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私の大好きな作品たちを紹介します。
“どれが一番”なんて順位はつけられないものばかりです。


奇跡の海(ハル)Love Letter恋する惑星
ピアノ・レッスンニュー・シネマ・パラダイスガープの世界

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奇跡の海
1996年・デンマーク
主演:エミリー・ワトソン ステラン・スカルスゲールド
監督・脚本:ラース・フォン・トリアー
1970年、スコットランドの宗教に厳格な小さな町で、ベスは流れ者のヤンと結婚する。
無宗教のよそ者に対して家族も町の長老たちも良い印象を持たなかったが、心から愛するヤンとの結婚にベスは幸せだった。
出稼ぎの仕事をしているヤンと離れて暮らすことが耐えられなかったベスは、神様に祈る。
「どうかヤンを私のもとに返して下さい」
その願いが天に届いたように、ヤンはまもなくベスのところに帰ってくる。ただし、半身不随の体で。
ヤンの事故が自分の“祈り”のせいだと信じ込むベスは、献身的に看護を続ける。
しかしベスの愛に答えることの出来ないヤンは、他の男とベスを関係させることでその愛に報いようとする。
願いを聞き入れればヤンが回復すると信じ、ベスは泣きながら他の男と関係する。
しかし娼婦まがいのことをしている彼女を、町の長老たちは許さなかった。
ベスは町の教会から追放され、人々から酷い仕打ちを受ける。
それでもベスはただヤンの回復だけを願い、自ら危険な領域に足を踏み入れる。



純愛の極致を見た気がしました。
それに加え、演出もヒロインの演技もセリフも素晴らしいです。
私の1997年に観た70本の映画の中のベスト1です。

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(ハル)
1995年・日本
主演:深津絵里 内野聖陽
監督・脚本:森田芳光
盛岡に住む美津江は“ほし”というハンドルネームを使って、パソコン通信の映画フォーラムに参加してる。
ある日、そのフォーラムに“ハル”というハンドルネームの男性がやって来た。
チャットで話しているうち美津江は“ハル”に興味を持ち、彼にメールを送る。
恋人を交通事故で亡くし、それ以来恋愛恐怖症になっている美津江と
東京で仕事も恋も上手く行かず、自分を見失いかけている“ハル”こと昇。
遠く離れたところに住むふたりは何通ものメールの交換を重ねながら、
お互いに顔も知らない相手の存在が、自分の中で大きくなっていることに気づいていく。



この映画を劇場で観た時は私がインターネットを始める前で、その世界がよく理解できませんでした。
インターネットを始めてから、もう一度ビデオで観た時には泣きました。
ここに来て下さった方なら、きっと面白い映画だと思います。

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Love Letter
1995年・日本
主演:中山美穂 豊川悦司
監督・脚本:岩井俊二
神戸に住む博子の恋人、藤井樹は冬の山で遭難して死んでしまった。
彼の3回忌に、博子は昔彼が住んでいた小樽の住所に手紙を書く。
「拝啓、藤井樹様。お元気ですか。私は元気です」
彼の住んでいたところは今は国道になっていて、その住所は存在しない。
博子は天国の彼に向けて書いたつもりだったのだ。
しかし誰のもとへも届くはずのないその手紙は、彼と同姓同名の女の子のもとへと届いてしまう。
記憶にない“神戸の渡辺博子”からの妙な手紙を受け取ったもう一人の藤井樹は、いたずら半分で返事を書く。
「拝啓、渡辺博子様。私も元気です。でも、ちょっと風邪気味です」
来るはずのない返事をもらった博子は、それが誰かのいたずらだとは思いながらもまた手紙を書く。
こうして始まった奇妙な文通の中で、樹は記憶の中に埋もれていた同姓同名のクラスメイトの男子のことを思い出す。



とても切なく、とても優しく、観終わったあとに温かいものが残る作品です。
“何度も観たいと思える日本映画”に初めて出会えたと思いました。
何度も観ましたが、何度観ても泣いてしまいます。

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恋する惑星
1994年・香港
主演:金城武 トニー・レオン
監督・脚本:ウォン・カーウァイ
刑事223号は恋人“メイ”にエイプリル・フールに振られた。
それでも彼女を忘れられず、彼女の好きだったパイナップルの缶詰を毎日ひとつづつ買っている。
その缶詰は、全て“賞味期限5月1日”の記載があるものだ。
5月1日は刑事223号の誕生日。
もし30個のパイナップル缶がそろってもメイが戻ってこなければ、この恋は期限切れなのだ。

フェイは警官633号に恋をした。
しかし彼はスチュワーデスの彼女に振られた悲しみで、フェイのことは眼中にない。
スチュワーデスの彼女から警官633号への別れの手紙を預かったフェイは、
その中に入っていた彼の部屋の鍵を手に入れる。
フェイは彼の留守中に部屋に忍び込み、少しずつ彼の部屋を自分の好みに変えて行く。
それなのに彼は、彼女に振られた悲しみで部屋が変質していると思い込む。



ストーリーうんぬんというよりは、その世界観を感覚で楽しむ作品です。
作家・村上春樹の描く世界に、私は似ていると思います。
一話に出てきたアイテムがさりげなく二話に別の形で登場したり、隠しワザが多い作品です。

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ピアノ・レッスン
1993年・オーストラリア
主演:ホリー・ハンター ハーヴェイ・カイテル
監督・脚本:ジェーン・カンピオン
エイダは9歳になる私生児の娘と一台のピアノと共に、スコットランドからニュージーランドへと
長い船旅を経て見知らぬ男に嫁ぐためにやって来た。
6歳の時に自ら口をきくことをやめてしまったエイダにとって、ピアノは唯一自分を表現するためのものだった。
しかしその大切なピアノを新しい夫・スチュアートは浜辺に置き去りにする。
ピアノを弾くエイダの姿を見て心惹かれた隣人ベインズは浜辺からピアノを運び、
自分の土地と引き換えにこのピアノが欲しいとスチュアートに交渉、ピアノを手に入れる。
そしてベインズはエイダに言う。
「ここに来てピアノを弾いてくれれば、その度ごとに鍵盤ひとつづつを君に返そう」
ピアノを取り戻したいエイダは、ピアノを教えるとスチュアートに偽り、ベインズのもとに通い始める。
しかしベインズは、だんだんエイダにそれ以上のものを求めるようになって来た。
文字も読めない無教養なベインズを毛嫌いしていたエイダだったが、ピアノのためにそれを受け入れる。
そしてそれを繰り返すうち、いつの間にか自分もベインズに惹かれていることに気づくのだった。



硬く心を閉ざしたひとりの女性が、ひとりの男性によって変化していく姿を描いた作品です。
口をきかない女と文字の読めない男という設定が、それを究極のラブ・ストーリーに仕上げています。
バックに流れるマイケル・ナイマンのピアノ曲が美しい作品です。

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ニュー・シネマ・パラダイス
1989年・イタリア=フランス
主演:フィリップ・ノワレ ジャック・ペラン
監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
1980年代のローマ、夜遅く帰宅したサルヴァトーレは故郷のシチリアにいる母親からの伝言を聞いた。
“アルフレードが死んだ”
その名前を聞いた時、サルヴァトーレの脳裏には懐かしいシチリアでの少年時代の記憶がよみがえった。
30年前、当時“トト”と呼ばれていた幼いサルヴァトーレを夢中にさせていたものは、映画だった。
トトは毎日のように映画館に通い、隙があれば映写室に入り込んでいた。
その映写室にいた映写技師がアルフレードだったのだ。
ある日、映画を上映中フィルムに火が付き、映画館は全焼してしまう。
それが原因で失明したアルフレードに代わり、再建された劇場でトトは映写技師を任される。
やがて時が経ち青年へと成長したトトは、自分で8ミリの撮影をすることに夢中になる。
アルフレードはそんなトトの才能を見抜き、シチリアを出て大きな町で勉強することを勧める。



初老の映写技師と映画好きの少年の、友情の物語です。
ラストシーンでは涙が止まりませんでした。
3時間の完全版もありますが、私は2時間ものの方が好きです。

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ガープの世界
1982年・アメリカ
主演:ロビン・ウィリアムズ グレン・クローズ
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
“自分の生活を男性に縛られたくないが、子供は欲しい”ただそれだけの身勝手な欲望のために、
看護婦ジェニーは第二次大戦で傷つき入院中の瀕死の重傷兵を犯す。
その結果生まれて来た男の子に、ジェニーは“T.S.ガープ”という名を付けた。
やがて成長したガープは、読書家で作家と結婚することを夢見ているヘレンに恋をし、
彼女のために作家になろうと、小説を書き始める。
ガープに触発され、自分もその半生を綴った小説を書き始めるジェニー。
ウーマン・リブのきざしが見え始めた時勢にのり、その小説は空前のベストセラーとなり、
ジェニーは女権拡張運動の指導者にまつり上げられる。
一方、ガープの作品もようやく認められ、小説家としての道を歩き始める。
ガープはヘレンと結婚をし、ふたりの男の子をもうけて幸せな生活をしていたが、
ひょんなことからいつしかその歯車は狂い始める。
そして、ジェニーもウーマン・リブに反対する人間に命を狙われるようになる。



85年に劇場で観て以来、約10年間不動のオンリー・ワンを誇っていた作品。
すごく残酷な話なのに観終わったときに嫌な感じが残らない、不思議な映画です。
コメディアンだったロビン・ウィリアムズが、映画俳優として認められた作品です。

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