Rev 020804
Mobio-NXについて
■Mobio-NXは、知る人ぞ知るNECの「激小型」PCであります。当時小指キーボード打ちで名を馳せた東芝のLibrettoの対抗馬として、マニアックなモバイラーに絶賛されたマシンです。
高額な定価と、中途半端な性能、そして「やりっぱなし」のNECのおかげで、数世代を経て今や絶版になってしまいましたが、今でも「光る部分」が多いマシンだと思います。
ちょいと語らせてくださいね。

■購入は1998年。某大学への営業途中、新品であるにも関わらず、定価の25%ほど(つまり75%値引き)で叩き売られていたのを拾い上げてやりました。確か5万数千円だったと記憶しています。当時新型が販売されて、在庫処分だったようですが魅力的な価格でした。
■当時としても非力な部類であった、MMX-Pentium120MHz、メモリ16MB(+おまけ8MB)、Disk1.6GB、Win95インストールモデルでしたが、この「小ささ」に参って衝動買いしたのでした。
■使い始めて、キーボードの打ちにくさには「閉口」してしまったのですが、790gの「軽さ」意外と使える機能で、Win98にアップグレードして、出張時、帰省時、旅行時のメール、Web閲覧ように利用しまくりました。
手持ちのモバイルセルラーカード(98用 9600bps)も、ソフトダイヤルできない以外は通信可能で、意外と98パーツが流用できるのでした。
購入モデルには、CD-ROM、FD装置はなかったのですが、モバイル98のFDが流用できるのを知って、捨ててあるのを拾って取り付け、CD−ROMはSCSIカードを導入して利用可能にしたりしました。おまけに安価な10Base-TXのネットワークカードを購入し、会社でもネットに接続可能にし、より便利になりました。
こうして、かなりの長期間利用したのですが、会社で利用するノートPCが700MHzを超える周波数に至る頃には、めったに「押し入れ」から出すことがなくなりました。
Mobio−NX Disk消しちまった事件(1999.4.17)
人間は失敗する動物です。その中には、失敗から学ぶことなく、何度と繰り返す輩がいます。
私もそういった種類の人間で、懲りずにMobioの再インストールをしようとDiskをフルに消しこんでしまったのです。(何のためらいもなしに...)

そうです。これは、NECのMOBIO用純正FDD+CD−ROMドライブを購入された方には何の不利益も発生させないことです。
でも、CD−ROMがSCSIとかで、別のメーカーのものを使っていたりすると悲劇になります。
MOBIOは、DISKをフルに消し去りWIN−95、WIN-98を戻すのに純正のCD−ROMを必要とします。他社製ではSCSI認識がうまくいかず(まぁ、私の力量のなさのせいですが...)何もできなくなってしまうのです。
「げっ、やばやばじゃねーかぁ」私は10分ほど放心状態でした。でも、定価¥39800−もする純正を買う気にはなりません。どーも最近のメーカー製の価格設定は市場動向を踏まえていないものが多すぎます。Mobioはたたき売っても、周辺機器は高額なままってのも考えものです。

しばし考え、ひとつのアイディアにたどり着きました。
「そうだ、中からHDDを取り出して、DESKTOPでインストールすればいいんだぁ」


■Mobio分解開始 VineLinux1.0βインストール
今回の作業に必要なものは下記のとおりです。
@精密ドライバ(マイナス、プラス、大から小まで数本)
A2.5インチHDD−3.5インチHDD変換コネクタ(デスクトップ接続用)
 それでは手順を紹介しましょう。


手順@
・まず本体のバッテリーを外します。すると上の写真のようなネジが見えます(+)。これを取り外します。

手順A
・Mobioを裏返し、10個あるネジを全部外してしまいます。これも全部(+)です。HDD固定用のネジは「なめやすい」ので注意してください。


手順B
今度は本体キーボードの取り外しです。マシンに向かってキーボードの上側についているカバーを外します。「三日月マーク」がついているやつです。
これは細い精密ドライバーの(−)で本体とカバーの隙間に入れて、テコの要領で傷つけないように持ち上げます。カバーの左右上下から順番に少しづつ持ち上げていくのがコツです。

手順C
カバーを外すのに成功すると、ネジ(+)が2個出てきます。これを外すとキーボードを外せます。
そのとき、本体基盤と、キーボードはフィルム上のケーブルで接続されているので慎重に外してください。
そして、本体の上部、下部の隙間に精密ドライバーのマイナスを差込み、左右上下からテコの原理で持ち上げます。ゆっくり慎重に行うと外れます。
手順D
キーボードを外すとコンパクトにまとまった基盤が顔を出します。右側にIBMの薄型2.5インチHDDユニットが見えるはずです。
これには黒いテープでBIOS用と思われる薄型のバッテリーが貼り付けられています。極細のケーブルでつながっているので注意してはがします。
このHDDユニットもやはりフィルムケーブルで基盤に接続されています。最新の注意を払って取り外してください。(これが傷ついたら多分2度と起動しないでしょう。)
これでHDDは外れるはずです。

手順E
左の写真のような2.5インチ−3.5インチ変換コネクタを接続します。秋葉原や、PCショップで¥800−から¥1500くらいで購入可能だと思います。ちなみに私は秋葉原の露店で購入しました。(¥888−)
手順F
ちょっと無理した接続です。とりあえずぶら下げてみました。(みなさんはやめてください)私の場合、プライマリマスターに接続しました。ここでいたずら心が私を襲いました。Win98インストールしても面白くないから、Vine-Linuxでもインストールするかぁ。以前このMobioにはPlamoLinuxをインストールしてあったのですが、フルインストールではやはり、SCSI Cardが力不足で利用できずインストールできないでいました。そのまま、VineLinuxのインストールを開始したのでした。インストールが終了したら、今までの工程の逆をたどって組み立てます。

完成したMobioはご覧の通り。無事 Xの設定も終了して「WindowMaker」が起動しています。ちなみにVine1.0βに付属のXfree86は3.3.3です。もちろんMobioに搭載されているNeomagicにも対応しています。
さぁ、インストール後の問題点です。
これは単純に私のLinuxに対する知識が不足しているだけですが、PCMCIAカードのデジタルセルラーカードの認識、α−DATA社製のNINJYA SCSI3カードの認識ができません。これを乗り越えねば、「Linux Mobiler」の称号は手に入れられませんね。とほほ。

ちなみに、これができないと、Linux利用する意味がないので、しばしの間遊んだ後、上記手順をもう一度踏んで、Windows98に戻したのでした。
しばしの沈黙...そして復活 クロックアップ (2002.8.04)
■Linux入れたは良いが使いにくいので、環境を元に戻し、しばらく利用しませんでした。まぁ、自宅の環境もかなり改善され、車の改造に費用がかかって、コンピュータどころではなかったのです(これは小生には非常に珍しいことですが)
■それが、2002.7月突如、復活しました。要因は、Web巡回中偶然出くわしたMobio雑技団という、シュールなページと、2年ほどの間に、メモリ、Diskが安価でオークションに多く出回るようになったことです。
いっそ、新型のノートを購入しようかと思っていたのですが、どうせ飽きるだろうし、「いっちぉMobioを復活させるか」という、「改造欲」が沸いてきたのです。

■まずは非力なメモリを増量します。DOSV用ノートの規格品が流用可能なのですが、これは入札者が多いので避け、98ノート用を流用します。(EDO 64MB 60ns)一定の機種のものは流用できるので、64MBを落札。これで、基板上のメモリと合わせて80MBになります。一応Windows98は、ある程度のパフォーマンスを示してくれるはずです。

■次はDisk。標準の1.6GBでは「心もと」ないので、6GB級をチョイス。ここらあたりは値段も手ごろでオークションでは激戦区でした。結局IBM製のTravelStarを6000円ほどで落札。準備は完了しました。


■今回の改造作業は以下の3点
(1)メモリの交換(ちょ〜簡単)
(2)Disk交換(まぁ、簡単)
(3)PentiunMMX 120MHz→150MHzのクロックアップ(まぁ、簡単)
■まずは、購入したDiskを3.5インチ→2.5インチ変換アダプタ(IDE)で、DeskTOP PCのプライマリIDEのスレイブに取り付けます。そして、適当なフォルダを作成し、CD−ROMから「Windows98」の全ファイルをコピーします。ついでに、必要なファイル、ユーティリティなども落とし込んでおきましょう。
(完成した後ネットワークで接続して落としても良いのですが、ハード直接接続に比較したら格段に遅いので...)

■次に、Mobio本体バラシます。手順はLinuxインストール時と同じです。ぱっぱとねじを外し、丸裸にします。
■フィルムケーブル破損に注意しながら、標準装備のDiskを外します。そして標準DiskのIDEケーブル(フィルム)を精密ドライバーのマイナスで、テコの原理を使いながら「よいしょ、よいしょ」と外します。
■お次は購入したDiskを今の逆の手順にてフィルムケーブルと接続します。今回は指で「むにゅっ」と押し込みました。ピンなど曲げないように注意して作業しました。

■ちなみにこのDiskはIBMのTravelStar(Mobioはサスペンドの関係でIBMのDiskとの相性が良いとの噂でチョイス)は、AplleのノートPCに接続されていたもののようです。ラベルにしっかり「りんご」のマークが記されていました。もちろん問題なしですよ。

■これで、HDD関係の「下ごしらえ」は完了です。

■お次はCPUのクロックアップです。
Mobioは元々120MHzで稼動しているのですが、BF1を強制的にPulldownすることでオリジナル60MHz2倍速120MHz)が、改造後 2.5倍速150MHz)になっちゃうのです。いかにも「やってくれ!」というような一箇所のみのハンダ付けですので、NEC自身も以前は実験していたのかも知れません。ただ、発熱量が大きくなるので、モバイルという性格上、止めてしまったのかも知れません(勝手な推察ですけど)
他に規定クロックを(60MHz)から(66MHz)にする方法や、CPUを3倍速で稼動させる方法も紹介されているのですが、非常に微細なハンダ能力を要求されるのとRS−232C関係がクロックアップでおかしくなるので見送りました(え、そのうちやっちゃうの?)
詳しくは、実験された方のページをご覧ください。

MobioNX(MB12CUDD1)のクロックアップ
MobioNX改造講座

■ネジ止めされている基盤を取り外し裏返します。メモリソケット近くのランドをショートさせることが今回の改造ポイントです。たった1箇所のハンダ付けなのですが、ハンダ付けに自身の無い方はやめた方が良いでしょう。左の写真の通り、非常に微細な個所のハンダ付けとなるからです。(黄色の個所が該当ランドです)

お約束ですね。これをやるとメーカーの保証は受けられません。そこのところ理解した上で作業してください。

■ハンダ付けが完了したら、さきほどの手順と逆に取り付けを行います。フィルムケーブルの扱いに注意しながら、「ちゃっちゃ」と組み上げましょう。

■そして、「おもむろに」起動。無事立ち上がれば、まぁ大丈夫です。
小生の場合、この後、Win98のインストール作業、アプリケーションのインストール作業が続きました。

■ちなみに無事起動しました。
ネットワークを認識させてADSLに接続。何の問題も無い様子。
早速、HDBENCHをインストールし、クロックアップの結果を確認しました。右の写真の通り、150MHz(正確には149.13MHz)で動作しています。メモリ容量2.5倍、クロックアップでCPU速度1.25倍、Disk容量3.75倍は、かなりパフォーマンスアップに貢献しています。文書を作成したり、インターネット接続、メール、Officeを使うくらいでは、十分利用可能です。

■ちなみに動画は駄目ですね。遅くて。「出先でDvixを利用した映画でも...」と思っていたのですがこれは難しいですね。それと、何かインストールし再立ち上げすると、STN液晶に何も表示されなくなります。おそらく、ビデオチップのNeoMagicが熱にやられるのでしょう。しばらくすると戻ります。(この現象はクロックアップ前から発生していました)これを解消するのが今後の課題です。

【参考 改造Mobioのベンチ結果】
★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.30 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
M/B Name
Processor Pentium(MMX) 149.13MHz[GenuineIntel family 5 model 4 step 3]
VideoCard NeoMagic MagicGraph 128ZV
Resolution 640x480 (16Bit color)
Memory 80,912 KByte
OS Windows 98 4.10 (Build: 2222) A
Date 2002/08/04 00:11

HDC = Opti Viper Max Dual PCI IDE Controller
HDC = プライマリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)
HDC = セカンダリ IDE コントローラ (デュアル FIFO)

A = GENERIC NEC FLOPPY DISK
C = GENERIC IDE DISK TYPE01

ALL Integer Float MemoryR MemoryW MemoryRW DirectDraw
3075 5678 4353 3375 2710 4179 3

Rectangle Text Ellipse BitBlt Read Write Copy Drive
3559 4148 433 18 4023 4193 1458 C:\100MB