三線伊野波節(ぬふぁぶし)

コンクール受験も無事終了して最高賞を受賞、秋の芸能大会などのイベントも終了して、これからしばらくの間は、自分で目標を設定してひとつの曲にじっくり取り組む時間。
というわけでわたしが取り組み始めた曲のひとつが、この「伊野波節」。
実はこれ、新人賞の課題曲(のひとつ)なんですよね。

わたしは新人賞を「稲まづん節」で受けちゃったので、ここまでちゃんとお稽古する機会がなかったのです。でもこれからは誰かに教えなきゃいけない事態も起きうるわけで、こりゃヤバイと本気になってお稽古始めました……が。

今まで新人賞受ける人の演奏をさんざん聴いてるうちに耳から覚えてしまったので、おさらい会などでみんなと合わせる時も楽勝……だったはずなのに、いざ工工四とつき合わせてみると、わたしの覚えてるのと工工四と違うじゃん。うーん、なんか間違った風に脳内で定着しちゃったらしい(汗)。
それを直すだけでも大変だっていうのに、

こんなに難しい曲を新人に歌わせてたのかよ〜!!!
完璧に歌おうとするとどんどん深みにはまってく曲だよこれ。

伊野波の石くびれ 無蔵連れて登る (にゅふぁぬいしくびり んぞちりてぃぬぶる)
にゃへも石くびれ 遠さはあらな (にゃふぃんいしくびり とぅさわあらな)  

意味:
 伊野波の石ころだらけの坂を いとしい貴方を連れて上る
 こんな石ころだらけの坂だけど もっと続いてくれればと思うのだ

村はずれにある小石交じりの急勾配の山道。その細い道を男が女の手を引いてのぼっていく。坂を上りきったところは村の境界。そこでふたりは別れなければならない。いつもは長い坂道だけど、ふたりで歩けばあっという間。いっそこの道がもっと長けりゃいいのに……

ああなんか自分にも覚えがある。恋愛まっさかりの時って、デートの帰り道がいちばん辛いんです。またすぐ会えるとわかっていてもね。
わたしもドライブ帰り、車が湾岸高速の最寄りインターを下りるととたんにブルーな気分になったものだなぁ。そこから家までの道がうーんと渋滞してくれればいいのに、と思ったりして……(遠い目)

でもこの「伊野波節」を歌ってみると、そんな生易しい感じじゃない。もっと深〜い悲しみに満ちた曲調なんですよね。とくに途中「ハイヤ〜マタ」と歌いきって間奏の入るくだりなど、本当に「絶唱」です。
どう考えても「またすぐ会える」というレベルじゃない。坂を上りきったら永遠の別れが待っている、とでもいうような感じ。
(実際にそういう解釈もあるんだそうです)

[参考]
「わかりやすい歌三線の世界」勝連繁雄著 ゆい出版
「沖縄三線 節歌の読み方」大城米雄編著 沖縄教販


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