NO.JIN05-13 |
虹色人生サプリ <自分を変える> --- 2022/11 |
◆自分を好きになる
一番、ポジティブに受け止めないといけないものは、あなた自身です。けれど、自分を嫌いな人は多いです。一般的な心理学
では、「やがて来る失望を和らげるために、不幸を考える」と言われています。上手くいくと期待してしまうと、いざ失敗し
た時に激しく落ち込むから「どうせ成功するはずがない」と先に思うということです。一瞬、納得する説明なのですが、よく
考えると、「それ、おかしくない?」と思うのです。「期待すると失敗した時に辛いから、どうせダメだと思う」という部分
は分かります。だから、「どうせフラれるんだから」「どうせうまくいくはずがないんだから」「どうせ不合格なんだから」
と先に思うわけです。でも、そう思うと悲しい気持ちになりますよね。やがて激しく落ち込むから、先に「どうせダメだ」と
思うんだけど、そう思った途端、悲しみが始まるわけです。もちろん、本当にダメだった時の悲しみに比べたら少ないんです
が、(だから、先に「どうせダメだ」と思うんですが)、その瞬間から、実際に結果が出るまで、ずーっと長く薄く悲しい気持
ちが続くのです。これって、結構なダメージになると思いませんか? つまり、「長時間×少しの悲しみ」の総量を計算した
ら、期待していきなりダメだった時の悲しみと変わらなくなるじゃないかということなのです。で、実際にダメだったら、ま
たそれなりに悲しいわけですから(どんなに先に悲しんでいても、実際にそうなったらやっぱり悲しいはずですから)、結果的
には「どうせダメだ」と先に思った方が、悲しみの総量は多くなっているんじゃないかと思うのです。
そもそも、前提が私は納得できないのです。期待すると失敗した時に辛いから、「どうせダメだ」と思う―――だったら、
「期待する」のをやめればいいだけじゃないかと思うのです。やりたいことに向かって必死に努力する。その時、期待もしな
いで、ただ、粛々と努力する。期待も絶望も楽観も悲観もしないで、ただ、努力する。目の前のやるべきことをやる。それだ
けで、「期待する」ということをやめられるんじゃないかと思うのです。
そんなこと簡単にできるわけない、と思っている人は、やっぱり、0か100かの考え方にとらわれている人です。期待する
ことを0になんかできません。でも、「期待すると失敗した時につらいから、どうせダメだと思う」と考える人は、期待が
100の人です。期待するか期待しないかの二つにひとつしかない人なのです。35点ぐらいの期待に抑えれば、失敗した時
に、反動で深く落ち込むことはありません。でも、期待する時はいつもオートマチックに100期待してしまうのは、とても
強欲な人なのです。
「自分を嫌いな人」というのも、やっぱり私は強欲な人だと思うんです。自分に期待する気持ちが、0と100の二つしかな
いから、その反動で、自分を嫌いになるんだと思うのです。「そんなことはない。だって、自分は本当にダメで最低でどうし
ようもないやつなんだから」と反論する人はいますが、そういう人は、他の「ダメで最低でどうしようもない奴」に対して、
そこまで嫌いになりません。自分だから、そこまで嫌いになるのです。それはやっぱり、100期待している裏返しなのです。
34点とか43点は、期待が大きいから0点と同じなのです。他人は56点の人は56点の人なりに認めます。でも、自分は、
100しかないと思っているので、68点でも全然ダメ、「自分は最低」と思ってしまうのです。こう言うと、「違う。他の
人の中で自分が一番ダメなんだ」と反論した人もいました。その人は、他の人の性格や行動をすべて知っているとでも言うの
でしょうか。他人の水準をすべて理解して、冷静に判断して、自分は最低の0点だと判断したのでしょうか。そんなバカな。
「問題を理解していること」と、「問題を解決すること」はイコールではありません。けれど、少なくとも「問題は理解して
いること」が、問題を解決するための必要な手順です。自分を嫌いな人は、誰よりも本当は自分のことが大好きなんだ―――
このことを自分で認めないと話が始まらないのです。だって、本当に嫌いな人に対しては、関心がなくなります。何をしてい
ようが、どうでもよくなります。自分に対して、どんな服を着ようが、何を食べようとか、どこで寝ようとか、本当に関心が
なくなった時が、本当に自分を嫌いになった時だと思います。そうでない限りは、自分を嫌いと言っている人は、自分が大好
きなのです。ただ、どうやって好きになったらいいか、丁度いい好きになり方がわからないのです。それは強欲なので、0か
100かの好きになり方しか選択の余地がないからです。今日は35点ぐらい好きになり、明日は54点ぐらい好きになり、
明後日は戻って28点ぐらい好きになる―――そうやって、自分と付き合うしかないのです。そうすれば「自分のことが嫌い
だ」とは簡単には言えなくなるのです。
結婚式のスピーチはうんとほめてあげて下さいと知人が言っていました。人生の中で、人前で褒められるなんてことは普通の
日本人にはないのです。新郎・新婦になった時だけ、大っぴらに人前で褒められる瞬間なのです。たまに、素人が(多くは
新郎の友人ですが)、新郎の失敗談やエッチ話を楽しそうに話す人がいます。たいていは滑って悲惨な空間が現れます。私た
ち日本人は「否定でコミュニケーション」する人が多いです。「おう、ブス」「相変わらず胸ないね!」「太った?」「珍し
く仕事ができるね」「別人が書いたのかと思ったよ」「この子は頭、悪いから」…すべて、否定の方向で表現するやり方です。
否定を相手にぶつけると、相手は反応せざるを得ません。「このレポート、すごくいいよ」という代わりに「このレポート、
本当にお前が書いたの? 嘘だろう?」と言えば、相手も「私が書きましたよ」と言わざるを得ないのです。ですから「否定
のコミュニケーション」をぶつけると、とりあえず、相手は反応して、会話は続くことが多いのです。私たちは、話した以上
は相手に応えてもらいたいと思います。だから、思わず、否定のコミュニケーション」を使うのです。そういう「否定のコミ
ュニケーション」に小さい時から囲まれていたら、そういう育てられ方をしたら、自分を否定することも簡単になります。
85点のテストを持って帰って、親から「スゴイね。85点なんだ!」と言われた子供と、「あと15点で100点だったり
のに…」とい言われて育った子どもは、自分自身に対する態度」が全然違ってくるだろうなと思うのです。自分を嫌いな人が
自分を好きになることは、簡単ではありません。でも、それは、幸福を見つけるためには重要な条件だと思います。
何点の自分なら好きになれるか考えてみましょう。
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