マレビトと吉田久美と、翻訳家北原唯とはいかなる関係にあるのか?
結論から言えばですね、同一人物なんですよ(笑)。詳しくは以下をお読み下さい。
19XX年12月、名古屋に生まれる。
名古屋城の「金のシャチホコ」の見える場所で生まれた生粋の名古屋っ子。ただし種々の事情により、名古屋弁はほとんど話せません(ヒヤリングはできる)。エビフライは好きです。
19年後、南山大学人類学科に入学。
昔は考古学者になりたかったんです。人類学科には考古学コースと民族学コースがあるのですが、勉強しているうちに人間の文化の多様性をさぐる民族学が面白くなって、針路変更。卒論は「占いについて」でした。今でもおまじないとか宗教とか、とにかく科学じゃ割り切れないものに惹かれてしまう人間の不思議さには魅力を感じています。後年沖縄にはまる下地は、ここでできあがってたのかも。
大学2年の年、所属していたクラブ「南山大学女声コーラス」の演奏旅行として、ドイツを中心に一ヶ月ヨーロッパを回る。
わたしの初の海外旅行。まだ南回り便などというものの存在していた時代で、今なら10時間ちょっとで行けるヨーロッパへ、約26時間かけて飛びました。出発前にはコレラの予防注射まで受けさせられた。むちゃくちゃ痛かった記憶がある。
卒業後上京し、翻訳の勉強を始める。
人は生まれた故郷を離れた時から、マレビトへの道を歩みはじめる(なんちゃって)。翻訳に興味を持ったのは、それがただ「ヨコのものをタテにする」作業ではなく、異なる文化背景から生まれてきたふたつの言葉の間に橋をかける作業なのだということに魅力を感じて……(ということにしておこう)
2008年7月、名古屋にUターン。
某沖縄系超零細ベンチャー企業の社員になってみたり、再び派遣社員に逆戻りの試行錯誤ののち、専業翻訳家への道は断念、かえって趣味で始めた三線のほうに深入り……
気がついたら教師資格まで取っており、この先のことなどいろいろ考えた末、名古屋にUターンして琉球古典音楽のPR活動をやろう、と決心しました。
現在は派遣社員をやりながら、自宅での三線教室開設とライブ活動への道を模索中。翻訳家のほうはほとんど「開店休業状態」です(笑)。北原唯はフィクション翻訳用のペンネームです(ノンフィクションの翻訳は本名でやってます)。詳しくは以下の「お仕事履歴」を参照下さい。
吉田久美サイド
1992年出版「劇場としてのコンピュータ」の翻訳のお手伝い
B・ローレル 著 遠山峻征 訳 (トッパン)
アリストテレスの演劇論を土台にコンピュータ・インタフェース(バーチャル・リアリティを含む)を考察する本。お願い、それ以上訊かないで。
1993年出版「Macintoshツールボックス」の翻訳
メイ&ウィッテル 著 (トッパン)
プログラムの解説本。わたしあてにプログラミング上の質問を送ってきた人がいましたが、翻訳したからといってプログラミングにくわしいわけじゃありません。そういうことは専門家にきいて下さいね。
1998年出版「旅まる 離島・沖縄'98」のお手伝い
(実業之日本社 ブルーガイド・ムック)
「波照間島記」を作ったことから、ひょんなご縁で沖縄のすべての島を網羅するというユニークなガイドブックの改訂版発行に際して、波照間島の項の記事製作をお手伝いいたしました。そればかりか、「波照間島記」の件で取材を受け、沖縄の人、沖縄にはまった人を紹介する「いちゃりばちょーでー」のコラムに紹介されてしまいました。よろしかったらご覧下さい。
2002年発売 PS2ソフト「いなか暮らし〜南の島の物語」の録音に参加
(ビクター・インタラクティブ・ソフトウェア)
はじめて歌と三線でギャラもらっちゃいました(笑)。都会育ちの15歳の女の子が、とある沖縄の離島で田舎生活を満喫するアドベンチャー・ゲーム、だそうです。
北原唯サイド
1992年出版グラマリエの魔法家族〈7〉「魔法使い(ウォーロック)さまよう! 」の翻訳
クリストファー・スタシェフ 著 (富士見ドラゴン文庫)
魔法が通用する不思議な惑星グラマリエを舞台に、地球からやってきた男ロッドとグラマリエ人のその妻グウェン、そしてふたりの間に生まれた子どもたちが活躍する異色SF。タイムトラベルまでからんだなかなか壮大な冒険活劇シリーズだったんだけど、この7巻を最後にうち切りとなってしまいました。とても残念。
1995年出版「ドラゴンの騎士 上・下 (ドラゴン・ウォーズ 2)」の翻訳
ゴードン・R・ディクスン 著 (ハヤカワFT文庫)
20世紀アメリカの大学助手(中世史専攻)から14世紀イングランド(といってもやはり魔法が通用するパラレルワールド)の地方領主へと、ひょんなきっかけでとらばーゆしてしまった青年ジムとその恋人アンジーをめぐるファンタジー。まだ学生気分の抜けきっていない主人公が魔法使いでもある騎士として一人前の行動を期待され、現代と中世のカルチャーギャップの中で悪戦苦闘しながら成長していく様子がユーモラスに描かれ、わたしとしても気に入っていたシリーズでしたが、これも売り上げが今ひとつ伸びず、続編の翻訳予定はペンディング……面白いんだけどなぁ、あの続き。
1996年出版「SFマガジン12月号」掲載「奇跡の犬」の翻訳
ブリジット・マッケナ著 (早川書房)
不思議な力をさずかったばっかりに、人間の欲望のせめぎあいに巻き込まれ、悲惨な最期をとげるワンちゃんの物語。犬好きなら涙なくしては読めない話。宗教の名のもとになら、いたいけな仔犬でさえ殺してしまえる人間というものの恐ろしさを、さりげなく描いた短編です
1999年出版「ノストラダムス秘録」の翻訳
スターノウ&グリーンバーグ編 (扶桑社)
ノストラダムスの四行詩をテーマに書かれた11編の短編集。わたしはそのうち「哲学者たち」と「二十年後、セパレーション・ピークで」の2編を担当しました。内容については……ノーコメントです。(^^;
1999年出版「幻想の犬たち」の翻訳
ジャック・ダン&ガードナー・ドゾワ編 (扶桑社)
犬をテーマに書かれたSF・ホラー・ファンタジー傑作選。わたしは中の「守護犬」(パット・マーフィー著)を担当しました。イギリスの魔犬伝説を題材にしたホラー系ファンタジーです。
2000年出版「ディープ沖縄」 に「唄と踊りの島々〜竹富島〜」を寄稿
(アスキー出版)
北原唯名義では初めてのノンフィクションのお仕事。「現地スタッフが教える沖縄ガイド」というコンセプトで、豊富なデータをぎっしり詰め込んだガイドブックです。「沖縄音楽三昧の旅・離島篇」というテーマでなにか書いてほしい、という依頼で、その年行った竹富島のことを書きました。
お仕事歓迎。