2.ワインの保存方法
(98/2/27 産経新聞記事より ホテル日航大阪 シェフソムリエ 樋口 誠氏談)
保管のポイント
ワインを保管する場所の理想的な温度は11〜12℃。日本で
この条件を実現するにはワインセラーを置く方法があります。
けれど、わたし自身、自宅にセラーはない。発泡スチロールの
箱の中に入れ、それを押入の中に置いています。
ワインの保管で大切なのは、
1.光が入らず、
2.温度が安定し、
3.振動がないこと。
この三つに気を付けていれば、ボージョレなどの早飲みタイプでも、
最高の状態ではないにしても2〜3年は飲めます。
一般的な冷蔵庫には長期間入れないほうがいい。冷蔵庫は5℃以下で
温度が低すぎる。ワインは10℃以下の状態で5℃下がるごとに、
酸化が二倍の早さで進み、品質の劣化が激しくなります。
ワインを立てて長期間置くのはよくないですが、さかさまにするのも
コルクを傷めてしまいます。水平か、ボトルの口をやや上にします。
長期間赤を保存して熟成させるときは、ラベルを上に。おりがたまる場所が
わからなくなると、長年の努力がむだになります。
でも、もらったワインは早く飲むのがいいですね。安いワインほど早く。
ただ、ワインが家に到着した日に飲むのではなく、数日間は休ませましょう。
おいしくなります。
飲み始めの温度
飲み始めは、ワインクーラーなどで冷やして低めの温度から。
白なら、そのままで。苦みが感じられたら、冷やすのはやめてテーブルへ
上げましょう。
赤でもやや低めの温度からスタート。赤の飲みごろ温度は、室温でというより
14〜18℃の間を目指しましょう。日本では、夏場の室温が高くなりすぎる
ことが多いのです。
料理に使うには
ソムリエが、ワインが傷んでいるというのは、コルクの香りが
ワインに移っている、やや酸化しているなどのとき。この程度の
傷みであれば十分、料理に使えます。ただ、表面にカビが生えて
いたり、濁りが出ているものは捨てた方がいいですね。
料理に使うのなら、酸の強い赤はシチューなど煮込み料理に。
酸の弱い赤だと逆に料理が酸っぱくなってしまうのです。
酸の強い赤の代表は、ブルゴーニュのピノノワールという葡萄を使ったもの。
ブッフブルギニオン(牛肉の赤ワイン煮)という料理があります。
ボルドーのような酸のおとなしい赤は料理の仕上げの風味づけに。
白の辛口は魚料理やなべ料理、白の甘口はデザート系との相性が
いいでしょう。