NO.BIZ05-03 |
虹色ビジネスサプリ <人を育てる> |
◆大切なことを社長が教えてくれた
私が、ドイツの関連会社へ出張した時のことです。その日の午前中はその会社の実務担当の方との打ち合わせでした。一段落
し、昼食を食べるためにその会社の社員食堂へ行きました。すると、その食堂の一番奥のテーブルでは明らかにその会社の周
りの従業員用とは違ったきれいなテーブルクロスの上に、魚介類をメインディッシュにした料理が並んでいました。来客らし
き人が一人座っており、周りにはそこの社長や重役の方も一緒でした。今日は大事なお客さんでも来ているのかな?と思いな
がら歩いていると、そのテーブルにいた人から私の名前を呼ぶ声が聞こえました。「えっ? 誰?」とそちらを見た時、そこ
にいた人を見てビックリ、うちの社長でした。「君は、この社員食堂で昼食を食べるために来たのか? だったら一緒に昼食
をいただこう。」と言うのです。実は、うちの社長がこの会社に訪問する予定になっていることは知っていましたが、まった
く別件で来社しているので、突然の出来事で驚きました。
「え〜、こんな豪華な食事を一緒に食べられるなんて… これってサプライズ? 何これ? どういうこと?…」と思いなが
らも、社長の隣の席に座りました。すると社長は、「今日、君はどんな用件で来ているんだ?・・・」とか、さりげなく私に
話しかけてきました。それに合わせてさりげなく会話をしながら、テーブルの上にあった大皿に乗った料理に目をやった時、
「あっ、そうそういうことか〜!」と私なりにこの状況を理解しました。カニやエビなどの魚介類が大皿にたくさん並んでい
たのです。社長は甲殻類が大嫌いなのです。だからと言って、せっかく社長のために用意してくれた料理を嫌いだから食べら
れない…と言うわけにもいかず困っていた時に偶然私を見つけて、この展開になったのです。私は、その社長の期待に応えら
れるように、さりげなく会話をしながら、カニやエビなどの甲殻類を優先して食べました。(エビやカニはすごくおいしかっ
たです)これでなんとか、この場面を切り抜けることができました。
うちの社長は、そういう人なのです。自分の気持ちよりも、相手(ドイツの会社の人)の気持ちを大事にする人なのです。
どんな場面でも冷静に判断、思考できるビジネスパーソンです。さすがだなあと改めてその時、思いました。社長は、がんば
っている人にはいつもこのようにさりげなくリードしてくれます。逆に怠けている人には本人が後で反省できるようにさりげ
なく牽引してくれます。
そしてこの窮地に私を見つけて、さりげなく私に(相手に気づかれずに)振ってくれたんだということが、私にとっては、それ
なりにこの状態を切り抜ける人間として認めて(または期待して)くれているんだなということを感じることができました。
でも、もしこの時、私がこの場面で社長の期待に副えるようなことができなかったとしても、社長は間違いなくさらに違った
方法で切り抜けたはずです。私はそう信じています。では、それはどんな方法かと聞かれれば、残念ながら私にはその答え・
方法が思い浮かびません。やはり社長は私にとっては尊敬できる人であり、まだまだ、雲の上の存在であると感じた一コマで
した。
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