入れ替わりが激しい会社では、ノウハウの蓄積がなく、マニュアルがないために、基本的なことでも
何度も同じ問題を起こしてしまいます。それらのクレームの対処に貴重な時間を使ってしまい、肝心のお客様へのサービス
やモノをつくるという大切なことにエネルギーが向かっていかない。何よりもお客様からの信頼を得ることができない、と
いうのは致命的なマイナスです。一朝一夕にはできないことですが、まずは、ノウハウを共有するためのマニュアル作成に
取りかかり、それを習慣化すべきです。そうした蓄積が、会社の強みとしての競争力(コア・コンピタンス)」になっていく
のです。マニュアルは環境の変化とともにどんどん古くなっていきます。ですから、後を継ぐ人が順次改定(リバイス)して
いかなければいけません。こうした当たり前のことを当たり前にする----。このことが多くの企業でできていないのです。
スターバックスには「サービスマニュアル」はありませんが、「オペレーション・マニュアル」は詳しくきちんとしたもの
があります。例えば、コーヒーの淹れ方についてのマニュアルには、「エスプレッソは○○秒から△△秒の間で抽出し、そ
れを過ぎたら全部捨てなさい」といったことが非常に細かく書かれています。接客に関しては、マニュアル通りの接客をし
ようとすれば、それはとても機械的になってしまいます。その場その場で、パートナーがミッションに従って、各人が最善
と思える対応をすることこそが、最高のサービスなのです。しかしコーヒーの味に関しては、お店やつくる人によって、違
いがあってはいけません。どんなに接客が素晴らしくても、肝心のコーヒーがおいしくなかったら、お客様に感動をプレゼ
ントできません。大前提として「当たり前品質」の基本をしっかり守った上で、基本を超えた「感動体験」を提供する。こ
の両方が必要なのです。野球でいえば、キャッチボールやトスバッティングなどの基本ができた上でのファインプレーです。
基本ができていない人に、本当の意味のファインプレーはできません。
◆「僕はまだ米を50回しかつくったことがないですから」
年に1回しか作ることができないお米。そのお米を、毎年毎年、まるで「はじめてお米を作った年のように」、ひたむきに
まじめに、丹精込めて作っている姿勢が伝わってきます。
お米のように年に1回しか作れないものを「まだ50回しか作っていない」と言って、まだまだ、さらなる進化をしようと
している。10年やそこらの経験で、仕事の全部がわかったような顔をしてはいけませんね。どんな仕事も奥は深い、いく
らでも追求はできます。「こんな仕事、クリエイティブじゃなくてつまらない」「俺はこんなところでくすぶっている器じ
ゃない」など偉そうに言う前に、今、取り組んでいる仕事の深堀りをすることを考えてみませんか?
意外な奥の深さに気付き今まで楽しくもなんともなかった仕事が、がぜん面白くなることもあるはずです。
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